~危うい世界を生き抜く言葉~(開高健の言葉) | 司法書士 荒谷直樹のブログ

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埼玉県所沢市の司法書士フラワー総合事務所代表。ジャンル問わず人生に有益な情報を発信!!法律&メンタル&個人的戯言♬

  下の言葉は、わたしが好きな作家、開高健の言葉です。30年以上前に亡くなっているので、これが書かれたのは、まだインターネットも普及していない時代かと思われますが、今はますますこんな言葉を意識していかないと、苦しい時代じゃないかと思います。

 わたし、小説(フィクション)はほとんど読みませんが、彼の作品は若い頃に読んで、いろんな意味で、印象深く記憶に残っています。ひとつあげると、言葉の使い方・語彙が凄まじく、文字で描いた描写が、リアルに想像できる感覚を覚えたことを覚えています。感覚的なものを文字で感じさせてくれるような感じです。(開高健・1930年大阪生まれ。1958年「裸の王様」で第38回芥川賞受賞。代表作に「夏の闇」「輝ける闇」など。1989年没)



・教育すればするほど人間はバカになるのじゃないかといういつもひそかに抱くヘンな疑問に 触れてみたりもする。(開高健 「ずばり東京」)


・現代人は頭ばかりで生きることをしいられ、自分からもそれを選び、それだけに執して暮らしていますが、これでは発狂するしかありません。発狂か。 自殺か。またはたとえそうでなくても、それに近い状態で暮らすしか・・・。(開高健 「知的経験のすすめ」)


・アタマで革命を論じ、アタマで転向し、アタマで実存、アタマで孤独、アタマで断絶、アタマで失神、いったい手と足はどこへいってしまったのだろう。(開高健 「人とこの世界」)


・台所仕事でもいい。スポーツでもいい。畑仕事でもいい。手と足を思いだすことです。それを使うことです。私自身をふりかえってみて若くて感じやすくておびえてばかりだった頃、心の危機におそわれたとき、心でそれを切りぬけたか、手と足できりぬけたか、ちょっとかぞえようがありません。(開高健 「知的経験のすすめ・あとがき」)


・道具、物、手というものがなければ、いまになって思うのだが、私は生きのびられなかっただろう。(開高健 「人とこの世界」)


⭐人はその基質で情熱的存在なのである。情熱を妄執と呼び、幻想と呼び、憑き、怨念、訴え、何と呼んでもいいが、それらすべてを含んで、いまかりに〈情熱〉と呼んだまでである。躁や鬱をそう呼んでもいい。人はこの怪物、多額で不定形、不屈で透明で無償、傷つきやすく衰えやすいのとおなじ程度に執拗で不死の、そういう怪物をこころのどこかに飼っている。(開高健 「白いページ」)