「どうして、別れは突然にやってくるのだ……?」
オレは、その答えを見いだせないまま授業に出かけた。
『3年生の選択授業』が、彼らの受験事情などで、突然の「打ち切り」となって
しまったのだ。
非常勤だったら、ものすごく困ってしまうが…今は、常勤講師。
金には、あまりカツカツの状態ではない。むしろ、心休まる時間でもあったのだ。
しかし、そんな時間ほど…どんどん大人の事情で流されていく。
あ、オレも大人か……一応は。
決まってしまったものを覆す権限は、あいにくオレには持ち合わせていない。
どうしたら、あの20数名の心に残る授業をやってやれるのだろうか。
それだけを考えた。
『JUSTICE…正義』………徳永英明の名曲の一つだ。しかし
カラオケでは歌う気にはならない。……それほど荘厳な歌だ。
オレは持っていたパソコン用のメモリーから、歌詞を取り出すと、
今日で、授業ではお別れになる生徒の数だけ印刷した。
そのプリントを持ち、教室へと向かったのだ。
オレの3年生の国語は、息抜きのような位置づけにある。彼らにとって。
それが…今日でなくなってしまう。
皆も、事情は知っていたらしい。お別れの短歌や俳句を、それぞれに
持ち寄って見せてくれた。オレはそこに、オリジナルのサインをする。
授業が終わる15分前……プリントを配り終え、????これ何状態の
生徒たちに向って言った。
『この歌は、先生が中学生の時に徳永英明が作ったものなんだ。
正しいことを正しいと言うのは難しいけれど大切なんだよ……。』と
そして、『好きな歌が見つかったときに、それぞれの道が見つかるのだ』
とも言った。これは徳永英明の言葉だ。
何人かの生徒が声を揃えて言う。「歌ってー!!」
もちろんだ。喜んで歌おう……。君たちへのはなむけの歌だからな…。
軽く喉に息を通し、「幾つか恋にも触れたけど…」と
オレはJUSTICEを歌い始めた。
傷つくことが…傷つくことが…勇気と出会うなら……Ah
本物には足元にも及ばない、だから本物をいつか聴いてほしい。
そう願いつつ歌を歌い続ける。
静かには聴いていないけど…。まぁ…いいよ……最初で最後だなぁ
皆の前で歌うのは…。オレだから赦すよ。
迷い歩いて地図をたどれば…瞳の中に…きっと僅かな……
本当の愛がある……!
最後は、こんなオレでも生徒から「拍手喝采」をいただいた……。
アンコールもあったが、さすがに遠慮した。
新たな道を進むあの生徒たちに、光と幸あれ。……どうか。