オレは今、ちょっとした大都市で非常勤講師をやっている。
しかし、メインの先生が倒れ、産休を取ったため、必然的に『常勤』の仕事がオレにまわってくると強く信じていた。
結果は大ハズレ。一ヶ月だけ、中年女性の講師を採用し、オレはこのまま代打でメインを張ることになってしまった。
そんなことは泣くことではない。非常勤講師は部活動もなく、さっさと帰宅できる。
貰える金こそ少ないが、自由は金では買えやしない。
中間テストが終わり、とあるクラスで、新しい単元に入った。
オレは、新しい先生が来る(手伝いに)と言ったとたん、あちこちから声がとんだ。
『先生の授業がいい!』
『やめたら嫌だ!』
『頑張ってよ!』
オレは思わず聞いてみた。
『国語の授業…オレでいいって奴、手を挙げてくれ…』と
まるで戦国時代の『槍ぶすま』のようにほぼ全員が手を挙げている。
思わず、目がうるっ…ときてしまった。
こんなことは、今の今までなかったことだ。
オレより、優秀な教師はいっぱいいる。それでも、あいつらはオレを教師だと認めてくれていることがわかったのだから。
ありがとう、みんな。
残った時間…しっかりやるからな……。