処理が追いつかないまま
疑問だけが次々と膨らむ脳
睡眠不足の体
疲れ果て乾ききった心
……そのどれをとっても
旦那は私程ではないだろう
それが実に面白くなく
理不尽で
自分がシタ事なのに
肩を落とす旦那を見ると
又ふつふつと怒りが湧いてきた
この一連の流れ
昨日と同じだ……
私は何をやってるのだろう
何の為にこんな事続けているのだろう
立ち上がる為に
自分の為に
やっていたはずなのに
気力が徐々に奪われる
後、何日？こんな事を繰り返したら
私は自分らしさを取り戻し
今よりラクになれるのだろう
少しでもいい
変化を感じたい
前に進んでいると実感し
ラクになりたい
でも、その方法も正しい答えも
見当たらない
前を向く事って
こんなにも時間の流れが遅く
暗いものなのか？
……今回ばかりは自分との戦いに
勝てる気がしなかった
ダメだ
こんな心情では
旦那にも旦那の不倫相手にも
なめられる
人をコケにし傷つけても
平気な顔で日常を送ってきたヤツらに
これ以上なめられてたまるか
騙されたのはマヌケかもしれない
でも無抵抗な人間を
意図的に一方的に傷つけるような
ヤツらから、見下されたり
なめられたりする筋合いはない
その怒りだけが私を支え
強気な自分がゆっくりと戻ってきた
弱気になったり強気になったり
悲しいと思う反面、怒りが込み上げたり
どうでもいいと思えないくせに
殺意がわいたり
こんなにも
せわしなく感情が変わる事など
もう20年近く経験してなかった
それだけにとても疲れた
平凡な日がどれだけ
幸せでありがたい事なのか
わかっていたはずなのに
グチをこぼしたりしていた自分に
バチが当たったのだろうか？
毎日に感謝しているようで
していなかったから
こんな目にあっているのだろうか？
そんなに悪い妻だっただろうか？
考えれば考える程
心拍が乱れ呼吸しづらくなってきた
このままだと、また過呼吸になる
そう感じた私は
頭の中の声を一時的に掻き消す為に
長く深い呼吸を誤魔化す為に
旦那に質問した
「嘘でしょ？って
私がさっき言ったのは
私がさっき言ったのはどこまでも無神経なアナタと
アナタの言葉に驚いたから言ったのだと
感じ取っていますか？」
「裏切った分際で一緒にいたいとか
勝手な事ばかり言ったから……」
「それもですけど……
ありがとう答えてくれてって
アナタが言った時に
この期に及んでも、アナタは人の気持ちを優先するより
まだ自分の欲を優先しないと
満足しないんだなと感じたからです
更には、未来の事など想像も出来ない私と違い
アナタの顔は未来を想像できていて
光を感じているようだったから
そんな勝手な事ありえない
許されないと思ったからです
それら全て一括りにした
嘘でしょ？の言葉だったのです」
「……」
「ズバリ、アナタの脳内に浮かんだ事を
私が代弁するなら、
Masakiは今は幸せだった事はないと
思っているけど
やっばり昔は幸せだと思っていた事も
あったんだな、それなら、見込みはあるな
だったのではないのですか？
私が今も昔も1度も幸せなど
感じた事はないと言っていれば
違う答えを言ったのではないのですか？」
「それは無い！無いです！」
「そうでしょうか？ラクな道ばかり選ぶアナタが
わざわざ、苦労する道を選ぶはずがないでしょう
何のメリットがあると言うんですか？」
「メリットとかではないでしょ人の気持ちは……
そんな簡単に
気持ちは割り切れるものではないからです」
「はい？それをアナタが言うのですか？
簡単に割り切れるものだから
不倫したんでしょ？」
「……」
「私もアナタも離婚したからといって
会社での信用や立場が悪くなるような
職場環境でもない
お互い体裁を気にするタイプでもない
1番に考えないといけない子供も私達にはいない
なのに、アナタが離婚を選ばない理由があるなら
それは私への愛情ではなく
今のように、自由になる時間もお金も
一人暮らしをするなら手放さないと
いけなくなるからではないですか？」
「そうじゃないです。
そんなふうに受け取られるとは……」
「やめて！そんな被害者みたいな顔や発言するのは」
裏を見透かされた旦那はきっと
あの日見た時と同じ顔をすると確信していたが表情に変化はなく
終始悲しそうな顔をしていて
予想が外れた事に驚いたと同時に
なぜ？とまたしても疑問が
ブーメランの様に戻ってきた
「被害者みたいな顔かどうかは
自分ではわからないけど
被害者ぶろうなど、思ってないよ
そんな事思うはずもない
ただ単にMasakiさんと一緒にいたい
好きだから大事だから
そう気づいたから
でも忘れていたわけじゃない
なんていうか……
どう説明したらいいか
言葉が出てこないけど
メリットとか考えて答えて言ったことではないよ
でもそんな風にしか
もう受け取って貰えないんだなって
そんなの
当たり前だけど……
ショックだった……」
旦那の言葉で
胸が苦しくなるのは
罪悪感を感じるのは
何で私の方なんだろう？
「もう風呂入って寝ます」
これ以上話せば
心は破裂し
落ち着いた過呼吸が
ぶり返しそうだと思い席を立った