Dr. Cohen ヒアルロン酸セミナー in Cross Clinic | 『健美同源』ークロスクリニック銀座石川院長のブログー

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米国の著名な皮膚科医Dr. Cohenによる小規模ヒアルロン酸セミナーをクロスクリニック銀座で行いました。

 

コーエン先生と

 

ヒアルロン酸セミナーで講師になる先生のためのセミナーです。

今回のテーマはヒアルロン酸注入の合併症について

合併症と救済法について詳しくご講義いただきました。

大変勉強になりました。

 

参加した先生方と

 

先日、日本では、注入剤レディエッセ(ハイドロキシアパタイト)による事故、失明症例がニュースになっていましたが、レディエッセだけではなく、すべての注入剤には副作用、合併症があります。ちなみに、レディエッセはアメリカFDAの承認もあり安全な薬剤ですが、私はレディエッセを使用していません。理由は、ヒアルロン酸には、ヒアルロニダーゼと言う分解酵素が存在し、製品によっては即座に分解することもできるのですが、レディエッセは分解することができないからです。

Dr.Cohenによると、ヒアルロン酸もメーカーや種類により、ヒアルロニダーゼによる溶解しやすさはかなり違いがあるそうです。

最も重篤な血管塞栓の合併症を回避するためには、解剖を良く知ることと、無理をせず、安全な注入法を選択することです。通常私は、皮内・皮下浅層と骨膜上は鋭針を、皮下注入にはカニューレを用いるようにしています。また、一度に100%の結果を求めず、極力、過矯正しません。患者様には、常々、少し足りないくらいがいい塩梅ですよ、と話しています。自分の技術を過信することなく、常に丁寧な治療を心がけることも重要です。

 

私の好きなヒアルロン酸注入は、アンチエイジング目的の注入で、加齢によりボリュームが不足した部分への補充です。自然に加齢を予防する程度で、無理のない硬さのヒアルロン酸を少しずつ注入するよう心掛けています。

私の嫌いなヒアルロン酸注入は、いわゆるプチ整形の注入です。代表部位、鼻、涙袋、口唇です。整形の意味合いが強く、形を変える注入のため、本人からの要望がエスカレートする傾向にあり、量的にヒアルロン酸を入れれば入れるほど不自然になります。

 

また、最もポピュラーなのに危険な場所は、鼻です。

鼻根部(鼻の目と目の間の部位)は、血管が複雑にネットワークを作っている部位で、針が血管に当たるリスクがあり、かつ隆鼻が目的ですから、皮膚を盛り上げるため、比較的硬めの注入物で皮膚に圧をかけて入れることもあるからです。

 

注入物の安全性に関しては、医師による見解の相違が大きい分野です。

未だに極めてリスクの高い非吸収性成分の注入剤が日本でも使用されていたり、最近は、FDA等あらゆる国家的機関の承認の無い生物製剤や細胞成分を含む製剤も市場に出回っています。生産メーカーや業者の説明を鵜呑みにして、後々に自分の患者様に禍根を残すことの無いよう、業界としても医師の裁量権の意味を再考するべき時期なのかもしれません。