森永卓郎氏『ザイム真理教』が示唆する「アベノミクス失敗」の ...

 

 

 

 

ニュース裏表 田中秀臣】日本にはびこる「ザイム真理教」森永 ...

 

 

 

 

ザイム真理教」(森永卓郎)を読んで - トシヒログ

 

 

 

 

増税しないと本当に日本は破たんしてしまうのか? ――『マンガ 日本を破滅に導くザイム真理教の大罪』 『マンガ 日本を破滅に導くザイム真理教の大罪』

 

 

 

 

 

 

 

全目次】ザイム真理教 / 森永卓郎【・もくじ・評価感想 ...

 

 

 

 

 

岸田総理、支持率暴落でも「消費税減税」は絶対ナシ…「ザイム ...

 

 

 

 

 

 

 

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「共有成長」の放棄

 
 
ペトロウの金融引き締めの要請に、ジェローム・パウエル率いる
連邦準備制度理事会(FRB)が応え、2022年7月に2カ月で
数十年ぶりの高率となる0.25ポイントの利上げを実施した。
 
 
 
 
 
この政策転換は、経済情勢の致命的な誤読を示すものだ。
現在の消費者物価の高騰は、新型コロナウイルスのパンデミックによる
 
 
サプライチェーンのボトルネック、ロシアのウクライナ侵攻
企業側の利益追求型値上げによるもので
1970年代の賃金と物価のスパイラルへの回帰ではない。
 
 
金利を上昇させても、こうしたサプライチェーンの問題を解決することはできず
低所得労働者、失業者、慢性的な負債を抱える人々を
助けることは絶対にないだろう。 
 
 
低賃金労働者は過剰な需要に対して罰せられなければならない
という連銀の信念は奇怪だ。
しかし、それは内部的には首尾一貫している。
 
 
パウエルは金融引き締めの目的は
企業投資を減らし「成長を抑える」ことだと認めている。

 

 

 

https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20220615.pdf

 

 

 

この経済減速は想定される「賃金圧力が下がる」ことを確実にし

「賃金交渉における実際の不均衡」を是正するだろう。

パウエルは現在、これを金融緩和の危険な結果と見ている。

 

 

これとは対照的に、金融引き締めは投資と雇用を増やすと主張する

ペトロウは「これらの[金利]が下がれば下がるほど、企業の投資支出は減り

低技能労働者が職を見つけるのは難しくなる」と述べている。

 

 

彼女は、投資は需要によって主導される(「国が商品やサービスの

全体的な消費に費やす金額が減れば減るほど

 

 

企業が需要を満たすために新しい工場や

インフラに投資する必要性が減る」)ことを認めているが

金融引き締めはどういうわけか、需要の増加を意味すると信じている。

 

 

こうした苦しい構造は、パウエルが率直に認めている事実を

頑なに拒否していることを反映している。

 

 

つまり、金融政策では、富の過度の集中を逆転させることも

ペトロウが言うところの「共有された成長」を

復活させることもできないということだ。 

 

 

「共有成長」の実際の歴史的輪郭を思い出す価値がある。

富と所得の不平等が、大幅に縮小した現象が最後に見られたのは

 

 

連邦政府と州政府が、公共建設プロジェクトに資金を注ぎ込み

「民間」製造業に惜しみなく補助金を支給した戦後時代だった。

 

 

力強い成長率は、国民所得の利益分配を脅かすことなく

賃金が上昇できることを意味した。

 

 

これが、ニューディール国家の限定的ケインズ主義が

機能する方法であるはずだった。

 

 

1965年以降の時期には、防衛費と比較して社会および再分配の公共支出が

大幅に拡大し、民間部門と公共部門全体で労働者の闘争心が急増した。

 

 

賃金が上昇し続けると、産業利益が外国との競争と石油価格の上昇によって

脅かされる中、産業の雇用主と金融資産保有者は

ケインズ主義的平和を維持することに、すぐに興味を失った。

 

 

労働組合はもはや尊敬されるパートナーではなく

自由企業制度の敵であり、「賃金押し上げインフレ」を通じて

国家の経済病の主原因であることを明らかにした。

 

 

賃金押し上げインフレは、利益押し上げインフレとも呼ばれていた。

消費者物価の上昇は、労働組合の完全な勝利というよりも

労働者と企業主の継続的な闘争を反映していたからだ。

 

 

しかし、所得分配が労働者に有利に、たとえ瞬間的にでも

シフトする可能性があるという事実は、企業の成長共有への

コミットメントを解消するのに十分だった。

 

 

(1974年、若きアラン・グリーンスパンは、ウォール街の株式仲買人は

貧困層よりもインフレの影響を「パーセンテージで」受けていると

社会福祉官僚のグループに語った。

 

 

これは、インフレを「抑える」ことが実際に何を意味するかを明らかにした

非外交的な発言だった)

 

 

 

金融政策と財政状態

 
 
過去半世紀にわたる長い反革命は、中央銀行が賃金上昇の
わずかな兆候を容赦なく攻撃し、資産価格のインフレを促進するために
全力を尽くしてきたが、このことはミハウ・カレツキを驚かせなかっただろう。

 

 

1943年の有名なエッセイで、このポーランドの経済学者は

公共サービス、福祉、賃金への政府の継続的な補助金支給努力は

 

 

ある時点で労働者を失業の恐怖から解放し

その結果、産業家と利子所得者による強力な反発連合を生み出すだろうと予測した。

 

 

カレツキの先見の明のあるエッセイは、完全雇用のジレンマを診断するだけでなく

革命への道は財政国家を通り抜け、それを超えるかもしれないことも示唆している。社会支出と再分配が行き過ぎると、実業家と富裕層は反対して団結する。

 

 

しかし、ケインズ主義をこれらの限界を超えて

そして福祉国家が歴史的に制限されてきた家族、人種

 

 

国家、階級に基づく限界を超えて

意図的に押し進めることは何を意味するのだろうか。

 

 

言い換えれば、お金と負債の創出のプロセスを集団化する方法を

ある程度理解せずに、今日共産主義の可能性を抱くことなどできるのだろうか。

 

 

現代のマルクス主義者はこうした可能性を無視してきた。

彼らはあまりにも頻繁に、革命について奇妙に文献学的な理解を持ち出す。

 

 

それは、財政国家や近代中央銀行の前の時代に合わせたもので

労働者は生産手段を掌握するだけでよく、一方で過激派は国家の行政権を掌握した。

 

 

しかし、今日の資本主義に対する急進的な挑戦は

貨幣創造、集団支出、課税の手段も掌握する必要がある。

 

 

マルクス経済学者が、MMTをケインズ派の中途半端な対策として退けるとき

彼らは自明のことを述べている。

 

 

財政および金融政策は、想定される経済法則からの距離ではなく、現実世界への

影響によって判断されるべきであるというMMTの主張には、真の価値がある。

 

 

しかし、他の点では、生産的労働と非生産的労働の区別

国家の境界内での社会民主主義の制限、過度の賃金上昇への恐怖など

 

 

そのすべての組み込みバッファーを備えた

ケインズ派の弁証法的調停プロジェクトに忠実であり続けている。

 

 

これが限定的なプロジェクトであることは言うまでもない。

ケインズ主義の要点は、労働と資本の関係を緩和し

 

 

中央銀行の貨幣発行と国家の課税および支出の権限が

金融の本格的な社会化に決してつながらないようにすることである。

 

 

財政政策に野心がない社会自由主義者のペトロウが

金融制約を解消するという MMT の約束を忌避する理由は容易に理解できる。

 

 

しかし、マルクス主義者にとって、改革主義に対する

古い批判を繰り返し唱える時間は、より緊急の課題から遠ざかる時間である。

 

 

私たちが独自の集団金融政策を開発するまで、左派は QE を称賛するか

健全な通貨へのノスタルジアと最終的に区別がつかないタカ派主義に陥るか

という満足のいかない選択に直面することになるだろう。

 

 

これまでのところ、最も独創的な提案は、ストライク・デット!

のような活動家グループや、より擁護活動に重点を置いた

ニュー・エコノミクス・ファンデーションやポジティブ・マネーから出ている。

 

 

これらのグループはいずれも、金融および財政のあらゆる選択肢を活用して

より再分配的な経済政策を主張している。

 

 

ケインズ派(あるいはマネタリスト)の考え方の歴史的基準からすると

例外的とは言えないが、彼らの要求(より広範な社会支出計画

 

 

大規模な債務免除、または「人民のための量的緩和」)は

ペトロウのような中道派や時折マルクス主義者が推進する

健全な財政への回帰よりもはるかに有望である。 

 

 

懐疑論者が正しいとすれば、それは、このような実験が闘いなしに

大規模に実施されることは決してないということだ。

 

 

マクロ経済政策は、専らテクノクラートや議会の管轄下ではないし

そうあるべきでもない。

 

 

財政状態は、工場の現場と同じように

変革をもたらす対立を誘発する力を持っている。

 

 

公共部門の闘争心が10年にわたって高まってきたことは

公共財政のてこに直接影響する労働闘争の一例であり

したがって財政介入の重要な場となっている。

 

 

公的部門の労働組合主義は、資本主義の力関係の支点は

営利目的の民間部門にあるという理由で、反資本主義闘争の

実際の活動とは関係のないものとして退けられることがある。

 

 

この時代錯誤的な仮定は、直接的な補助金、税支出、政府契約などを通じて

「民間部門」の剰余価値生産が国家によって大規模に保証されていた

 

 

前世紀の経済組織を読み違えており、それによって公的部門と

民間部門の労働組合主義の隠れた類似点を見逃している

 

 

また、アーサー・バーンズ連邦準備制度理事会議長が

1970年の郵便局のストライキを「政府に対する反乱」と表現したように

 

 

公的部門の労働者が、政治エリートの間に呼び起こすことができる

真の恐怖も見落としている。

 

 

今日の労働運動における公共部門の労働組合の相対的な重要性を嘆くべきではない。多数の女性や少数派労働者を含む運動として

 

 

公共部門の組織化は、以前の労働者反乱における性別や

人種に基づくトレードオフを超越する可能性を秘めている。

 

 

この部門は政府支援に明らかに依存しており

歴史的には脆弱性とみなされてきたが

これはまた、独自の機会も提供する。

 

 

公共部門の運動は、通常は埋もれている問題を掘り起こさざるを得ない。

労働所得、資産価格、政府支出の関係、課税と信用創造の分配上の利害

ますます不平等になる社会を再生産するという矛盾した要請などである。

 

 

公共部門の課題が、強さの源になり得ることは

公共部門のストライキ中の労働者とその「顧客」

 

 

(学生、親、患者、通勤者など)との連携を構築するとともに

政府の予算編成と日常の緊縮財政を結びつけるキャンペーンを調整する

「公益のための交渉ネットワーク」などの取り組みによって実証されている。

 

 

このようなキャンペーンがどれだけ広範囲に及ぶかを理解するために

ロサンゼルス教員組合(UTLA)は、学校資金に対する

 

 

商業用不動産税の上限を撤廃し、学校所有の空き地を手頃な価格の住宅に転換し

賃借人(不動産ポートフォリオを通じて)と

 

 

教師(学校への資金提供を犠牲にしてキャピタルゲインを

優遇する州の税制を通じて)を搾取する

プライベートエクイティファンドの力を封じ込めるために闘ってきた。

 

 

これは、公的および私的のユニオニストにとってのモデル

さらに、これは財政および通貨権力の支配権を

下から奪取する一つの方法を表している。

 

 

 

Domash and Summers predict “extremely rapid growth in nominal wages” in the year ahead. Alex Domash and Lawrence H. Summers,

How Tight are U.S. Labor Markets?

 National Bureau of Economic Research Working Paper 29739, February (2022): 32.

 

 For a rebuttal of this view and a consideration of the supply side drivers of current consumer price inflation, see Servaas Storm,

Inflation in a Time of Corona and War,” I

NET Institute for New Economic Thinking June 6 (2022). 

 

 

Inspired by Lawrence Summers, journalists in Australia have greeted the election of the center-left Labor government led by Anthony Albanese 

 

with the prognosis that the country will soon see a return to the kind of wage-price spiral last seen under the left-wing Labor government of Gough Whitlam in the early 1970s. 

 

Matthew Knott

 “‘Perfect Storm’: Is the Australian Economy Heading Back to the 1970s?” 

Sydney Morning Herald June 18 (2022). 

 

For a more convincing analysis, which points out that recent rises to the minimum wage lag behind consumer price inflation, see Greg Jericho, “Workers and their Wages are the Collateral Damage of the War on Inflation,” 

Guardian (Australia) June 16 (2022)

 

 

 

Richard D. Lyons, “Fears of H.E.W. Cuts Spur Protests at Inflation Parley

 

For prominent Marxist critiques of MMT, see Doug Henwood,

Modern Monetary Theory Isn’t Helping,”

 

 

 Jacobin 21 February (2019), Paul Mattick

 “Money Magic,” 

 

 

Eric Blanc, Red State Revolt: The Teachers Strike Wave and Working-Class Politics (New York: Verso, 2019)

Mihajla Gavin, “Public Sector Strikes are Back, With a Vengeance,” 

 

 

Samir Sonti, “The Crisis of US Labor, Past and Present,” Socialist Register 122 (2022): 153-54 and Sarah Jaffe

 “The Radical Organizing that Paved the Way for the LA Teachers’ Strike,”

 The Nation, 19 January (2019)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石油ショックを発端として、先進諸国で、「上からの革命」と呼ばれる

「新自由主義革命」の火の手が上がり、本当の革命が生じてしまった。

 

 

アメリカの現在、主流派となっている経済学派は

それ以前から、発展途上国で実験を行ってはいた。

 

 

搾取と強奪を繰り返す、この経済思想は

新しい植民地主義とされ、発展途上国では恐れられている。

 

 

その大きな柱は緊縮財政で、これによりその国を不況・不景気に陥れ

改革と称して、その国の公共財などを搾取・強奪する。

 

 

このような政策は、一般庶民の受けが悪いので

先進国では、採用されることはなかった。

 

 

それが石油ショックによって、一般庶民が動揺している間隙をついて

先進諸国でも、このショック・セラピーが導入されることになった。

 

 

また経済理論としても、それまで隆盛を誇っていたオールド・ケイジアンは

供給ショック型の悪いインフレ対策の、即効性のある処方箋を出せなかった。

 

 

景気が悪い時・不況の時は、政府が金利を下げ・財政出動をして

景気を支え、景気が過熱すれば、金利を上げ、財出を絞る。

 

 

しかし供給ショック型の悪いインフレの場合

需要側に問題があるのではないから、供給能力を上げないといけない。

 

 

でもお金を簡単に増やせるが

モノやサービスは、そう簡単に増やせない。

 

 

その供給能力を上げていくには、それなりの時間がかかってしまう。

そのことを一般庶民に伝えることは、非常に難しい。

 

 

そこをうまくつかれ、ミルトン・フリードマンを代表格とする

マネタリズムが台頭し、悪いインフレでも良いインフレでも

 

 

とにかく抑え込めればなんでもいい暴論が

まかり通るようになってしまった。

 

 

その「上からの革命」が最初に起きたのは、イギリス

マーガレット・サッチャーによって始まってしまった。

 

 

この新自由主義政策は、インフレを抑え込むのが目的だが

それにより、大量の失業者を生み出す。

 

 

彼女は、テロやら戦争やら、ありとあらゆる手を使って

政権維持を図り、でもさすがに不人気すぎて、最終的に反対方向に舵を切った。

 

 

フリードマンが猛烈に非難をしたが、大量の失業者を出し

悪いインフレを抑え込むのと同時に、一握りの超富裕層を作り出す。

 

 

こんな政策は、いつまでも支持されるわけもなく

イギリスは第三の道と称する路線に転換したが

一度この流れができると、半世紀以上止まらない。

 

 

新自由主義は、「病気」なのだが、その処方箋を

一般庶民に理解してもらうのは、非常に難しい。

 

 

 

 

 

 

「扇動的ポピュリズムは『症状』である。

テクノクラート新自由主義は『病気』である。

 

 

かかる病気を治療するのが、民主的多元主義なのである」

マイケル・リンド 『新しい階級闘争』