今回のアメリカのインフレは、2021年、コロナ禍からの回復に伴って
経済活動が急回復し、労働供給が追い付かなかったために賃金が上がり
それがインフレをもたらした。だから、インフレ抑制のために
重要なのは労働供給を増やすことだ。
移民が増えれば、労働の供給が増える。だからインフレ退治に役立つ。
利下げをしても、それがインフレを加速することにはならないということになる。
● 移民の増加は労働力を増やし アメリカ経済に望ましい影響を与える
移民の増加は労働力を増やし、アメリカ経済に望ましい影響を
与えていることも認識されている。
今回のインフレは、人手不足によって賃金が高騰したことからもたらされたものだ。その効果が、移民の増加によって緩和されることになる。
つまり、経済活動は活性化するが、インフレには
あまり気を使わなくても良いことになる。
基本は、移民が労働力不足を解消してインフレを緩和するということだ。
不法移民の問題は、人道上の観点と社会不安の観点から論じられることが多い。
もちろんそれらは重要な問題なのだが、それ以外に労働力の供給増加という
極めて重要な経済的な意味を持っているのだ。
● どのようなスピードで移民を増やすかが重要
人手不足深刻化の日本も見直しは焦眉の課題
移民の急増は、短期的には社会的混乱をもたらす。
しかし、長期的に見れば、労働力増加というプラスの効果を持つ。
混乱だけをもたらすわけではないのだ。
混乱は一時的なもの、そして対処しうるものだ。
それに対して、労働力増加は長期的に持続する効果だ。
要は、どのようなスピードで移民を受け入れていくかだ。
移民問題は日本にとって他人事ではない。
それどころか、重要な意味をもっている。
移民が労働力を増やし経済に望ましい効果を与えるということも
アメリカでは現実に生じているのだ。
移民反対論者は、そのような効果を軽視している。
その結果、日本は、深刻な労働力不足に見舞われているにもかかわらず
移民に対して否定的な政策を取り続けてきた。
日本の将来を考えると、労働力不足問題はますます深刻化する。
特に介護においてそうだ。
移民政策の見直しは焦眉の課題だ。
(一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)
コメ
おそらく経済リテラシーが低い人には違和感のある記事かもしれない。
金融政策と労働政策が密接にリンクしていることは
世界では常識だが日本では常識というほどではない。
米国では何より雇用統計が注目されます。
米国の経済分析してみるとフィリップス曲線の横軸の失業率が
20か月近くも自然失業率3.4%(ナイル)と底に張り付いている。
そして縦軸のコアIndexは利上げでだいぶ下がってきていて3%台までおちてますがFRBがターゲットとしている2%台までは落ちてきていません。
GDPデフレータもプラス4%強でとても経済成長力が強い状況です。
コアIndexにはエネルギーと食品は入っていないので
人手不足によるサービス価格上昇圧力が主因と言えます。
こういう米国の好景気すぎて失業率が低すぎる状態において
不法移民は副作用大きいが、労働力の需給を緩和することできるので
インフレ抑制に寄与することになります。
野口やコメ主が、言っているのは、一般的なフィリップス曲線
縦軸にインフレ率かCPIをとり、横軸に失業率をとる。
他にもいろいろある。
こんな風に、物価版や名目賃金版など
もう、アメリカのんは、書いてたけど、もっかい
日本もそうだが、アメリカも一度、仕事を辞めてしまうと
なかなか次の仕事が見つけにくい状況が続いた。
これは悪い経済で、労働者にとっては
すぐに、職を見つけることができる経済が、良い経済だ。
それがアメリカがウクライナを使って
ロシアと戦争を始めたことが契機となり、良い経済へのチャンスとなっている。
ベビーブマー世代の引退と重なって
アメリカの労働者は、仕事が見つけやすい環境が整った。
需要が牽引する形で、労働者が仕事を見つけやすい状況はチャンスで
こういうインフレは、歓迎すべき状況だ。
労働力参加率(LFP:labor force participation rate)
壮年期の労働参加率
壮年期の LFP 率: 外国生まれの労働者と現地の労働者
もしこれが失業者が多くなっている状況のインフレなら
非常に懸念すべき状況だが、むしろこういう状態はとても良い兆候である。
ラリー・サマーズやジェイソン・ファーマンは
巨額の財政支出の責任にしていたが、それは供給側からのみ見ただけで
需要側の責任に転嫁したものだから、大いに問題
主流派の連中は、常に失業率を引き上げ、賃金上昇率を引き下げようとする。
日本では、「ザイム真理教」がやってきたこと
まだ主張していることと大いに連動している。
失業率を上げようとしていること、賃金の伸びを鈍化させようとしていること
求職を困難としようとしていることは、断固として拒絶すべきなのである。
移民問題もそうで、移民自体が大きな社会問題ということもあるが
日本の労働者にとって、良くないことだと言える。
インフレ率が高くなっているからと言って
労働供給を増やしてしまうことは、失業者の緩衝材を増やしてしまう。
失業者の緩衝材を増やすことで、失業率を上げ、賃金の伸びを抑制し
休職を困難にしてしまう悪いインフレ退治は、良い経済にはならない。
トランプが移民規制を行ったことは、良い経済への環境作りだったと言える。
それがバイデン政権になって、しちゃっかめっちゃかだ。
日本にこれ以上、移民を入れることで、確かにインフレ対策にはなるだろうが
それは、日本の労働者にとって、今のインフレ退治として悪手
悪いインフレ(コスト・プッシュ・インフレ)に対処するには
金融引き締めや需要削減は、一般庶民には最悪になる。
だいぶ一般庶民も、マクロ経済政策に関心を寄せるようになって
嬉しい限りだが、もっぱら財政政策中心だ。
積極財政に転じるのは、もちろんだが金融政策も関心を寄せてほしい。
利上げとか、バカにすんなと怒ってほしい。
移民政策もそうで、そんなことしたら日本の労働者の待遇が悪くなる一方で
さらなる底辺への競争を強いられることになる。
賃金を上げるっつってんのに
にゃんで、移民入れて賃金下げる政策やるんだと怒ってほしい、せ~の