「重要な点は、救済措置は、供給側の不足に直面して需要を回復させることよりも、

むしろ経済の供給側を回復・改善させることに重点を置くべきだ」

ランダル・レイ    MMT派はこのような政策に反対する

 

 

 

The Causes of Pandemic Inflation

 

 

 

 

 

 

 

 

日本経済の分析に対する彼の主張をまとめてみよう。

 

 

 

この数年間で財政支出が拡大、金融緩和政策も継続したが

2022年まで国内要因のインフレが、起きなかった理由

 

 

輸入されたインフレで、直接の原因は、海外

 

 

 

日本で大量の国債発行がインフレにつながらなかった理由は2つ

第1は、財政支出が需要を増大させなかったこと

 

 

① コロナ対策の定額給付金は、消費支出を増やさず、

  貯金を増やすだけの結果に終わった。

 

 

② 日本企業の生産性が向上しない状況が継続し

  拡大策を行っても賃金が上昇せず、需要が拡大しなかった

 

 

 

日本で国内要因のインフレが起きないから

MMTをやってはいけない理由

 

 

長期国債を大量に購入だけでなく、長期金利を人為的に抑えているため

日米の金利差が拡大したため、米国のインフレが輸入された。

 

 

だから、国債の大量発行がインフレの原因になっている。

金利が経済の実態を表さなくなり、資源配分が著しく歪められている。

 

 

 

財政規律がなくなってしまったのが、最大の問題

その結果、効果の疑わしい人気取り補助策が

_| ̄|○

 

 

 

国債発行を増やすという悪循環が生じ

経済全体の資源配分が歪められている。

 

 

これは日本経済の長期的なパフォーマンスを

劣化させることになるだろう。

 

 

 

 

 

まず、①のコロナの定額給付金が貯金に回っただけ

そりゃそうだろ、と誰でもツッコミたくなるところ

 

 

個々人で見れば、使いきった人もいるだろうし

全額を貯金に回しただけの人もいるだろう。

 

 

野口は、「ザイム真理教」の教団幹部で、カネ周りがいいから、

10万円ぽっち通帳に書き込まれても使わないだろう。

 

 

自分が使わなかったので、他の人も使わないということはなく

そして使われたカネは、他の誰かのところへ行く。

 

 

つまりどこかの誰かの貯蓄へと繋がらないわけがない。

わざわざ10万円を引き出して、燃やすのなら、話は別だが

 

 

 

 

 

 

 

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コロナの定額給付金は、白物家電に代表されるように

ちゃんと使われていることを知らないのだろうか。

 

 

その先で、貯蓄に回らなかったとしても

回り回って、最終的にどこかの誰かの貯蓄になる(燃やさなければ)

 

 

何を言ってんだべ、「維新スピリッツ」すぎんだろ

と普通は呆れかえる。

 

 

 

② 日本企業の生産性が向上しない状況が継続し

  拡大策を行っても賃金が上昇せず、需要が拡大しなかった

 

 

 

これもおっかしなことを言うなと

誰しも首を傾げるだろう。

 

 

財政政策をうっても需要が拡大しなかったということは

それだけ日本経済の供給能力があり、額が不足していたことになる。

 

 

野口が言う「生産性」は、物的か付加価値のどちらかを明言していないが

おそらく彼らの定番である、付加価値を投入量で割る労働生産性

 

 

需要不足の中で、そんなものを向上させれば

限られたパイの奪い合いが、より厳しくなるだけであって

 

 

縮小均衡(デフレ)をさらにこじらせる。

彼らの世界、いわゆるセイの法則が成立しているならば

 

 

確かに、作ったモノはみな売れるので

生産性を高めて、じゃんじゃん作れば、需要が拡大するのだろう。

 

 

ところが現実の経済は、先決してはおらず

作っても売れ残ってしまうと、在庫を抱えることになる。

 

 

生産性を高めれば高めるほど、需要不足の中では

デフレ圧力が増加し、縮小均衡(デフレ)路線が強まる。

 

 

 

 

次が呪術的な論理展開で、分かりにくいため

整理してみよう。

 

 

長期国債の大量購入→長期金利の人為的抑制→日米の金利差拡大

→米国のインフレ輸入→日本のインフレ→資源配分が歪む

 

 

日米の金利差の拡大が、米国のインフレを輸入して

日本がコスト・プッシュ・インフレになり、資源配分が歪んでいる

 

 

野口の主張だと、日銀が金利を上げる(もしくは米国が金利を下げる)と

日本の現在のコスト・プッシュ・インフレという悪性インフレが止まることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

米国の主流派たちは、米国経済が軟着陸に成功したと

胸を張っている状況になっている。

 

 

 

 

 

インフレの現状と見通し~中小企業はどうする賃上げ?~ | V字 ...

 

 

 

 

 

米国のピークが2022年6月の9.1%、

日本のピークが7か月遅れの2023年1月の4.1%

 

 

資源配分とやらが最適化行動をとっているとすれば

米国のインフレは、すでに調整済み

 

 

野口の主張の日本のインフレは、米国から輸入されたものだとすれば

すでに日本のインフレは、終息していなければならない。

 

 

おまけに日米の金利差が拡大している中で

米国のインフレは、軟着陸している。

 

 

ということは、金利差の拡大が輸入インフレに

まったく繋がっていないことになり、齟齬をきたす。

 

 

 

この矛盾した論理構成から、国債の大量発行→インフレの原因

金利が現実経済と乖離→資源配分の歪み

 

 

財政規律がなくなってしまったのが、最大の問題

国債増→資源配分の歪み→将来の長期のパフォマンスの低下を引き起こす

 

 

 

つまり、積極的な財政政策をやりすぎてしまって

それが長期的に日本経済をダメにする、という骨子

 

 

では、見てみよう。

 

 

 

 

 

 

財政に関する資料 : 財務省

 

 

 

 

 

 

 

 

野口の主張の根幹である、緊縮財政(健全財政)は

一般に、ワニの口理論として知られている。

 

 

しかしすでに、ワニの口理論は

インチキだと証明されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうすでにワニの口は閉じてしまっており

国債の大量発行を行っていない。

 

 

アベノミクスは、見ての通り、緊縮財政であり

消費税増税に見られるように、財政政策は行っていない。

 

 

 

国債発行が悪循環で、長期的なパフォーマンスを落とす

というのだが、日本経済のここ数十年のパフォーマンスはボロボロだ。

 

 

 

 

 

グラフ編】現実:日本の政府総支出は、世界最低水準の伸び率 ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤井聡京都大学教授提供 図表等一覧 – 京都大学 都市社会工学 ...

 

 

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藤井聡 on X: "今年の1-3月期のGDPはまだ報告されていませんが ...

 

 

 

 

 

 

 

クレディセゾン主任研究員の島倉原氏が作成した図

 

 

日本経済が成長しなくなった、あまりにも「残念」な理由 | 変異 ...

 

 

 

 

 

 

米国の主流派も、野口とはまったく異なる見解を示している。

 

 

 

ハーバード大学ジェイソン・ファーマン教授

 

米国の主流派経済学者の「新しい見解」

 

1 財政政策は、金融政策と補完的に用いられることで効果を発揮

2 財政出動は非常に有効であり、民間投資を阻害しないし、

  むしろ呼び込むことすらある。

 

 

3 低金利の時には、財政政策を行う余地が大いにある。

4 公共投資の支出先が効果的であれば、

  財政出動を継続する方が望ましい。

 

 

5 各国が協調して財政出動を行えば、

  効果はいっそう大きくなる可能性がある。

 

 

Jason Furman ,"The New View of Fiscal Policy and Its Applicatin"

Conference :Global Implications of Europe's Redesign,October5,2016

https://obamawhitehouse.archives.gov/sites/default/files/page/files/20161005_furman_suerf_fiscal_policy_cea.pdf

 

 

 

バイデン政権の財務長官ジャネット・イエレン2016年、講演

 

 

低成長が続く理由

 

不況になると、失業者が増え、労働力が落ちる。

企業は、設備投資や研究開発投資を控える。

 

 

生産設備の強化や技術革新によって

生産性を向上させる機会も失われる。

 

 

こうして、不況の間に、供給力が落ち込む。

そうなると不況が終り、需要が回復しても

 

 

供給が不足しているため、

経済成長が起きにくくなる。

 

 

世界金融危機による一次的な景気の落ち込みが、

経済に後遺症のように残り、経済成長力を弱らせるのだ。

 

 

積極的な財政金融政策によって、

「高圧経済」作り出してはどうか、と提案。

 

 

高圧経済の下では、大きな需要が存在、企業は積極的な投資→生産能力を拡大

技術開発や企業も活発になる。

労働者もより生産的な仕事に従事できる。

 

 

積極的な財政金融政策は、民間投資が誘発され、

供給能力を高め、経済成長が可能になる。

 

 

積極的な財政金融政策は、もはや単なるカンフル剤ではなく、

長期的な成長戦略でもある、と強調。

 

 

 

Janet L. Yellen,'Macroeconomic Research After the Crisis'

60th Annual Economic Conference,Boston,Massachusetts,

October14,2016

 

 

 

元・米経済学会会長オリヴィエ・ブランシャール

 

日本経済には、基礎的財政収支の赤字が

長期にわたって必要、と主張。

 

 

オリヴェエ・ブランシャール/田代毅「19-7日本の財政政策の選択肢」

(Policy Brief :ピーターソン国際経済研究所2019年5月

https://www.piie.com/sites/default/files/documents/pb19-7japanese.pdf

 

 

 

Molly Smitn

「米インフレ、来年後半に落ち着く見通しーイエレン財務長官」

(Bloomberg)2021年11月23日

 

 

 

 

ノーベル経済学賞受賞した経済学者17人が公開書簡を発出、

バイデン政権のこの財政政策、

 

 

インフラ投資、クリーン・エネルギー開発、研究開発、教育などの

大規模な財政支出を支持、

 

 

こうした積極財政こそが、

「長期のインフレ圧力を緩和する」と主張している。

 

 

 

17名のノーベル経済学賞受賞者、一覧

 

 

ジョージ・アカロフ、アンガス・ディートン、ピーター・ダイアモンド

ロバート・エンゲル、オリバー・ハート、ダニエル・カーネマン

 

エリック・マスキン、ダニエル・マクファーソン、ポール・ミルグロム

ロジャー・マイアソン、エドマンド・フェルプス、ポール・ローマー

 

ウィリアム・シャープ、ロバート・シラー、クリストファー・シムズ

ロバート・ソロー、ジョセフ・スティグリッツ

 

 

「景気回復アジェンダを支持するノーベル賞受賞者からの公開書簡」

(Economic Policy Institure)2020年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今の日本経済は、野口が考えているほど単純ではなく

需要不足とコスト・プッシュ・インフレという悪質なインフレが、混在する。

 

 

これに対応するには、野口の矛盾した論理と

まったく別のやり方でしか対応できない。

 

 

需要不足にも対応しなければならないし

悪性インフレのために供給能力も高めないといけない。

 

 

 

超整理法とやらで、野口の頭は整理されすぎて

考える力も、分析する力も失われてしまったのかも

 

 

いや、元々ないだけか。

MMT批判どころか、主流派の議論にもついていけてないんだもんな。

 

 

 
 
 

 

 

 

 

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