Crier cries... -4ページ目

Crier cries...

誰にもいえない、心の叫び。

こんなにも好きだという気持ちを伝えたいと思ったのは、いつ以来だろう。


胸が捩れるような切ない想いを感じたのは。


今のあたしは、それを伝えることなど許されないけれど。


好きだけど、付き合うことはしたくない。


それなのに、好きだ、なんて伝えられるわけがない。


たとえば、もうあのひとがあたしにほんの一欠けらも興味を持っていないとしたら、


たとえば、既にあたし以外の特別な誰かがあのひとの傍に居るとしたら、


あたしは素直に自分の気持ちを伝えられるのに。


いつかそのときが来たら、きっとあたしは涙するのだろう。


あたしを必要としなくなったあのひとに。


あのひとに何も与えられなかった自分という存在に。


それでも、そのときこそ心から言える。


「あなたが好き」


「あなたを好きになってよかった」


「どうか、幸せに」と。

月に一度ほど親戚と一緒に食事をするお店の選択肢に、


あのひとのバイト先があることは以前から知っていた。


ある意味、賭け。


そのお店が選ばれないかもしれないし、その日あのひとがバイトに入っていないかもしれない。


けれど、条件は揃った。


あたし達はそのお店に食事に行って、あのひとはいた。


もしいたら、驚かせてやろうと思っていた。


「久しぶり」って笑って、「頑張れ」とか言って。


そのはずだったのに、4ヶ月ぶりに見たあのひとの姿は


あたしを予想以上に動揺させた。


手が震えて、心拍数が上がり、食事の味なんて少しもしなくなった。


賭けは、あたしの惨敗だった。


馬鹿なあたし。


今度こそあのひとから離れられると思えるようになってきた今になって、


こんなにも、まだあのひとを好きなんだと思い知らされるなんて。




あたしにとっての幸せとは何だろう。


ひとりぽっちは寂しいけれど、今すぐ彼氏がほしいというわけじゃない。


まだ心の整理がついていないから、


誰かのために何かをしてあげる余裕がないと思う。


今のあたしにとっての幸せとは、


誰かに何かを与えてもらうことではなく、


誰かを愛せるあたしに生まれ変わることかもしれない。



誰かと居ることよりも、今はひとりの時間を過ごしたい。


ひとりで、何か新しいことを始めて、


なんでもいいから夢中になれることを探そうと思う。


あのひとと出会ったあの頃、あたしは大学のサークル活動に一生懸命で、


そんな自分が少しだけ好きだった。


そして、そんなあたしをあのひとは見つけてくれた。


自分を好きになることは大事。


好きじゃない自分を、好きになってもらうことは難しいもの。


だから、ね。


ひとりで居る時間は寂しいだけのものじゃない。


決して無駄になんかしない。



なんていうタイミング。


なんていうタイミング。


この場所で言葉を綴っている間に、あのひとからメッセージが届いていた。


日付が変わったあと、3日遅れの年賀メール。


あまりのタイミングに驚きはしたけれど、内容はどうと言うこともないもので、


あたしも友人に対するのと変わらないような返事を書いた。


当たり障りのない遣り取り。ただそれだけのこと。


そう、思っていたのに。





久しぶりに夢を見た。


あのひとの夢。


あたしは誰か別の男性と一緒にいて、偶然あのひとと出会った。


場所はなぜかあたしの高校。


あのひとと出会う前のあたしの居場所。


あたしは酷く動揺して、傍にいた男性の腕を強く引き寄せた。


あなたがいなくてもあたしは平気なんだよって、態と見せつけるみたいに。


一緒にいた男性のことはよく覚えているのに(全く知らない架空の人物だ)


あのひとがどんな表情をしていたかは、もう思い出せない。


夢から覚めて、あたしは思い知る。


自分が如何に虚勢を張っていたのかを。


平気だと、忘れたと、新しい「あたしだけのひと」を見つけるのだと、


必死に自分へ言い聞かせているのかを。


こんなにも心を捕らえて離さない、あのひとという存在を胸に抱いたままで。