Crier cries... -3ページ目

Crier cries...

誰にもいえない、心の叫び。

気になっていた後輩くんと夏に二人でお出かけして、

二人きりのランチを何度か。

年齢が近いだけあって、話をする機会もそれなりに。

接する度に

「この人は違うな」

って思っていた。



聞くところによると、最近彼女が出来たらしい。

残念ながら、それを聞いてもあたしは悲しくも何ともなかった。

おめでとう。

ただ一言、それだけ。



あのひとに彼女が出来たと聞いたなら、あたしは独り泣き崩れるんだろうけど。

嗚呼、あたしはなんて       。
男性と女性がふたりきりで何処かへ出掛けるということは、

あたしにとってはそれだけで特別なことだった。

なんとも思っていない人なら、わざわざそんなことしないでしょう?

そう、思っていた。

だけど、あたしの世界が広がって、

なんとも思っていない男の人とふたりきりで出かけられる友人がたくさん居て、

それはあまり特別なことではないのだと知った。



そう、特別な意味なんか、ない。

お願いだから、そんな風に考えないでね?

全然、深い意味などないのだから、

何も考えずに、ただ一言、「うん」と頷いて。


妄想してみる。

たとえば、付き合うことになったとして。

交友関係の広い彼に、あたしは嫉妬してしまうんだろう。

あたしだけのものになってほしくて、

泣いて、

縛り付けて、

困らせてしまう。

誰も幸せになれない、負のスパイラル。

その入り口が、あたしの目の前で口を開けてる。

だから、いまは「すき」の一歩手前で、

ただその姿が見られるのを楽しみ、

1日1回でも会話ができるのを喜んで、

そうして降り積もる小さな幸せに胸を高鳴らせているのが、きっと丁度良い。



最近気になり始めた、2つ年下の後輩くん。

思えば、あのひともあたしより2学年下の後輩だった。



あのひととの最初のきっかけは、あのひとが好きな歌手のCDをあたしに焼いてくれたことだった。

後輩くんが、何気なくCDを貸してくれたとき、あたしの胸がざわめいた。



あのひとがくれたCDの御礼に、あたしは手作りのパウンドケーキをあげたっけ。

なんだか懐かしくなって、返すCDの手提げにそっとパウンドケーキを忍ばせた。



重なる過去。

重ねてみる現在。



「すき」という気持ちが分からなくなってしまったあたしだけど、後輩くんと話す他愛ない時間は楽しい。

付き合う前のあのひとに感じていたのと同じ。

その人が笑っているだけで、なんだか嬉しくなる。

他の誰かと楽しそうにしていると、一瞬胸が捩れるようにギュッと痛くなったりする。

これが、「すき」ってことだっけ?

なんだか、もうすぐそこまで、思い出せそうな気がしているのだけど。




あのひとと別れて、9ヶ月。

その間、一度だけ、会って。

ごはんを食べて、またねって別れた。

もう一度付き合う?とか、そんな話をすることもなく。

あのひとが自分から切り出せないことを知ってて、あたしも切り出さなかったから。

「まだ好きだけど、もう付き合いたくはない」なんて、

あのひとを傷つける言葉を言いたくなかった。

あるいは、結局のところあのひとを突き放すことができない、あたしの弱さだったのかもしれない。

だけど。

あのひとを引きずり続けたあたしに、小さな小さな変化が訪れた。

立ち止まったまま、何も感じられなかった心に、ほんの少し掠めた想い。









気になる人が、できました。