リンパ節廓清と射精障害について思うこと | 精巣腫瘍治療記+α

精巣腫瘍治療記+α

2009年末、21歳で精巣腫瘍に罹患。一度は転移なしとなったものの翌年再発し5月から化学療法。患者であると同時に薬学生でもあるので、患者側と医療側双方の視点でこの病気と向き合っていければと思います。また自分の病気とは関係ない勉強、研究、趣味の話もちらほら。

前のエントリからの続きです。
今後の自分の治療としてリンパ節廓清(リンパ節の除去手術)が入る可能性が高いこと、
根治を目指す精巣癌という病気においては廓清を行うことはおそらく標準的であること、
しかしながら、廓清には射精障害を引き起こすリスクが付きまとうことなどを述べました。
射精障害(逆行性射精)とは性行為時などにおいて射精できず精液が膀胱に逆流する障害です。
これらのことについて、詳しくは以下の国立がん研究センターの解説をご覧ください。
精巣腫瘍(6.治療の副作用 3)その他の副作用 を参照)
性機能障害とリハビリテーション(男性)(2.射精機能障害を参照)


なお、自分と主治医との間で実際に廓清の話が出てきたのはまだここ数日のことで、
手術の方法やリスクの程度などはまだ全然話していません。
ここに書くことは上の国立がん研究センターのサイトのようなネット上で得た情報、
あるいは書籍などで得た情報をもとにしています。
間違いがあるかもしれませんし、今後自分の治療方針も変わってくるかもしれません。


さて。
廓清に対する自分の今の率直な気持ちは「いやだな」です。
手術そのものが怖いっていうのも無くはないけど、おそらく医師にとっては
手術自体はそんな難しいものではないだろうし、
部位は違うとはいえ既に1回腹を開けているので、怖さはそんなにない。
「いやだな」は、専ら射精障害のリスクに対する気持ちです。
とはいえ、廓清をしない場合の再発のリスクも怖いし、
次の再発は本当に命にかかわると認識しているので、
結局廓清を受ける以外に選択肢はないのだろうな、という気持ちも一方で持ってます。
命と性機能とでは、天秤にかけるまでもない。
というか天秤にかけようとすること自体が怖い。

だけど、やっぱりためらってしまう。
それは、ひとつには、この障害のインパクトを今はまだ実感できないからかもしれません。
僕は今の時点では結婚なんて全く考えられない。まして子供をつくることなんてまだまだ先。
だけど、この障害は、その「まだまだ先」に関わってくること。
今実感できないからこそ、この障害について過大評価してしまうのかもしれません。
いま恋人がいないこともあるのかもしれない。
(というか今まで生きてきた中で付き合ったことがあるのは1人だけで、
その人とも数カ月で別れたのだけど・泣)

ただ、射精障害は造精機能障害とは違うので、もしなったとしても、
膀胱などから精子を回収することは可能であることが多いです。
また、今回廓清を本当にすることになったら、精子の凍結保存もする予定です。
(化学療法期間中なので精子が障害されている可能性はあるけど)
だから、将来子供を作ろうと思えば、作れないわけではない。
ただし、その場合は体外受精をすることになるわけで、
自分の身体の問題なのだけど、実際に負担がかかるのは女性の方なんですよね。


上の国立がん研究センターのページで、
『性機能障害があると、「自分は男性として性的な魅力を失った」と感じ、
そのような自分を卑下するなど、自尊心の低下がある方もいます。
しかし、性機能障害がおきたからといって、本来その人の持つ男らしさに
何ら影響を及ぼすものではありません。』
って書いてあるけど、はっきり言って、それは綺麗事というか。
実際他人からどう思われるのかは気になるし、特に女性がどう思うのかは、怖い。
それにこんなこと誰にも相談できないし。

べつにこういう能力だけが「男らしさ」であるとは思わないけれど、
でも、いくつかある男らしさ、あるいは人間的な魅力と呼ばれるもののうちの1つを、
決定的に失ってしまうということにはなるのだと思います。


女性のみなさんに聞きたい。
もし、恋人から
「俺じつは精液が出ない身体なんだ」
とカミングアウトされたらどう思いますか?
あるいは、
「あなたのことが好きです。…だけど、実は俺射精障害なんだ」
と告白されたら?
恋人で終わるような関係ならまだしも、それが結婚まで考えるような状況だったら?
率直な意見が聞いてみたいです。綺麗事はいいので。
他にもいろんなご意見を聞いてみたいと思っています。




…まー、女性経験ほぼゼロの人間が何言ってんだって感じではありますねー。
恋人がいないのは障害がどうのこうの以前の問題だろっていう(笑)
それに、どうあれ主治医が廓清しようって言えばすることになるかとも思いますし。
ただやっぱり「普通の人」が射精障害というものについてどう思うかは聞いてみたいので、
コメントいただけると幸いです。
よろしくお願いします。