中小企業の景況感、26年ぶりの水準に
日銀は12月15日、全国企業短期経済観測調査(短観)を発表。国内外の景気回復が長期化する中で、中小企業の景況感も平成18年のピークを越え26年ぶりの水準となりました。
日銀の短観で最も注目されているのは、景況感が「良い」と応えた企業から「悪い」と答えた企業を差し引いた業況判断DI(Diffusion Index:各種判断を指数化)で、輸出が好調な大企業の製造業ではプラス25と、前回からさらに3ポイント改善。5四半期連続改善しています。
一方、大企業の非製造業ではプラス23と横ばいで、業種にとらわれず人手不足が改善を遅らせた結果となりました。

中小企業、製造業プラス5、非製造業プラス1ポイント改善
大企業の恩恵がようやく中小企業にも回ってきており、中小企業の製造業は5ポイント改善してプラス15。非製造業も1ポイントですが改善しプラス9となりました。
企業の規模や業種にかかわらず非製造業での人手不足は深刻な課題となっており、人員が「過剰」と応える企業から「不足」と応えた企業を差し引いた雇用人員判断DIでは、全規模・全産業でマイナス31と、バブル期崩壊直後の平成4年2月以来のマイナス幅を記録しました。
短観では、大企業の輸出が堅調で景気拡大を牽引して、中小企業も景況感が表れてきましたが、課題は「人手不足」と、今後の「先行き」きです。
先行き景況は製造、非製造ともマイナス
3ケ月後の先行きでは、大企業の製造業が6ポイント悪化しプラス19、非製造業が3ポイント悪化のプラス20と、人手不足による収益の悪化や海外情勢の懸念が示されました。
本来であれば、人手不足を解消することで企業の収益性は向上し、安倍政権の来年の春闘での賃金3%越えアップによって企業の利益が従業員に行き渡り、消費意欲の改善につながる好循環となるはずですが、まだ実感がないのが実情です。
平成25年から安倍政権となり、アベノミクスや日銀の金融緩和で円安傾向となり、輸出を中心に景況感は改善されてきましたが、経済の好循環はまだ未知数です。経営者にとっては、先行きが見通せず賃上げできなかったことが要因で、それは現在でも変わっていません。
自動車、IT、建設の輸出は依然好調
海外先進国や新興国が景気回復に向かう中、日本の企業も自動車やIT(Information Technology:情報技術)、建設関連の輸出が好調で「生産用機械」や「電気機械」など業績を伸ばし、下請けとなる中小企業へも恩恵が行き渡るような構図となってきています。
国内の工場の稼働率も高まり、生産設備が「過剰」と応えた工場から「不足」と応えた工場を差し引くとマイナス6となり、26年ぶりの低さとなっています。中には機械フル活動でも追いつかないという中企業の工場も増えています。今後の「人手不足」と「先行き」の動きが重要となり、注視されます。
[2017.12.19]



