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CRI時事経済ブログ

不動産のリースバックを利用した経営コンサルタント「CRIコンサルタンツ」の業界動向、時事経済ブログ

過去最大規模の大型買収の陰にデジタル化の波
 日本経済新聞社が、英国の有力経済紙「フィナンシャル・タイムズ」(FT)を買収しました。FTの親会社の教育・出版大手ピアソン社から、8億4400万ポンド(約1600億円)で全株式を買い取っています。日本のメディア企業による海外企業の買収としては、過去最大規模の大型買収です。その背景には、メディア業界で急速に進むデジタル化の波があります。

FTは1888年創刊。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙と並び称される、経済報道の雄です。有料読者数は73万7000人で、このうち電子版が約7割を占めます。電子版の読者は過去5年間で約3倍に伸びており、読者に富裕層が多いのも特徴です。
日経新聞は、朝刊発行部数が約273万部(今年6月末現在)。電子版の対応を強化しており、有料読者数は43万人。日本の大手新聞メディアでは、電子版の収益が最も高い企業です。いわば、デジタル対応に成功した英国と日本の経済紙が一緒になったのが、今回の買収です。

フィナンシャル・タイムズの圧倒的なブランド力
日経新聞は、バンコクにアジアの編集拠点を置き、2013年からはアジアの経済ニュースを英語で配信するなど、編集、事業両面でアジア傾斜を強めています。その情報量は国内他紙の追随を許さず、デジタル分野でグローバル展開をするメディアとして、他紙を圧倒しています。FTのブランド力は、アジアの企業情報を欧米の企業などに売る際の大きな後ろ盾にもなるでしょう。
一方、FTは、米メディアを中心にデジタル分野での競争が加熱するなか、ピアソン社に投資拡大を求めてきましたが、折りあわず、よい"再婚相手"を求めていました。

 国際組織の世界新聞・ニュース発行者協会によると、全世界の新聞購読者は、紙媒体で27億人、デジタル媒体は7億7000万人。近年はデジタル媒体による購読が急増しています。「デジタルを制する者は世界を制する」。そう言っても過言ではない時代が到来しました。

[2015.8.6]
ネット通販販路拡大狙いの裏で
カジュアル衣料品の大手「ユニクロ」が、中国インターネット通販大手「京東集団」の仮想商店街サイト「京東商城」を通じた販売を中止しました。今年4月に事業がスタートし、わずか3ヵ月。背景には、中国ネット通販業界の競争があるようです。日経新聞が報じています。

海外ユニクロ事業は、2014年8月期の売上高が、前期比7割増の2081億円。中国・台湾で利益の半分を占めています。中国では、02年に上海市で1号店を開店以来、11年には店舗数が100を突破。ネット通販の売上高は全体の5%以上あり、中国ネット通販最大手の「アリババグループ」の仮想商店街サイト「天猫(Tモール)」が好調でした。ユニクロは、このネット通販のさらなる販路拡大を狙い、業界第2位の京東集団と業務提携したのです。京東集団は自社で商品在庫や物流を管理しており、「天猫より品質がよい」という消費者の評価もありました。

想定外の"速達サービス"
誤算は、京東集団の動きでした。京東集団は、ユニクロ専用の大規模倉庫をつくることを決め、ユニクロ京東店では、上海市内なら6時間以内に商品を届けるという異例の速達サービスを展開しました。これが、アリババグループとも協調しつつ、ネット通販の複線化を進めようとしたユニクロにとっては、想定外だったのです。京東集団の追い上げを嫌うアリババグループから、猛烈な抗議と反発を受けたと見られます。同グループの創業者はソフトバンクグループの取締役を務める、同社の孫正義社長の盟友。当然、配慮が求められます。

お互いに拙速だった?
 ユニクロを経営する「ファーストリテイリング」の柳井正会長兼社長は、「あらゆるところと公平に組む」ことを信条とします。若者を中心に人気のユニクロと提携し、一気に「アリババ包囲網」を広げようとした京東集団には、手痛い失点でした。中国企業の競争、戦略の激しさ、契約に対する意識を読み切れなかったユニクロ側にも、反省点ありといえそうです。

[2015.8.5]
成功体験にも失敗体験にも飛躍のヒントが隠れている
 日本の企業数の98%を占める中小企業。その底上げを通じて、経済の活性化につなげようと、経済産業省がホームページで、中小企業経営者の事業体験を紹介する専用サイト「ミエル☆ヒント 成功のカギ/ワナ」を開設しました。「飛躍のきっかけをつかむためのヒントを簡単に探すことのできるサイトです」とうたい、約200社の成功や失敗に関する体験談が閲覧できます。他の経営者の経験は、経営の課題解消の参考になります。大いに活用しましょう。

クリックしながら頭も整理できる
 サイトは、「相談窓口を探す」「飛躍のヒントを探す」「施策を探す」の3つのパートに分かれています。以下にURLを挙げます。
http://www.meti.go.jp/interface/php/honsho/mieruka/

「飛躍のヒントを探す」は、「お悩み中の課題毎に飛躍のヒントとなる飛躍のカギや陥りやすいワナの検索ができる」が狙い。クリックしながら先に進みます。
たとえば、「製造業」を選ぶと、「ご要望」ページに移り、「得意分野で新たなモノやサービスを開発したい」「新たな販路を開拓したい」「新分野に進出したい」「企業の体力を強化したい」の中から1つを選択します。

次ページでは、「ご要望」の詳しい中身について、「資金」(研究開発ための資金がほしい/設備投資を行いたい)、「人材」(高度な技術人材が欲しい/従業員の能力を高めたいなど)/「情報・評価」(大学の技術シーズを知りたい/認証機関や研究機関等の第三者の評価・お墨付きを得たいなど)の3項目を、さらに選択。その先に、「直面していた課題」「突破口となったアクション」「アクションの結果」「今後の更なる発展」の4項目に分けた、各企業の具体的な事例が出てきます(ワナの事例はまだ少ないようですね)。

人からの情報を補うツールとして
 経済産業省は、「3つの見える化」を進めています。「成功の秘訣の見える化」「ビジネスチャンスの見える化」「支援体制の見える化」です。製造業の支援体制として、新たに構築する「中核企業創出ネットワーク」も構築します。
生きた情報を得るには、人間同士のつきあいが基本ですが、それを補うツールをあれこれと工夫しているようです。

[2015.8.4]
2018年までに国際規格を作る
 世界の最先端を行く日本のロボット技術。案内ロボット、清掃ロボット、警備ロボット、見守りロボットなど、近未来を想像させる「自律移動型ロボット」について、政府は2018年までに、「国際規格」の運用ルールを整備する方針を固めました。技術にばかり目を奪われがちですが、産業化を考える時、「国際規格」作りは極めて重要かつ、日本が決して得意ではない分野です。期待して見守りたいと思います。

ロボット技術の活用と成長戦略
 近年、ロボットは、随分と身近になってきましたね。人との会話や感情表現ができる犬型ロボット「AIBO」(ソニー)、患者のセラピーに使われたアザラシ型ロボット「パロ」(産業技術総合研究所)など、コミュニケーションやエンターテインメントに活用されるロボットが次々と誕生しました。自律移動型はロボット産業のトップランナーであり、ソフトバンクが6月に一般向けに販売した人型ロボット「Pepper(ペッパー)」は、初回販売分の1千台が完売しています。

こうしたロボット技術を活用した新産業の育成は、政府の成長戦略の1つでもあります。
市場は、世界に広がっています。けれど、開発技術で他国を圧倒しても、製品規格の主導権をとられてしまうと、製品化や輸出の足かせになりかねません。国際規格を主導することは、開発と「車の両輪」となる大きな課題なのです。介護ロボット分野では、すでに基準作りが進んでいます。


ドローンと同じ轍を踏まないように
さて、自立移動型ロボットについて、政府は、2017年度に、国内外から開発企業・団体を公募し、18年度に、国際空港や日本科学未来館、東京・お台場地区などで実証実験を行います。実験結果をもとに、ロボットの大きさや動作速度、外装の素材などの規定、障害物などに衝突した場合の自動停止する機能搭載の義務付けなどをルール化します。

世界は急ピッチで追いかけてきます。小型無人機「ドローン」の規制基準作りでは対応が後手にまわりましたが、同じような轍を踏まないよう、関係機関に奮起して頂きたいものですね。

[2015.8.3]
最終局面での電撃発表
民事再生手続き中の航空会社「スカイマーク」を巡り、再生の担い手として、「ANAホールディングス」と、米航空機リース会社「イントレピッド」の闘争が激化しています。ANA側の支援を軸としたスカイマークの会社案と、イントレピッド案の2案が、8月5日の債権者集会に諮られる異例の展開になりました。最終局面の今月、イントレピッドは、航空業界最大手の「米デルタ航空」をスポンサー候補に選んだ、と電撃的に発表。いずれの案が承認されるにせよ、スカイマークの再生が、利用者本位の、健全な競争の再生につながることを望みます。

デルタのメリット、デメリット
スカイマーク最大の債権(38%)を保有するイントレピッドは、欧州エアバスなど他の債権者との連携を模索してきました。そして、最後の最後に、業界最大手のデルタが登場しました。

デルタは、日本発着の国際線を24路線運航していますが、所属する航空会社連合「スカイチーム」が日本国内で提携する航空会社を持たないため、国内路線網の拡大が進みませんでした。羽田路線を持つスカイマークとの共同運航の実現を、大きなビジネスチャンスと捉えています。

一方、(非常に複雑な展開ですが)スカイマークはすでに、ANAが支援企業になる契約を結んでおり、社内には「ANAは、将来の上場まで認めている。デルタのほうが組みにくい」とする警戒心もあります。デルタに、どんな経営支援ができるかも未知数です。また、デルタの日本路線の半分以上が成田空港の発着なのに対し、スカイマークは現在、成田に乗り入れておらず、共同運航をしても、乗り継ぎの不便さが解消されないという課題も残ります。

第3極の立場復活なるか
再生計画案の承認には、「債権額の総額の2分の1以上の同意」と「債権者の過半数の同意」が必要で、両陣営ともそれを得られず、再生案が宙に浮く事態も懸念されます。そうした事態は避けてほしい。スカイマークが、ANAやJALに対抗する「第3極」の立場を取り戻し、業界内に再び価格や質の競争が生まれることが、国民の利益につながると、私は思います。

[2015.7.30]