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CRI時事経済ブログ

不動産のリースバックを利用した経営コンサルタント「CRIコンサルタンツ」の業界動向、時事経済ブログ

コードネーム「JI47」で逆風に立ち向かう
 ビール各社の競争が一段と激しくなりそうです。若者のアルコール離れ、格安の発泡酒志向など"逆風"が続くなか、主力商品を「都道府県ごと」に造り分け、地域に密着した広告を打つ試みを、最大手の「キリンホールディングス」が始めます。新商品の開発コードは、「JI47」。「地元」「一番搾り」「47都道府県」の頭文字を並べた異色のネーミングです。

 国内のビール市場は昨年、19年ぶりにプラスに転じました。しかし、その伸び率はわずか0.1%。愛飲者の高齢化が進み、若者のビール離れに歯止めがかかりません。業界からの再三の要望もあり、酒税改正では、発泡酒より高いビールの税率が引き下げられる見通しで、需要のふくらみが期できますが、それでも、味とアイデア、広告を駆使した各社の"消耗戦"に終わりはありません。サントリーはEXILE、アサヒはラグビーの五郎丸選手などPR用のスター探しに懸命です。

新潟ならば日本酒も連想させる味わいに
「JI47」は、こうした状況下で生まれた、新たな視点の戦略。人気グループの「嵐」を使ったテレビCMは継続する一方、都道府県ごとに味わいが異なる派生商品を「47都道府県の一番搾り」という名称で春以降、順次発売します。たとえば、新潟県ならば、雪国をイメージした雪のような泡立ちで、日本酒も連想させる味わいも込めます。昨年、同社の国内ビール販売量が21年ぶりに前年を上回り、布施孝之社長は「今年はV字回復の流れを本物に」と意気込みます。

 「JI47」のコンセプトは、「自分らしさ」といいます。若者の地元志向はかねてより指摘されていますが、その根っこに「自分らしさ」があると踏みました。挑戦の行方を見守りましょう。

[2016.2.5]
議決権を維持したまま資金調達ができる
「日本政策金融公庫」が、従来の"安定志向"から一歩踏み出し、ベンチャーキャピタルやソーシャルビジネスへの融資を積極化させています。ベンチャー育成は政府の成長戦略の一環であり、ソーシャルビジネスは超高齢社会の重要な核ですから、当然といえば当然。しかし、具体的な融資内容に新たな試みもみられ、地域の活性化に一役買う意気込みは買いです。

 日本公庫は昨年10月、電子ビームの発生装置と半導体素子の研究・開発を手掛ける「フォトエレクトロンソウル」(名古屋市)に「資本性ローン」で融資をしました。11月は同様の手法で、半導体の製造工程で使う高性能フィルターの洗浄技術の事業化に取り組む「エイエスピー・カラーズ」(三重県松阪市)に資金を貸し付けています。「資本性ローン」は、ベンチャーが議決権を維持したまま、資本に性質が近い資金を調達できる制度。公庫側にとっては、企業が倒産した場合、資金の回収や弁済がやや難しく、サポートの意味あいが強いものです。

地域課題にビジネスの手法で取り組む形も
高知では今年1月、県や県社会福祉協議会と連携し、地域課題にビジネスの手法で取り組むソーシャルビジネスの支援組織「高知ソーシャルビジネス支援ネットワーク」を設立しました。介護・福祉や子育て支援、町おこしなどを手掛けるNPOの設立や融資の相談に乗ります。高齢化・人口減の最先端地域の1つである同県のニーズを踏まえたものといえるでしょう。

[2016.2.4]
所有者の3分の2が合意すれば建て替えへ
 老朽化したマンションや団地が建て替えやすくなります。政府が、大型マンションや団地の建て替えに必要だった「所有者の合意」を、現行の「8割以上」から「3分の2」へ引き下げる方針を示しました。都市再開発法などの改正案を通常国会に提出し、民間の建設投資を促します。

1960年代以降、高度経済成長を謳歌した日本では、住宅団地やマンションの建設ラッシュが続きました。国土交通省の統計では、築45年超の団地は現在、291か所。2045年には、約14倍の4093か所に激増する見通しです。老朽化の進行で、居住環境や安全面にも支障が出ています。エレベーターがないなど、高齢者に対応していない建物も多くあります。分譲マンションでは、現在約38万戸が空き家となっており、古くなるほど空き家率が高まります。

第一に優先すべきは誰なのか一考を
現行では、建て替えの際には所有者の「8割以上」の合意が必要なのに加え、マンションを更地にして売却し、別の場所に住み替える場合には、「全員」の合意が必要です。法改正は、景気抑揚の影響力が大きい建設業界を活性化するため、主に都市部の大型団地などを対象とします。市町村などの自治体が認めれば、小規模の建て替え案件にも適用します。建て替えを進め、建物の利便性を高めることで、若年層を呼び込む効果も期待しています。

 とはいえ、第一に考えるべきは、古い物件に住む高齢者のことです。資金に余裕がある高齢者ばかりではありません。貯金も乏しいのに「賛成」はできない。再開発や高層化により、空いた敷地内に介護施設や保育所、商業施設などを併設する構想のようですが、弱者に不利にならないことが基本です。

[2016.2.3]
バナナ栽培に生き残りをかける
全国の自治体が「地域おこし」に取り組んでいますが、日経新聞で、面白い記事を目にしました。群馬県みなかみ町の「猿ケ京温泉」が、温泉排水の熱を利用してバナナを栽培する試みを始めたというのです。住民と建設コンサルタント会社や大学が連携し、「温泉バナナ」に乗り出します。

 猿ケ京温泉は、赤谷湖の建設に伴い、湖底に沈むことになった「湯島温泉」と「笹の湯温泉」が高台に移転してできました。今年で60年を迎えます。東京からは、上野駅から上毛高原駅までが、上越新幹線で70分。そこからバスで30分。よい温泉地ですが、歴史や、これといった観光の目玉がありません。生き残りをかけて、外からの知恵や挑戦が必要でした。

収穫体験も観光イベントに
みなかみ町によると、猿ケ京温泉の客数は、2006年度が24万人以上でしたが、その後減少し、14年度は約19万8千人。打開策として、企業や大学と研究会を立ち上げ、15年2月から始めた活動が、バナナづくりでした。温泉の一画にある畑には、バナナ用のビニールハウス1棟が立ち、約37度の温泉排水が引かれています。木くずを燃料にしたバイオマスボイラーなども使い、加温・加湿を可能にしました。目下、本格的な栽培の準備が進行中です。

 農林水産省からも補助金を受け、「なるべく利益の高くなる作物」として、バナナを選びました。地元は「観光業とも連携し、収穫体験とハイキングを組み合わせた企画なども行いたい」と意気込みます。どこまで成功するかは、未知数。でも、寒冷地の温泉とバナナという、その組み合わせの奇抜さに、"夢"と"熱意"を感じませんか。

[2016.2.2]
2033年には全国の3割が空き家に
 全国で増え続ける空き家対策をどうするか。国土交通省は、耐震性などの基準を満たす空き家を、公営住宅に準じる「準公営住宅」とし、生活費負担が大きい子育て世帯などに貸す方針を決めました。2017年の通常国会に向け、法律上、制度上の細かな点を詰めていきます。

全国の空き家は、13年時点で820万戸。10年間で約25%増えました。野村総合研究所の調査では、有効な対策が講じられない場合、33年には2150万戸となり、空き家率は3割を超えます。一方、公営住宅は全国に216万戸(2013年度)で、この10年間、増えていません。自治体の財政が厳しく、公営住宅の新設費用に予算が回らないのです。国は子育て支援や女性の活用を唱えますが、子育て世帯にとって住宅費が負担である現状も手付かずです。

クリアすべき課題は多く...
国交省の発想は、公営住宅の建設費抑制と、子育て支援、あるいは低所得の高齢者支援を「両立」させようというもの。準公営住宅は民間の住宅賃貸業者が仲介し、借り手は、民間物件と条件を比べてよいほうを選ぶようにします。準公営住宅の家賃は公営住宅よりも高くなりますが、家賃の補助などで、同水準の民間物件よりも実質的に安くすることも検討中です。

 法整備には苦労しそうです。まず、準公営住宅として認める空き家の「耐震性」「省エネ性」「遮音性」などの基準を新設しなければなりません。空き家を補修・改修する所有者には費用の補助も必要でしょう。また、準公営住宅の"価値"を上げすぎると、民間のアパートやマンションを仲介してきた不動産業者を"圧迫"することにもなりかねず、慎重な制度設計が求められます。

[2016.2.1]