CRI時事経済ブログ -122ページ目

CRI時事経済ブログ

不動産のリースバックを利用した経営コンサルタント「CRIコンサルタンツ」の業界動向、時事経済ブログ

ポイントは物流施設の立地需要の高まり

平成29(2017)年の公示地価を分析すると、オフィスビルや商業施設だけでなく、工業地も9年ぶりに上昇に転じています。背景に、「物流施設」の立地需要の高まりがあることがポイントです。電子商取引(EC)の普及や、企業物流を包括的に受託するサードパーティー・ロジスティクス(3PL)の拡大で、大型物流施設への需要が増え、適地探しが過熱しているのです。

170410_1.jpg

 

高速全線開通で工業地が上昇

工業地の上昇率トップは、埼玉県入間市の工業団地で、10.3%の上昇となりました。埼玉県では、平成27(2015)年に首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の県内区間が全線開通しました。平成29(2017)年2月には茨城県内区間も全線開通し、東京や成田空港へのアクセスが著しく改善されます。入間市の工業団地は、圏央道・入間インターチェンジ(IC)に近接し、物流用地の需要が強い。今年1月、大和ハウス工業が約1ヘクタールの土地で物流施設の建設に着工したほか、10万坪超の物流施設の供給が予定されてます。

 

物流施設に特化した不動産投資

入間市のほかでも、工業地の上昇率上位10番目までの地点は、物流用地としての需要拡大が地価上昇の主因になっています。物流施設に特化した不動産投資信託(REIT)や外資系ファンドが積極的に投資し、取得しています。東京外郭環状道路(外環道)の延伸を見込んだ千葉県船橋市の臨海部、圏央道の開通区間の延伸効果が期待される神奈川県寒川町などです。

 

沖縄でも貨物取扱高が急上昇

沖縄県も上昇していますが、ここも、那覇空港の貨物ターミナル拡大以来、貨物取扱高が急激していることが影響しています。近年では、那覇市の南に隣接する豊見城市の豊崎地区が物流の拠点として注目され、その余波が及んだ糸満市など周辺地域の工業地でも、地価が上昇しています。

 

[2017.4.10]

地価回復の動きは地方へも

170408_2.jpg

平成29(2017)年の公示地価は全国平均が2年続けて上昇し、緩やかな回復基調が鮮明になりました。訪日客の拡大が東京・銀座や大阪・道頓堀など一流地の価値を押し上げているのは当然として、地価回復の動きは地方へもその裾野を広げています。短期的な値上がり益を期待したバブル期的な投資とは異なり、地方都市の価値が見直されているのです。

 

仙台、福岡が全体の伸びをけん引

商業地で見ると、宮城県が4.7%上昇、福岡県は2.7%上昇としました。中核の仙台市と福岡市の人気が高く、全体の伸びをけん引しています。京都府でも、京都市の商業地、出店が相次ぐようなエリアが人気で、東山区の八坂神社に近いお香の専門店「豊田愛山堂」は29.2%の上昇でした。訪日客消費は一時より失速しているものの、ホテル開発などの波及効果が大きく、地価の底上げにつながりました。

 

上昇機運はブーム?

住宅地でも、9年ぶりに下げ止まりました。都道府県別で上昇率トップは、沖縄県の3.0%上昇ですが、ほかにも、利便性の高い都心居住や、行政や商業や福祉などの機能を集約した「コンパクトシティー」に期待が集まり、低迷から一転し、ブームと呼べるような上昇機運が出てきました。

 

地価が急上昇するエリアの共通点

北陸新幹線開業から2年たった金沢市では、駅前や名所の兼六園周辺エリアが6.0%上昇。昨年来、大和ハウス工業(大和ハウス工業(株):大阪府大阪市 大野直竹社長)が大型マンションを建てたほか、タカラレーベン((株)タカラレーベン:東京都新宿区 島田 和一社長)、三菱地所レジデンス(三菱地所レジデンス(株):東京都新宿区 小野真路社長)など開発計画が相次いでいます。兵庫県でも、JR明石駅前に、野村不動産(野村不動産(株):東京都新宿区 宮嶋誠一社長)が開発した34階、199戸が即日完売。高齢化や共働き世帯が増加し、就業地や居住地、駅や行政機関がそろうエリアで、価値が急上昇しているのです。

 

[2017.4.8]

横浜進出はHD全体の転機に

170407_1.jpg

西武ホールディングス((株)西部HD:東京都豊島区 後藤高志社長)が、自社の沿線から外れた「飛び地」である横浜に進出します。有料指定列車の運転と、多目的イベント会場「横浜アリーナ」の買収を2大事業とします。鉄道事業の増収を目指す以上に、HD全体の転機となる戦略です。

 

十分な連携もなく...

横浜は、西武HDにとって、身近でありながら、手付かずのエリアでした。傘下の西武鉄道(西武鉄道(株):東京都豊島区 若林久社長)は、東京急行電鉄(東京急行電鉄(株):東京都豊島区 野本弘文社長)と東京メトロ(東京地下鉄(株):東京都台東区 奥義光社長)、東武鉄道(東武鉄道:東京都墨田区 根津嘉澄)、横浜高速鉄道(横浜高速鉄道:神奈川県横浜市 鈴木伸哉社長)と5社相互乗り入れを行っていますが、連携は十分ではありませんでした。

 

平日は通勤に、休日は観光に

勝算はどこにあるのか。1つは、今年3月にスタートした有料の座席指定列車「S-TRAIN(Sトレイン)」の展開です。座席を進行方向に配置するクロスシートで、平日は埼玉・所沢から東京・豊洲を結ぶ通勤列車として運行し、休日は観光列車として横浜の元町・中華街と埼玉・秩父を結びます。この列車で、相互乗り入れのメリットを最大限引き出そうというのです。

 

イベント企画力を生かせるか

もう1つが、横浜アリーナの買収。西武HDが平成26(2014)年4月に株式を再上場して以来、初の大型M&A(合併・買収)案件となります。取得額は非公開ですが、70億円程度のもよう。横浜アリーナの平成27(2015)年12月期の営業利益は24億円、売上高営業利益率は50%でした。体験型の「コト消費」が主流となる時代、ここで手掛けた効果をグループ全体へ波及させる戦略です。多角経営の先駆的存在で、イベント企画力を持つ西部HDならではの展開といえます。

 

[2017.4.7]

仮想通貨技術を使った新しいサービス

170406_1.jpg

金融とIT(情報技術)を融合した「フィンテック」の開発が加速するなか、全国銀行協会が、「仮想通貨技術」を使った新たな金融サービスを生み出す環境整備を進めていることがわかりました。複数の銀行が連携し、送金などの分野で安く利便性の高いサービスの実現を目指します。平成29(2017)年度中に、大手銀行や地銀を問わず共同実証実験の場を設ける方針です。

 

サーバー不要のブロックチェーン

具体的には、ブロックチェーンと呼ばれる、仮想通貨の中核技術の実用が柱です。ブロックチェーンとは、インターネット上の複数のコンピューターが相互に監視しあい、取引記録を共有する仕組み。巨大なサーバーなどが不要になるため、コストが削減でき、処理スピードも速くなります。全銀協が「ブロックチェーン連携プラットフォーム(仮称)」を立ち上げ、業界全体で知見を蓄積します。システムの開発費用は、全銀協が負担する方向です。

送金コストが1/10に!

ブロックチェーンを使えば、銀行が国内外へ送金する際のコストは、10分の1~20分の1に下がるとの推計もある。手形や書類をベースにしてきた貿易金融の分野も、数日かかっていた手続きが数分で済む可能性があります。そうなれば、当然、利用者のコストも削減されるでしょう。

 

地銀にも活用の道

全銀協が昨年実施したアンケート調査では、7割弱の銀行がブロックチェーンの実用化を「検討している」と回答しました。3メガバンクはすでに、国内送金での共同実験を実施していますが、資金やノウハウの蓄積が乏しい地銀は、追いつくすべがありませんでした。全銀協は、従来のシステムを補完する形でブロックチェーンを活用する道を、全国に普及させようとしているのです。

 

[2017.4.6]

金利引下げ:フラット35子育て支援型

平成29年度の予算が成立し、4月より予算が執行されます。
住宅関連では、住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35子育て支援型(子育て支援型)」が動き出します。子育て支援型は同支援機構と地方公共団体が連携、実施されます。国が提唱する「希望出生率1.8」の実現に向け子育て支援を地方公共団体が積極的に実施、住民の住宅建設や購入に助成金、補助金など金融支援を行うことが前提となっています。
子育て支援に積極的な自治体に住む住人は、住宅を取得する場合にフラット35の金利が当初5年、0.25%引き下げられます。
対象となるのは、若年子育て世代による既存(中古)住宅の取得や、親世帯などとの同居、近居のための新築住宅、既存住宅の取得が条件となります。

170405_1.jpg

 

「同居・近居促進施策元年」となるか

従来、二世帯同居のためのリフォームへの金融支援はあったものの、住宅取得に関する支援はなく今回が初となります。この支援策により同居・近居促進施策の元年ともなりそうです。
フラット35は、長期優良住宅や低酸素住宅など、基本性能が一定水準に達すれば、当初5年または10年まで金利が0.3%引き下げられます。既存住宅では、リノベーションをする場合や、すでにリンベーション済みの既存住宅購入の場合に0.6%金利が引き下げられます。
子育て支援型は、これらの金利引下げ制度と併用できることが特徴で、実質適用金利がゼロに近くなることで、民間の金融機関からの反発も懸念されます。

 

金融支援、毎月1万円軽減

子育て支援型を利用した場合、通常のフラット35の金利が1,12%であり、仮に3,000万円を借り入れた場合、35年元利均等で毎月8万6,373円の返済となります。ただ、子育て支援型で合計0.55%金利が引き下げられると毎月の返済額は7万8,807円と1万円近く軽減されます。
5年間続けば、通常約518万円の返済が約473万円に減少し45万円ほど負担減となります。住宅関連の予算成立によって地方公共団体も子育て支援のための施策に力を入れざるを得なくなっています。

 

二世帯住宅で子世帯の負担7.6万円減

リクルート住まいカンパニーの「注文住宅動向・トレンド調査」によると、二世帯住宅を建設した子世帯側の38.6%が「住居費・生活費が削減できた」とし、住居費や食費、光熱費など毎月7万6,153円の負担がなくなったとしています。年間では約91万円以上と大きなメリットとなります。
このようなメリットを考え、国や地方公共団体の政策が浸透してくれば、単独・核家族とは逆風になり、二世帯同居や近居が増加すると思われます。

 


[2017.4.5]