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先日「ドラッカーの講義録1991ー2003」を読んだ。
昨年のブームにより「もしドラ」「マネジネント」は売れに売れ、
私が住む市内の図書館でも予約が一杯の状態である。
だがドラッカーの他の著作についてはそうでもないようで、すんなり借りることが出来る。
ためしに「経済人の終わり」を手にとってみたが、どうにも内容が難しくて途中で挫折してしまった。
講義録だったらどうかと思って借りたのが上述の本なのだが、これは正解だった。
非常に面白く、読みやすい。それまでのイメージとは違ったドラッカーの姿が見えてくる。
私自身も相当、偏見と誤解があったようだ。
まずドラッカー自身は、自分は企業経営の研究者ではなく、
非営利組織のための組織経営を専門にしていた、ということを述べている。
(これは「もしドラ」の著者も、「多くの人が一番誤解している」と指摘している)、
印象に残った話をざっと挙げると。
今の職場だけではなく別の活動、ボランティアなどで社会に貢献する必要性。教育の必要性。
金銭・利益による達成感ではない。教育の大切さ、必要性。
非営利組織(例えばオーケストラ、病院、大学、教会)への参加を、繰り返し強く勧めている。
市場主義経済社会における成功ではなく、ある分野で何か役に立っているという充足感の必要性。
知識社会の到来を予見。物質的な資本や財産ではなく知識が財産となる。→(評価経済社会のことか?)
人にはリーダーとリスナーの、二つのタイプしかない。
自分の管理が出来ているか。
自分自身の価値判断が必要。しかしこれは人類史上、初めて起こっている変化であり、経験だ。
→(産業革命以降に訪れた大変化である)
日本における官僚組織を評価している。それをすぐに排除することの危険性を指摘。
他に変わるものがないから。
日本人はアメリカ人と違い、経済から手をつけようとはしない。
日本人は社会があまりに壊れているため、社会から手をつける。
そのことをアメリカは見誤っている。
1997年の講義で、ヨーロッパにおける統一通貨(後のユーロ)の出現を予言。
とまあ、様々な至言を聞くことが出来る1冊だ。読んでいると経営学者・経済学者というイメージが変わる。
どちらかというと、思想家・社会学者のほうだと思う。
個人的には内田樹、藤原帰一、宮台真司、岡田斗司夫などが浮かぶ。
いかんせん組織経営の大切さ、重要さを説いているわけだから、
ビジネス・企業経営に携わっている人たちが飛びつくのも道理だし、
そりゃ世間一般的な誤解も受けるわな、とも思う。
またドラッカーには予言・予見が見事に当たると言われるが、
この講義の中では「予想は外れた。私が間違えていた」と率直に語る場面もある。
非常に柔軟でラジカルな面が伝わってくる。
これだけは知っておきたいドラッカー/牛越 博文

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もう一冊、読んだ。
これによると、ドラッカーは経営・経済学の権威であると。
だがドラッカーの言葉は哲学的で、難しい言い回しが多く、一見しただけでは分かりづらいものだという。
とりあえず要点として挙げるのが2点。
①本当の経営者はイノベーションを起こす。
②イノベーションを起こすには、組織の経営が必要である。
その他の話はというと。
「知識労働者」という言葉はドラッカーが造りだした。
組織の重要性。「企業の目的は利益の追求ではなく、顧客の創造である」
資本主義が終わり、知識社会の到来を予見している。
→(これは岡田斗司夫がよく言う「評価経済社会」と同様であると思う。
岡田氏はその知識社会を、もっと具体的な例を挙げて解説をしている)
また、ドラッカーを理解するのはある程度経済学を、主にケインズ、シュンペーターを知る必要あり。
ドラッカーはケインズのマクロ経済学には賛成しかねていたようだ。
デフレが何故起こるのか。
ドラッカーは本当の経営者がいなかったからだという。
イノベーションを起こせばものは売れ、デフレを脱却できる。
所謂なんちゃって経営者が多いからだ。→(でもそれは90%以上の経営者がそうだろう)
イノベーション(innovation)、あえて約せば自己革新。
技術の革新ではない。顧客は組織の外にいる第三者。
社会に満足を与える。それがイノベーション。自己革新は社会を変える。
ドラッカーのイノベーションは顧客を創造すること(利益ではない)
仕入れ価格を下げ、生産性を上げ、製品の価格を下げることによって、
顧客の満足度が上がる。
無理矢理な経費節減はまちがい。
コスト削減のためのリストラは間違っている。
イノベーションを起こせず、リストラしか出来ないような経営者は
市場から去るべきだと言ってるらしい。
イノベーションにより生じた利益は一時的なもの。周りの人々が真似をし出すと、
相対的に価格は下がる。いずれは利益は0になる。
つまり企業が生き残るためには、いつもイノベーションをしなければならない。
→そんなのできるか!!
そのイノベーションを起こすチャンスの要件まで提示している。
まず直感。「本当の経営者はよく考えずに行動する」
周辺の人々から教えられたことではなく、自分の考えるままに行動する。
→矛盾しているように思うが?
好況不況はイノベーションの有無である→(賛成しかねる)
イノベーションを行うのに組織が必要なのだ!
知識労働者とは単に知識のある労働者ではなく、
お金のために働いているのではないと考える労働者のこと。
金銭による満足だけではなく、どうやって満足感を与えるか?
それが自己実現。
成果の評価のあとに何を行うか?(もちろんそれに見合った報酬も必要)
「もっとも取り組むべきなものと、もうやめるべきものを明らかにし、最初に廃棄を行う」
なぜか私たちは古いものに執着する傾向がある。惰性・前傾主義。
ドラッカーは「退路を断て」と説く。最も重要なのはイノベーション。
新しい方法を見つけること、前進すること。それしかないから。
→経済至上主義から抜けきれない感じがある。
共通の価値観によって未来を創造する。
どうやってそれを見るか。だからこそ顧客の創造を説く。
成果の原因について考えるべきではない。分からないから。
「ゴールは資源の集中する先、成果を求めて行動する組織の道しるべである」
マネジメントにおけるプランについて。
人事を考え抜く。チャンスを与える。最適な規模にする。
社会のネットワークを広げる。非営利組織、ボランティアへの参加を強く促す理由。
会社の外に出ることによって、社会に対する貢献とは何かを身に付けるため
知識労働者。私は何に貢献できるか。
自分の得意技を理解しているのか→(難しいだろ!!)
仕事にもいろいろな仕方があることを、理解している人は少ないと説く。
理解の仕方。読んで理解するのか。聞いて理解するのか。
学習の仕方。メモをとって学ぶ人。メモをとらずに学ぶ人。
→(理解に時間がかかる人をあげて欲しかったが・・)
「イノベーションを妨げる要因は自己満足を偏った発想だ」
本当の経営者になれるのはほんの一握りで、生まれつきの素質が前提だという。
ドラッカーも自分は経営者に向かないと言う。→なんだそりゃ
初めか持っていなければならないものはintegrity、真摯さ、誠実さ、
または邪心がない、汚れがないという意味。
「人は奇跡のために祈り、成果のために働く」
感想として。
ドラッカーは絶対真理ではなく、方法論のひとつである。まあ当たり前だけど。
要は「十戒」みたいなものではないか。あるいは指南書というか参考書というか。
実際に経営に携わらずに、第三者の立場であり学者としての立場だったからこそ、
ここまでの分析、提案が出来たのだろうと思う。
だが、現実はこうはいかないのだ・・・。
提案を読むと、あまりに理想論すぎる。と思うのはいけないことか・・?
まあドラッカーも「~すべきである」というだけで「~しなさい」とは言わないし。
もしみんながドラッカーを100%理解して、すぐに経営者になれれば
世の中とっくにハッピーだ。そうはいかないから難しいのだ。
宇多田ヒカルに言わせれば「誰かの願いがかなうころ、あの子が泣いてるよ」なのだ。
別にドラッカーを全否定するつもりはない。
とかく経済学者、経営学者、哲学者、社会学者などなど
ありとあらゆる学者がいるが、彼らが言うことは絶対的な真理ではない。
~ではないか。~だろう。分析・研究による結果なのだ。
誰が正しいわけでもなく、誰が間違ってるわけでもない。そういうものだ。
それらの中で一個人、自分自身が考えながら選択しながら、身につけていくのだろう。
music grows_and so do we(音楽は成長する─そして僕らも)という言葉が浮かんだ。
私としては、ドラッカーは社会批評家であり、もっと言うと「音楽評論家」の佇まいに見えて仕方ない。
つまり、どうやって素晴らしい音楽が生まれたかについて、ある程度検証・考察することは出来るが、
今後どのように新しい音楽を生むべきかは、過去からの推察しか出来ず、
偶然生まれた音楽については、その瞬間には何の言葉も持ち得ない。
要は後付けでしか、語ることが出来ない。
私は経済学・経営学に詳しい人間ではないので、ドラッカーの言葉はイマイチ理解しきれない訳だが、
よく言われるイノベーションを、音楽業界・ビジネスにおける「音楽・作品の有り方」と考えると
なんとなく分かる気もする。・・・いや多分相当間違ってんだろうけど(苦笑)


















