ラフマニノフ "The Rock"(The Crag), Op.7 | 音に巡る想い(2005~2010) / ビデオ画像と音楽(2011~)

音に巡る想い(2005~2010) / ビデオ画像と音楽(2011~)

クラシック音楽に目覚めたのはSP時代だった。知人から借りたレコードが
きっかけ。後にLPを集めたりしたが、時に感動して涙した頃が懐かしい
な~。/

主に四季の花や自然の風景などビデオ撮りした動画に、出来るだけ自作のBGMを付けて載せたいと思います。

標題の曲名は、後に Fantasy for Orchestra とあり、ネット

検索すると「幻想曲 岩(或いは巌)」とある。
交響曲第3番のあとに収録されている輸入盤だが、いつも
第2面の交響曲が終わったところで、針を上げてしまう。
今日は、そうせずに最後まで聴いた。今回もまあ、ブログの
ために・・・・。


レコード第2面の最初は交響曲第3楽章であるが、久しぶり
なのでスピーカー・ケーブルを変えてから聴くのは初めて。
だから、いつものことではあるが豊富な音に驚かされる。
それに輸入盤の特徴である透明感と音の抜けがいい。


さて「幻想曲 岩」はコントラバスの重く暗い音で幻想的に
開始される。これが巨岩のイメージか。
やがてホルンに次いでフルートやクラリネットなどの木管が
ささやくように奏せられる。
次第に高揚したり、冒頭のコントラバスに戻ったりの起伏と、
後半でのクライマックスがあるが、最後は静かに神秘的に
閉じられる。


解説によると、この作品は文学から霊感を受けて生まれている。
チェーホフの「In Autumn」という暗い物語を扱っていて、その
物語とは・・・・・・
一泊した宿で偶然出会った若い女性と、人生を破滅した男性
老人が、翌日には反対方向に旅を続けねばならないことから、
2人が互いに心惹かれながらも、それがそこで終わるという
ものだ。

この物語の冒頭の題辞に、チェーホフはレールモントフの次の
ような詩2行を物語の要約として記している。

  小さな黄金の雲がその夜眠っていた
  巨大で厳しい岩の胸の上に


この2行の詩を、ラフマニノフはスコアの最初に複写しているのだ。
つまり、表面的にはチェーホフの物語を読んで、そこから霊感を
得て作曲したのだが、レールモントフの詩の持っている比喩的な
表現に、ラフマニノフが詩的に反応して生まれた作品と言ってよさ
そうだ、というのである。


木管によるささやくような旋律は、月の光が雲を黄金色に染めて
いるようでもあり、若い娘が老人にささやきかける愛の歌でもある
ように聞こえる。
しかし、全体としては暗い音楽で、たとえ全奏によるクライマックス
さえ、重苦しい悲愴感が漂っているように聞こえた。
曲の最後は、諦めのような弱いティンパニで終わっている。


なお、この曲はリムスキー=コルサコフに献呈された。


 演奏:エド・デ・ワールト/ロッテルダム・フィルハーモニック

                         オーケスタラ(LP盤)