ブロッホ 「シェロモ」 | 音に巡る想い(2005~2010) / ビデオ画像と音楽(2011~)

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クラシック音楽に目覚めたのはSP時代だった。知人から借りたレコードが
きっかけ。後にLPを集めたりしたが、時に感動して涙した頃が懐かしい
な~。/

主に四季の花や自然の風景などビデオ撮りした動画に、出来るだけ自作のBGMを付けて載せたいと思います。

今日はブロッホ作曲「シェロモ」。 私は作曲家も曲も
殆ど知らない。
ただ、前回の「詩曲」から思いついたので取り上げる
ことに。と言うのはショーソンの「詩曲」がヴィオリンと
オーケストラのための作品だったことから、ふと今回の
曲を思いついた。つまり「シェロモ」はヴァイオリンの
代わりにチェロ。
正確には・・・改めてレコードのジャケットを見て(苦笑)
「チェロと管弦楽のためのヘブライ狂詩曲」とある。

そんな訳でふと思いついた曲だけれども、いざ、これは
難しそうだ。
なにせ、シューマンのチェロ協奏曲を中古のレコードで
買って、それとのカップリングで一度聴いただけだった。


神秘的にチェロが高音でモノローグ的に奏し出される。
主に管の伴奏もあるが、なんとも神妙的な旋律だ。
このチェロは解説によると、ソロモン王の代弁者だと。
(なお、題名の「シェロモ」は英語ソロモンのヘブライ語
読みのこと。)

つまり、このヘブライ狂詩曲は古代イスラエルの第3代
ソロモン王をテーマにした叙事的な曲ということになる。


冒頭のチェロは、オーケストラと共に神秘的な性格を
強めながら、やがて情熱的に盛り上がってオーケストラ
全奏による第一部のクライマックス(解説)を作る。

するとまた、チェロのモノローグがあって、ファゴットと
オーボエが新しい旋律を歌う。ここが第二部の始まりだ
そうだ。
そしてこの主題が変化しながらオーケストラと共に高まる
が、ここは切迫したような緊張感をはりつめながら、壮大な
クライマックスに達する。ここには恐怖感・悲愴感といった
ものを感じる。

すると突如、再びがらっと趣きの異なる静かで瞑想的な
チェロのモノローグに。
ここからは、解説によると第一部の主題が扱われている
そうだが、あまりよく聞き分けられない。
ともかくこれがオーケストラと共に3番目のクライマックス
になる。
以上3回のオーケストラ全奏によるクライマックスは壮絶
を極めたものである。
すると最後はもう一度チェロが短いモノローグを奏でて
哀れにも寂しげな閉じ方で終わる。


ソロモン王はイスラム王国に繁栄をもたらした英知のある
偉大な王と言われるが、曲想はとてもそんなイメージには
聴き取れない。そんなことよりも、それ以降のイスラムの
南北分裂と衰退などの歴史を反映していると思われる。

作曲は1916年とあるので、その頃は「シオニズム運動」
が起こって、イスラムに明るい兆候もあったのだろうが、
曲から受ける印象は、そうではなくて、その後のパレスチナ
戦争など複雑で悲劇的な歴史とユダヤ人の深い苦悩を
暗示しているように感じられる。


 演奏:ロストロポーヴィッチ/バーンスタイン指揮

                    フランス国立管弦楽団