マンションの東の川辺では桜が満開に近いが、昨日
今日と、肌寒い。雨の降らぬ間にと、昨日の早朝、鴨川
沿いに車を走らせたが、洛北ではまだ五部咲き程度で
少し早かった。
さて、春に因んでハイドンのオラトリオ「四季」から、春を
聴いてみた。ブログを始めた翌年の春にはベームの
指揮による名盤でこの「春」を取り上げたので、
(http://ameblo.jp/crest-my7/entry-10008951129.html
)
今回はドラティ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団と
ブライトン・フェスティヴァル合唱団による演奏のレコードを
かけた。
ベーム盤は安価なステレオ・システムの頃にかなり多く
聴いたために、レコードの内周が傷んでいたので、代わり
にドラティのが買ってあった。
その機器のプレーヤー部はトーン・アームがレコードが
終わると自動で元の位置に戻る仕掛けで、初めの頃は
便利と思っていたが、実はこれがくせものだった。
針がレコード面の内周に来ると、アームを元の位置に位置
に押し戻す作用があるためレコードに溝を傷めていることが
分かった。
当時、私はハイドンの交響曲でドラティが大変良いと思った
ので、このオラトリオも期待したのだが、一聴して生ぬるい
演奏に聞こえてがっかりしたものだ。
以来殆ど聴かず終いであった。
どこが生ぬるいかと言えば、最初の「序」である。冒頭の
力強い4つの全音符がそうなのだった。
今回聴いてもそれは同じこと。そして序全体がベームに
比べて遅いテンポ。逆に細かい音やそれぞれの楽器の
音がよく聞き分けられる面白さはある。しかし、なんとも
迫力に乏しい。
むしろ、続くバス、テノール、ソプラノのレチタティーヴォが
生き生きしている。
そして有名な村人の合唱は、力強さはない代わりに、ほの
ぼのとした暖かさの感じられるものである。
第一面の終りは三重唱と合唱だが、何せレコード冒頭から
遅めのテンポで進んできたから、もう内周ぎりぎり。
もう少しエネルギー感が欲しいのに、どうも音のレベルが
低い。カートリッヂに埃が付いているようでもある。
そこで、第二面はプレーヤーに本来ついているアームで
聴いてみた。もう20年ほど使っていないカートリッヂを
先日付けておいたので、それを試す意味もあって・・・。
これはエネルギー感がある。多少品位は落ちる音だが
おとなしいこの演奏には、むしろこの方が良さそう。
ソプラノのレチタティ-ヴォに次ぐ三重唱と合唱(喜びの歌)
は迫力あって、音楽を聴く歓びが倍増した。
カートリッヂでこうも変わるか! 35年ほど昔の体験が
久々に蘇ってきた。