先日、yokochanさんのブログ( http://wanderer.way-nifty.com/poet/
)
でバルビローリの演奏によるエルガーの第一交響曲の記事にひどく
惹かれ、同時に昨年の京響のコンサートの感動を思い出しました。
yokochanさんは、当時のブログによると、その会場に遠路(横浜から
だったか)聴きに来られたほどのイギリス音楽、エルガーの愛好家で
おられます。
この曲の大好きな私も、ショルティ、C.デイヴィス、ノリントンのCDを
所持しているのですが、急に他の演奏をも聴きたくなってしまいました。
残念ながらバルビローリは見つからず、代わりにボールトのCDをネット
注文しました。
今日それが届いたので早速聴いてみました。
第2、第4楽章の演奏に特徴を感じました。
第2楽章冒頭、早足で闊歩すような旋律の前の響きが、何か違って
いました。どことなくなまめかしいような弦の音・・・。
そうです。聴き進むにつれて、この響きがこの楽章を特徴付けている
ように思われるのでした。
野性味のある楽想である反面、滑らかで優美で、艶やかでさえ感じる
ほどでした。
続く第3楽章はこの交響曲の大きな魅力。 固唾を呑んで聴き入りまし
たが、それほどのめり込めるような濃い演奏ではありません。
極く自然体の、と言った感じでした。
第4楽章 特徴的な序奏から主題に移る場面、これはあっさりと過ぎ
ました。場面転換の大袈裟な表情は全く無くて、つまり緊張感や劇的な
性格は薄かったです。
主題に入ってからも、意外なほど起伏はなく、なだらかにおとなしい。
第1楽章で聴いたブラスの迫力ある響きも、ここは非常に控え目です。
主題が回顧的、感傷的に歌われる旋律も、取り立てて感情的な表現で
なく行き過ぎました。
でも、やはり最後のコーダに向かっての盛り上がりはじんわりと訴えて
きますね。ここでのヴァイオリンは引き立って雄弁でした。
ブラスだけが表面に出るのではなく、また急き立てるような表情ではなく
て、極めておおらかに最後を締めくくる。これは新しい発見であり、新たな
感動でもありました。
全体的に、部分的な表情を際立たせるようなものではなく、少し物足り
なさを感じる点も無きにしはあらずですが、通してみると温かみのある
深い味わいの演奏と言えるではないでしょうか。
2枚目の第二交響曲を聴くのも楽しみです。
演奏:ボールト/ロンドン・フィルハーモニック・オーケストラ(輸入盤)