以前(昨年7月)ロジェストヴェンスキー指揮のシベリウス
第6番を取り上げた際、聴き慣れたシベリウスとはかなり
違った印象の演奏であったことを書いた。
それ以来、全集を買ったものの、他の交響曲を聴く気持ちが
薄かったわけだが、第5番ならどうだろうかという気になって
聴いてみた。
第六の演奏の印象から、五番が最も相性がよいのでは?
四番もいいかも知れない。七番は最も合わない、3番も合い
そうにない。後、第一、二なら面白かろうか・・・・。
勝手な憶測だが、そんな気持ちで、先ず第5番を聴いたわけ
です。
冒頭の木管の旋律は、それを引き立てようという気はさらさら
ないかの如く、他の木管も平等に鳴る。
新しい発見というか、面白いというか・・・・。こういうスタイルが
このロジェストヴェンスキーの演奏なのである。
細かいことに捕らわれず、ぐいぐい押し進む。
だから最後の盛り上がりは予想通り迫力満点。
第二楽章では冒頭のピツィカットの旋律よりも、木管がよく聞こ
える。つまり、第一楽章冒頭の印象と同様である。
感情に溺れたり、繊細なとこころは全くない。
でも、それはそれでこの楽章、なかなかよろしい。
殆ど間を置かずに最終楽章に突入。ブラスのスタッカート気味な
吹き方が特徴的に聞こえる。
かなり速いテンポで進む感じ。もったいぶったような趣きはなくて
どんどん進む。
そして最後の盛り上がりへ。ここもやや早目か。
トランペットが高らかに、そして他のブラスも力一杯に張り上げる。
各パートが縦の線を一致させない独特の書き方になっているこの
部分、それを聴き易いように吹こうなんて想いは愚か。ともかく己の
音を精一杯奏でるのだ!・・・という風に押し進む、その迫力!
最後のテュッティは凄く歯切れがよくて、ビシッと決まるね。
演奏:ロジェストベンスキー指揮、モスクワ放送交響楽団