モーツアルトのピアノ協奏曲の中で、第20番より前の作品として
最初に知ったのが 第18番 変ロ長調 K.456であった。
この曲にすっかり聞き惚れてしまって、モーツアルトのピアノ協奏曲
を殆どすべて揃えるきっかけとなったもの。
そのレコードはブレンデル/マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団
のもので、第27番とカップリングであったが、第18番の方を好んで
聴いたものだった。
後に、アンネローゼ・シュミット/クルト・マズア指揮のドレスデン・
フィルハーモニーの盤を買っていた。
今回は久しぶりに後者の方で聴いてみた。
それは第23、26番も入った2枚組で、その2曲を目当てに買った
ので、18番はさほど聴いていなかったと思う。
その所為もあって、充分馴染みの曲にしては新鮮に聞こえたです。
先ず、オーケストラ提示部でのオケの繊細さというか、ニュアンスに
富んでいるのに気付く。弦は柔らかくて木管が非常に雄弁である。
モーツアルトが管楽器を巧く使っていることがよく分かるのですね。
ピアノが加わって、オケとの調和の良さ、一体感がいい。
ともかく典雅でいい曲だと思います。
カデンツァに入ると、俄然シュミットのピアノは迫力ときらびやかさに
はっとする。
ブレンデルは勿論有名なピアニストであることは言うまでもない
ことだけれども、私の好みからすると、あまり聴かない方である。
非常に整っているのだが、感情が薄い。冷ややかな演奏に聞こ
えるからだ。学者肌で、余計な感情を出さずに研究しつくされた
演奏という評はうなずける。そこは好みの問題なのだろう。
最初にブレンデルでこの18番をきいていた頃は、そんなことは
意識できてなかったのだが、今日シュミットの演奏で聴いて、ふと
そんなことを思った。
第2楽章はト短調。モーツアルトらしい翳りのある旋律が身にしみる。
ピアノが入ると、ピアノもその悲哀感をよく出している。
あとは5つの変奏だが、私は主題が特に好きだ。
この2つの楽章で第1面が終わる。贅沢な使い方。それだけに音に
奥深さがある。変奏曲での弦の低音部などの厚みと深みで、その感じ
が強かった。
レコードを裏返して第3楽章は明るくて小気味よいリズムと旋律。
オペラティックな趣きと言われる、それですね。とても楽しく、随所に
機知に富んだ所があって、モーツアルトの天分が光ります。
この楽章にも響きの豊かさがかなり感じられたですね。
先述の贅沢さに加えて、輸入盤特有の透明でつややかな音です。
青空で天気も爽やか。久しぶりに気分も爽快!