このところ更新が滞りがちだったが、スピーカーを交換した
ことから、俄然聴きたい気持ちが湧いてきた。
今日は以前ヒラリー・ハーンのヴァイオリンによるバッハの
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲に感銘を受けたので、
そのCDからヴァイオリン協奏曲 第一番 イ短調を聴いた。
バッハのヴァイオリン協奏曲と云えば、クラシックを聴き始めた
中高校時代は、もっぱら第2番の協奏曲を聞いたものだ。
勿論ラジオの放送によってであった。
今思うと、当時のラジオ放送のクラシック音楽の曲目は、かなり
偏っていたのではないかと思う。
その頃にはまだバッハには馴染めなかったのけれども、ヴァイ
オリン協奏曲の第2番は楽しく聞けた記憶がある。
ところで、第一番はどうか。 今日聴いてみて殆ど聞いた記憶は
ないと云えそうだ。
でも、いいんだな~、この曲!
第一楽章の出だしからのめり込んだよ。
ヒラリー・ハーンは、前述のオーボエとの協奏曲で書いた通りの
速いテンポでだったことからも推察できるが、この協奏曲でも普通
よりは速いテンポの演奏だと思われる。
歯切れよい合奏に乗って ぐいぐい進む推進力に、わくわくする。
音楽が生きていて心が躍る。 ヴァイオリンの音は張りがあって、
たくましく美しい。
第2楽章は独奏の入る前にしばらく合奏があるが、そのみずみずしさ
に心惹かれる。 海岸に打ち寄せる波を連想する。
やがて、少しの間を置いてヴァイオリンのソロが静かに歌いだされるが、
それは合奏とは全く異なる、非常に息の長い旋律で、深い物思いに耽る
かのように綴られていく。哀れみと悲しみのモノローグのようにも聞こえ
るのだが、ここは聞く時の気分によって、少し感じ方が変わるかも知れ
ない。 バッハの曲では、かなり特異なものではなかろうか。
かなり長いこの楽章の後は、再び速いテンポで生き生きとした楽想で
ある。 聞き覚えのある旋律のようにも思える。
第一楽章よりも細かい動きのヴァイオリンが、実に正確な音程で見事
に奏せられ、それは時に鋭く、切れ味良く逞しい。
合奏も第一楽章同様に歯切れ良くて ソロと一体化しながらの音楽は
誠に生気に満ちて、音楽の喜び この上ない。
いや~、すばらしいです。 最初から最後まで聞き惚れました。
演奏:ヒラリー・ハーン/ジェフリー・カヘイン&
ロサンゼルス室内管弦楽団