ギレリス/ヨッフムの ブラームス 第2番 | 音に巡る想い(2005~2010) / ビデオ画像と音楽(2011~)

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クラシック音楽に目覚めたのはSP時代だった。知人から借りたレコードが
きっかけ。後にLPを集めたりしたが、時に感動して涙した頃が懐かしい
な~。/

主に四季の花や自然の風景などビデオ撮りした動画に、出来るだけ自作のBGMを付けて載せたいと思います。


先日のレヴァイン指揮のホルスト「惑星」のついでに買ったCD、

グラモフォンベスト100の一枚で、ギレリスのピアノ、ヨッフム

指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による

ブラームスのピアノ協奏曲第2番変ロ長調を聴きました。

  旧年末中古LPセールの盤がもう一枚あるのですが、

  弦楽四重奏曲。

  スピーカーを交換したばかりなので、ここはやはり

  オーケストラが聴きたかったもので・・・・。


実は、ブラームスの第2番協奏曲は、ゲザ・アンダ/フリッチャイ&

ベルリン・フィルが最も好きで、いつかこの感想を書くつもりであったが、

ギレリスはまだ聴いたことがなかったので、今日はこれです。


ギレリスのイメージからある程度の予感はあったが、一聴してその

通りというか、むしろ予感を上回るものであった。

一口で言うなら、「強大」な演奏。

更に付け加えるなら、「激しさ」をたたえた迫力ある演奏。


最初のホルンは抑制的に、また遅いテンポに聞こえたが、ピアノが

入ると、それは もう強靭で大きな音量。

するとオーケストラもそれに合わせんとばかりに俄然すさまじく、

感情の大きなうねりを伴いながら 嵐の如くに鳴り響く。

ヨッフムはこれほどまでに大きな演奏をする指揮者だったか。


ピアノは強いアタックで鋭く叩きつける。オケもアクセントが強い。

こんなのは、2番よりは第1番の協奏曲の方に合うのでは、と思え

てきた。


第2楽章も同じであった。ピアノとオーケストラががっぷりと全力で

ぶつかっている。その共演は凄みに満ち溢れたもの。


第3楽章。 チェロで始まる叙情的なこれは、でもあまり叙情性を

表に出さない、やや禁欲的な風で、代わりにこれまであまり意識し

なかった伴奏の弦の細かい ざわめきが聞こえる。

その後に入るピアノは、なんと穏やかでやさしいタッチか。

勿論次には大きく盛り上がるが、冒頭のチェロの旋律に戻る直前、

クラリネットの息の長~い旋律部分では、ピアノが非常にゆっくり、

ゆっくり、ポロン、ポロンと今にも止まりそうな程にゆっくり進む。

わ~、これじゃクラリネットがかわいそう・・・なんて思ってしまう。


第4楽章  軽やかに、戯れのような旋律。

以前から思っていたのだが、この楽章はあまり好きになれない。

マーラーは「ブラームスは主題はいいのに、展開が下手」と評した

らしいし、宇野功芳氏は「ブラームスの音楽には広がりに欠ける」と

いうような意味のことを書いているのを読んだことがある。

いずれもブラームスの内向的な性格と関連があるように思えるの

だが、この第4楽章、いろいろ細やかな変化を施しているようなの

だが、何かが足りない。

折角4楽章形式で、ピアノを加えた交響曲的性格に仕上がっている

のに、それにしては終楽章がやや弱い気がして、物足りないのだ。

このギレリスでは、第1,2楽章が大迫力の演奏であっただけに、

特にそれを感じてしまったように思う。


まあ、それはそれとして、ギレリスの強靭な演奏にヨッフム指揮の

ベルリン・フィルが、見事に応えて聴き応えのある共演を成功させた

好演奏と言えるのではないでしょうか。