◇今宵の珠玉の品々
言葉が出ない ただただ感嘆の吐息が洩れるのみ
ゴメンネJIRO。
北摂に住む洋食好きの間では、憧憬と畏怖の念を抱かれると共に、恐々とした恐れも同時に抱かれている と言っても過言ではないだろう。
憧憬と畏怖の理由はひとえにその腕前と料理の価格。ここの料理を食べると、今まで食べていた洋食はなんだったんだ?と自問自答してしまうほどだ。でも一品の値段は驚くほど安くて、こちらが恐縮してしまうくらいだ。
恐々とした恐れの理由は、その応対の悪さ。今風の言い方ではホスピタリティが低いのだ。それも地を這う様に低く、気の弱い人なら不機嫌に見えるシェフ達に注文ひとつも出せないかもしれない。
是非とも行ってみたいとのオファーを受けてのセッティング。この予約をする手段が電話しかなく、更にホスピタリティが低くなるので、予約をする時はいつも憂鬱になる。できればネット予約にしてほしい…。
前回訪問したのは2月の初旬。aikoさんと二人でよく飲みよく食べた。しかしlunaさんとは初対面。その胃袋のキャパシティが全くの未知数だが、ご本人からは食べますよ〜とのメッセージ。よろしい、そのお言葉を信じましょう。
JR天満駅にて待ち合わせ。初対面だからお互いの目印を前もって連絡していたが、lunaさんに言わせると私はアメブロのプロフィール画像そのもので、すぐにわかったとのこと。(°▽°)
一方のlunaさん、ブログタイトルの通り美人偏差値が高くて、笑顔が素敵な人。細身ではあるが、外見で判断をしてはいけないことは十分に知っている。なにせ私の周りには細くとも食欲旺盛な女性達がたくさんいるので。
初めましてのご挨拶を済ませると足早にお店に向かう。もし予約時間に遅れたらどんな事態が起こるのか私も知らないが、知らぬにこしたことはないからだ。
カラリと扉を開け、予約していたDですが と名乗ると、シェフがカウンターの空いている席を目で示す。いつものことだが、お客を歓迎する言葉も聞こえない。慣れたけどね。(苦笑)
アルコールは飲めますか? と尋ねると、なんでも飲めますよ と破顔一笑。それは頼もしい。
そこで最初はビールから。いつもながらインスタ映えするビジュアルだ。
いつも泡が少ないんですね とlunaさん。確かに泡の比率が7:3ではないが、ビール多い方がお得でしょ?(笑)
lunaさんからは事前に食べたい品々のリクエストを貰っていたので、そこに私が食べたい品を交えて、先ずはファーストオーダー。
最初にサーブされたのは私のリクエストのポテトサラダ。
定番の注文だが、いつ食べてもその味はブレていない。完璧と言ってもいい。lunaさんのお口に合ったようで、もっと酸味がくるかと思っていたけどそうでもなくて美味しい と笑顔で論評。食べることが好きな人の笑顔って、内面から感情が溢れて出てくるのが側で見ていて気持ちがいい。
カシャカシャと撮影していると、lunaさんが私のスマホを覗き込む。えらく好奇心旺盛だなと思っていると、これは専用のアプリですか? と尋ねてこられる。私はいつもFoodieという料理撮影専用アプリを使っているが、ブログの写真を見て気になっておられたようだ。
ええ と答えると、白魚のような指がスッと伸びてきて画面をスワイプして、これで画質が変えられるのですよ と先生みたいに教えてくれる。この後も撮影角度や画像にも色々とサジェッションしてくれたので、随分といい写真が撮れた。
そんな会話をしていると、次にサーブされたのがlunaさんリクエストの前菜の盛り合わせ。
これは初めてオーダーしたが、見た瞬間に心奪われるビジュアル。うわっと言ったきり、二人ともそれ以上の言葉が見つからない。
しかもオードブル(前菜)って本来は量が少ないはずなのに、このボリュームは想定外。
サーモンやガーリックが好きなlunaさんにとって、これは垂涎の一品だったようだ。そして後ろにチラチラ見えているのはエビマヨ。一口食べて、これ美味しい〜と私に勧めてくる。ここはなんでも美味しいから食べる前から想像できますよ(笑)
そして二人がとても気にいったのが、サーモンの下に敷かれていたキャベツにかかっていたドレッシング。少しの酸味と甘みが美味しくて美味しくて。是非ともシェフに聞きたかったが、忙しそうだったので諦めたが、今度絶対に聞こう と心に誓う。
ふと気づくとlunaさんのグラスが空になっていた。まだ私が半分も飲んでいないのに だ。
なんでも飲めるとの申告通り、アルコールにはお強いことをここで確認。ならばと白ワインのボトルを注文。いつもですよね〜と笑いながら指摘されたが、私の行動が読まれてしまっている。
はい と言ってシェフがサーブしたのが、ごぼうのフライ。手を差し伸べながらも、これ頼んでいないけど と言うと、おもいっきりしかめっ面をしながら、ごめんと言わんばかりに片手で拝むような仕草をしてお皿を引っ込める。珍しくオーダーを間違ったようだけど、二人とも声を揃えて 食べますよ〜と(笑) これで貸しを作っておこう なんてセコイ考えではない。
本日最初の揚げ物。
サクサクとした衣の食感と、ごぼうの風味を愉しむ一品。またごぼうのシャキシャキとした食感も衣の食感にマスキングされてはいるが、よく噛めば感じられる。lunaさん、いたくこれが気に入ったようだ。棚から牡丹餅とはまさにこのことか。
卵のクリームコロッケ。
これもlunaさんのリクエスト。以前は麺が好きだったそうだが最近では玉子にはまっているそうで、そんな背景からこれを食べたかったらしい。
そしてこれは本日初のデミグラスソース。この日はサーブ時にはそんなにも香りがしなかったが、口にするとやはり鼻に抜けていく。
小粒に見えるが、どうしてどうして。そのボリュームはかなり胃袋にこたえるはず。
そのトロリとした滑らかな舌触りは、きちんとマッシュされた丁寧な仕事ぶりの証し。無愛想でもいい、低ホスピタリティも気にしない。こんないい仕事の料理が食べたいんだから。
ちょっとエビフライ。
これが280円とは驚愕の値段設定であるが、普通のエビフライは900円。この日 テーブル席に運ばれていくエビフライを遠目に見たら、本数も違うし1本が大きいので、どうやら高い方の品。なかなかのボリュームだったので、次回チャレンジしてみたいなぁ
lunaさん、取ったエビフライにたっぷりとタルタルソースをつける様子を見ると、タルラーのようだ。
タルタルをパクリと口にすると、ディックさんもたっぷりとつけてくださいね〜と強く勧めてくれるのは優しさなのか、それともタルラー界へのお誘いなのか(°▽°)
lunaさんのお酒を飲むピッチは早い。そして顔は赤くとも、ほとんど素面に近い。これは驚いた、間違いなく彼女はウワバミだ。
ここで lunaさんの気を引くかの様に、ジロ風牛タタキがサーブされた。うわっ、これ食べたかったです と大喜び。お肉が本当に柔らかくて、ベタな表現だが 頬っぺたが落ちそうになる。
牛の味を引き立てるのは、たっぷりとかけられたソース。これは病みつきになる味だ。
そしてlunaさんリクエストの残り一品、ハンバーグステーキ。
存分にかけられたデミグラスソースは照明の灯りによって鈍く輝いており、それはまるで螺鈿細工が施されたかのようだ。
お箸でグッと分割すると、肉汁が一切でることなく輝きを持った断面が現れる。最初に注文した品が今頃サーブされたのは、弱火でじっくりと焼きあげていたからであろう。確認はしていないけど。
lunaさんから拝借した写真。流石、綺麗に撮れている。
すっかりボトルは空になってしまったので、再びビールを注文。
食べログか何かの投稿を読んで心惹かれたらしく、lunaさんがここで固執したのがチーズオムレツ。
ハンバーグ同様に割ってください とお願いされたら断る理由はない。迷いなくスプーンをズブリと入れて切り開く。
ソースがすごく美味しい。少し丸みのある酸味が効いた味。
何かしら、これ? と聞かれても、私の知識では答えが出ない。シェフに尋ねたらわかるだろうけどちゃんと対応してもらえるのだろうか と不安に思いながら声かけする。でも聞こえなかったらしく呼びかけをスルーされたので、ポキリと心が折れる 。
しかし今一度声かけすると、今度は聞こえたらしく何かを返答してくれた。小さい声なのでよく聞こえない。聞き直すと、以前食べたことなかったっけ? との答え。私のこと覚えていてくれたんだ と少し感激しながらも、いつもはオムライスなんで食べたことがないんです と返答する。そんなやり取りを見ていたlunaさん、ディックさん 目がパチパチと瞬きしてすごく嬉しそうでしたよ と笑いながら解説してくれる。歳下の女性に子供みたいところを見られてなんだか恥ずかしいなぁ。
で、聞き出したソースの正体は赤ワインビネガーソースだった。酢を煮詰めて使うフランス料理の手法を用いているのであろうか。あの酢遣いは全くもって見事であった。
ここで〆の料理を注文。lunaさんは血糖値の変動を自己管理しているので、食品のGI値に関心が高い。それ故に、通常は午後からの仕事に影響が出ないようお昼ご飯には炭水化物をあまり摂らないそうだ。だから炭水化物はダメだろうな と一応尋ねると、この夜は解禁だそうで、それは念願のJIROで食べられるからとのこと。
そこでオムライス。二人でシェア。
そして明太子スパゲティ。またまた二人でシェア。
嬉しそうに食べる姿を見ていると、JIROにお連れしてよかった としみじみと思う。
と想いに耽っていたら、ほらほら撮って撮って とお茶目な人(笑)
これで合計10品を完食! またやっちまったぜ。
lunaさん、気持ちいいほどの食べっぷり、飲みっぷりの良さで、私と最後まで並走してくれました。ありがとうございます。でも細身なのにどこに入っていくんでしょうね?
それに自身をコミュニケーション下手と説明されてましたが、全くそんなこと無く、大いに愉しい時間を過ごすことができましたよ。今度は本丸のあのお店に攻めこみましょうね。
外に出ると雨。傘を持っていないなぁと口に出すと、シェフが傘を使って と二人分渡してくれた。なんや、今夜はむっちゃホスピタリティ高くて驚き。なんだかますますJIROの虜になってしまった。
また来るね。間違いなく来るよ〜。
さて帰りましょうか と駅に向いながら話をしていると、lunaさんまだまだ食べられるとのこと。これにも驚いた。でも私も満腹にはなっていない。
そこで二軒目に行くことに。それは次のブログにて紹介しますが、また盛大に食べました(笑)