よっ、東山区!
と大向こうから声がかかりそうなイケメンシェフ。
京都に来ました。春先から京都に頻繁に来ていますが、特に深い意味はありません。
酒とメシが美味いお店があれば、どこにでも出没します。
それはそうと目的のお店が17時オープン。そして三条京阪駅に到着したのが16時半。まだ30分もある……。時間を無駄にすることをとことん嫌う性質なので、有効に使います。
そんなことを考えていたら、目の前に何やら楽し気な看板が。
なに、PUBだと。僕の気持ちを汲み取ったかのように眼前に現れるとは、流石あやかしの古都、京都だけのことはある。ここで食前酒でも飲んでおけということか。
PUB&BAR Pig&Whistle
この地で40年営業を続けている老舗のブリティッシュパブ。10種類以上のビールと、60種類以上のシングルモルトウイスキーを品揃えしているお店。不定期でのライブ演奏や大型スクリーンでのスポーツ観戦が行われています。
まだ日が沈んでいないので、閑散とした店内。それでもポツリポツリといるお客さんは外人さんばかり。カウンター内のお姉さん(日本人)、英語で応対をしていました。
夜になると楽しそうな雰囲気。これは僕の盟友を連れてこようか。あいつは外人さんが集まるバーに出入りしているから紹介しておこう。
ギネス
クリーミーな泡が特徴的なビール。そしてガツンとくる苦みではなく、柔らかな苦み。美味いね~。
私はヒューガルデン❣ と目の前からグラスを合わせてくるのは、本日のお連れ様。そうビールと言えば、僕の交友範囲の中では彼女を置いて他にはいません。アルカイックスマイルを浮かべてグラスを手にするその顔は、まるで月光菩薩。二人で飲んでいることはお釈迦様には内緒だ。
「最近よく京都で飲んでいますね」まぁ、色々とつきあいがあってね。「誰と?」 学生時代や前職の友人とかね。「どこで?」 四条河原町が多いかな。…まるで尋問のようだけど、これはお連れ様に全然声をかけていなかったことを暗に責められているのかもしれない。汗が脇を伝っていくのを感じた。
「ブリティッシュパブだからフィッシュ&チップスが食べたいんだけど…」とにかく話をそらそうとしたら、「ダメです!」とぴしゃり。「これからがメインなのに、その前にお腹にいれてどうするの? 私はお腹いっぱいになってしまうわ。」ほぼ一方的に攻められているけど、一緒に摘まむ気だったようです。僕の個人プレーとして見逃してほしいとは、あの目を見ると口が裂けてもいえない、言ってはいけない。僕は危険回避能力に著しく長けているのだ。
さっそろそろ行きますよ と立ち上がるお連れ様。遅れまじと慌てて片付けをして追いかけました。そんなこんなでやってきたのがここ。
Bistro & Wine espace(エスパス)
備忘録を繰ってみたら2年と8か月ぶり。京都は何度も来ているけど、三条はなかなか足が伸びないと言い訳をしておこう。ちなみに予約は彼女がいつも入れてくれるのです。
店内、リニューアルされたばかりで、木目柄カウンターからグレー単色カウンターへ、照明がペンダント型からダウンライトに変わっていました。明るく軽快な感じに様変わりしていました。
まずは飲み物。フレンチやイタリアンであろうが、居酒屋でも焼鳥屋でもそれは同じだ。
「もちろんワインだな。」「グラスではなくボトルですよね。」 流石、僕のことをよく知っているねと言いたかったが、ブログの読者なら誰でも分かるか。
ヘリオセントリックというネゴシアンが手掛けたワイン。共同設立者のひとりがなんと日本人女性。欧州文化の凝集とも言えるワインの世界で活躍している日本人がいるのは誇りに思えます。
ではかんぱ~い。
カウンタの反対側で僕達の注文を待つ原田シェフ。そうか、二人だけの世界に浸らせてくれるよう配慮してくれているのか。お連れ様にそう言いかけたら、
チーズ3種盛り合わせをいただけますか~とシェフに向かって言い放ち、僕をちらりと見て ふふふと笑みを浮かべる。しまった、機先を制されたか。
壁のメニュー読めないよ~と云うと、私もよ。二人で何が読めるかを上から順番に読んでいったけど、ごくわずかでした。アルファベットアレルギーのない二人でもハードル高し。
巻物のようなメニューは日本語で記載。これに限るわ。でも日本語であっても、頭にイメージが湧いてこない名前も多々あります。これぞフレンチ。
チーズ3種盛り合わせ
ミモレット、カマンベール、ゴルゴンゾーラ。鮮やかなオレンジ色をしたミモレットは初めて口にしました。結構ハード系で、塩気が効いていて、僕の口に合いました。熟成が進むとカチカチになり、からすみに似たコクと塩気が生まれるらしい。青かびが含まれたゴルゴンゾーラは癖が強いので、これまで何度となくチャレンジして挫折したチーズ。昔、成城石井で買ったものは青かびびっしりのピカンテだったかと記憶しているけど、今回は青かび少なめのドルチェ。
「これ食べれますか~?」「無理かもしれないけどトライしてみる」「少しだけにしておきますね」肩寄せ合ってそんな会話を交わしながら、切り分けた小片をいただく。おっ、これはいけるかも。「もう少しちょうだい」「大丈夫~?」
なにイチャイチャしとるねん さっさと食べんかい!とその時の自分に喝をいれたくなったわ。
「その横にあるのはなに?」「はちみつみたい 付けたら味が変わって食べられるかもよ」
その言葉に従いディップしてみたら、かなり美味しくてカビ臭さを一切感じませんでした。後で調べたら、この食べ方は定番中の定番とのこと。
ミモレットをどこかで買いたくなったけど、熟成ものは包丁で切るのも大変なほど硬いそうなので断念しました。
ボトルを冷やす容器がお洒落。espaceさんはとにかく何でも洗練されています。
野菜の総菜5種盛り合わせ
原田シェフが手掛ける野菜料理はとにかく美味い。野菜の美味さを極限まで引き出していると言っても過言ではない。なかでもキャロットのラぺは筆舌に尽くしがたい美味しさなのです。僕は最初に食べて以来、何度も自宅でチャレンジしているけど、あの味は全く再現できない。
今回の5種の中で珍しいのが鮮やかな黄色のコリンキー。生で食べられるカボチャであり、コリコリとした食感が特徴的でした。
黒毛和牛ハチノスのトマト煮込み
料理人の丁寧な仕事が窺い知れる一品。原田シェフ曰く、掃除済のハチノスを購入しているが、そのあと自身でも下処理をしているとのこと。だから臭みも一切なく、ナイフでいとも簡単に切れる。腕の立つ職人は決して手を抜かない見本。
牛の4つの胃袋の中で一番美味しいといわれるハチノス。焼肉や煮込み料理として用いられることに人気があり、イタリア料理のトリッパのトマト煮込みがその代表格。
ワインと見事に合う料理、僕はそう思う。
京のもち豚自家製ソーセージ マッシュポテト添え
ソーセージの圧倒的な存在感。もしかして写真加工してデフォルメしている?と思う向きもおられるかもしれないけど、まぎれもなくこの大きさ。
旨みがギュッと凝縮しており、美味しさも食べごたえも感じられる一品。
食べやすいように切り分けたら、なんとも無残な姿。
ほほ肉赤ワイン煮込み
ほろほろと崩れるような柔らかさ。火を通しても固くならないのは、やはりプロ。
ここに使われているソースは、鰻のタレのように熟成を重ねていると原田シェフから聞きました。
自家製パン
パンまで作るのですか!と驚いていたら、2時間くらいですよと。発酵時間を考慮すると、えらく短いけど、そこに秘訣があるようです。甘みもあり、食感はもちもちの一歩手前くらい。これはお代わりをしたかったなぁ。最後の最後まで手を抜かない料理構成、畏れ入りました。
ご馳走様でした!
2時間半、料理とお酒を存分に堪能させていただきました。普段食べる機会がない、ちょっと背伸びをしていただくような料理がいただけるお店です。有名人も結構来られていて、先日は柄本佑さん、少し前ならキム兄や柴咲コウさんもお見えになっていました。インスタ@espace.khを覗けば写真がアップされています。

































