32:奇跡の恋 | クラフトPとろのブログ

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クラフトPという名前で、ボーカロイド曲を作っていたり

私はほっかほっか亭の弁当では毎回のり弁当を買う。
コンビニでコーヒーを買う時も、毎回決まったように小岩井ミルクコーヒーとマルボロライトを買う。
よく行く定食屋でもメニューは見ずに、毎回ミックスフライ定食を注文する。

他の物を食べても別にかまわないのだけど、
何となく毎回同じものを買ってしまうし、毎回同じものを注文してしまう。
他のものもそれはそれでちゃんと美味しいことは知ってるのだけど、
いざ買う時になるとやっぱり同じものを買っている。

学生時代も社会人になってからも、
いつも昼食に同じパンばかり買ってくるので、
周りの人が、見てる方がもう飽きましたよと、呆れて笑われたこともあった。

そういう私の嗜好は、恋愛についても同じで、
一度好きになると何年もずっと好きでいることが多かった。

他にもたくさん可愛い子や綺麗な子や、
優しい子やカッコいい子がいることは知っていたけど、
いったいこの子のどこに惚れたんだっけと、恋の始まりを忘れてしまっても、
ずっとその人だけを好きなことが多かった。

運よく、そういう長いこと想いを寄せた人と恋愛関係になったこともあった。
それは私にとっては、こんなこと生涯で二度とあるわけがない、
まるで奇跡のような大切な恋だったが、
そんな永遠に続くように思えた恋にも、やがて終わる時は訪れた。

自分にとっては生涯に一度あるかないかの大恋愛も、
周りの人にとってはよくある恋の一つにすぎない。
トロさんあの子と別れたらしいよ―で終わる話にすぎなかったりする。

もしかしたら、さっきスーパーですれ違ったおばちゃんも、
毎日イヤミばかり言うハゲた上司も、角のたばこ屋のおやじも、
そういう大事な思い出を胸にしまったまま毎日を暮らしているのかもしれない。


「13cm」をうpした頃、
シングリンクで、私はある方の日記を読んだ。
仲良くしてくれていた女性の歌い手さんで、フレンド限定日記だった。

彼女にはすごく長いこと付き合っている人がいた。
どういう理由か分からなかったけれど、
明日その人に会ってお別れを言ってきます。という内容だった。

決して嫌いになってのお別れではなく、
いろんな事情でもう続けられないことを伝えてくるというものだった。

そして翌日、
昨夜の細かな事の次第を彼女は私たちに書いてくれた。

最後のさよならを伝える場面になって、彼女はどうしてもその最後の言葉が言えず、
涙があふれてどうしようもなくて、ただ泣くことしかできなかった。
その彼女の様子を見て、全てを理解して、その人は自分からさよならを言ってくれたそうだ。

その恋もきっと彼女にとっては、
大事な奇跡の恋だったんだろうと思う。
彼女は二人の大事な思い出や、その人がどれほど大事な人だったのかを書き綴っていた。

あの人の自転車に二人乗りして一緒に帰ったこと、
二人で暮らし始めたら猫を飼おうね、名前はね、もう決めてあるんだよって、そんな話しをしたこと、
結局最後まで二人暮らす夢は叶わなかったこと、
泣きながら眠った翌日、いつもどおりに会社に行って、いつもどおりに一日が終わって行ったこと、
それは、彼女が泣きながら書いてるのが、
読んでる人にも伝わってくるような文章だった。


私は彼女のこの日記を、曲にしたいと思った。
彼女へのメッセージとしての意味あいもあったけれど、
何より自分がこの曲を作りたいと思った。

彼女の日記を読んでるうちに、自分の過去の恋愛のことみたいに思えていた。
前にも言ったけど、どんな恋も一生に一度の特別な恋だ。
世の中に「普通の恋愛」などというものはない。
私の思い出も特別な恋だったし、彼女もまた特別な恋の終わりを迎えていた。

今このブログを読んでくれている君にも、
きっとそんな特別な恋愛の思い出があるだろう。
ある人にとっては、私みたいにもう過去のことかもしれないし、
ある人にとってはまだ先の未来のことかもしれない。

今その真っただ中の人は、全力を出して恋愛してきなさい。
終わっても寂しくない、悲しくない恋は、きっとどこかで手を抜いていた恋だ。
勉強していない期末試験みたいに、ダメでも悔しくなんともない。
練習をサボった部活のように、試合に負けても歯がゆくもない。


この曲は、思い立ってすぐに作り始めた。
衝動的に作ったとも言えるかもしれない。

歌詞とメロディーはものすごく早くできた。
先日もちょっと書いたけど、書いてる時に何を考えていたのか、全く覚えていない。
こないだは私の中のリンが書いたって言ったけど、
こうやって振り返ってみると、書かせたのはもしかしたら彼女かもしれないね。
思えば彼女の日記を読んでいた時から、脳内ではもう作っていたのかもしれない。

オケには少々時間がかかったけど、まずは仮オケで彼女に聞かせてみた。
こんな曲作ってよかったんだろうかとちょっと不安もあったけれど、彼女はとても喜んでくれた。
トロさんが作った曲だけど、誰が何と言おうとこれは私の歌です。大切にしますと言ってくれた。

そうやって出来た曲がこの曲です。
多分私が今まで作った中で、一番出来がいい曲だと思います。

「何もなかった顔で」



ところで、この絵はまめさんが申し出てくれて描いてくれた。
この絵もすごく好きな絵だ。
リンの顔が悲しい顔をしていないのが、歌詞をよく読んでくれたんだなあと思う。

ちなみにまめさんは、「あたしはわがままになりたくない」を見つけて、
裏花火さんやいろんな方に紹介してくれて、その後の私のボカロ活動を変えてくれた人だ。

そして、にゃっぽんで曲を聞かせて、ちょっとピアノのMIDI貸して下さいと、
あとでピアノ音源を送ってくれたのは、なんと、におPである。
そういうわけで「なんとにおP」という外人みたいな名前のタグが付いているw


ところで、動画もできて、うpを果たした日、
日記を書いた例の彼女に、遅くなったけど投稿しましたよと報告をしたところ、
その頃にはもう、彼女には次の恋人ができていたw
あははと二人でメールで笑ったけど、
ちゃんと次の恋ができて良かったと思った。

うpされた動画を見たら、すっかり忘れていた罪悪感を思い出しましたww、と笑ってくれた。
その彼女も、今ではその彼氏のお嫁さんになっている。

そういえばちゃんと言ってなかった。
結婚おめでとう、いつまでも末長く爆発しなさい。