28:新しいこと | クラフトPとろのブログ

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クラフトPという名前で、ボーカロイド曲を作っていたり

世の中の新しいモノとは、根本的にまったく新しいモノは非常に生まれにくく、
そのほとんどは昔からある何かと何かとの、
新しい組み合わせのことだと、先日どこかのテレビで言っていた。

ボカロ界にもいろんな新しい試みをしている人もたくさんいる。
なかなかポーンとは伸びないが、面白いことしてるなと思う方に、
シュールレアリスムを正しく理解するPというPさんがいる。

たぶん、初代!名前が長すぎるPさんだろうw
なぜこんな名前がついてるのかは良く私も知らないけど、
その存在を知ったのは、「あたしはわがままになりたくない」を投稿した頃のことだ。

この曲はヒットではないけど、「鏡音新曲ランキング」あたりには拾ってもらえてて、
ランキング動画って、自分の曲を目的に見に行くと、
同じ頃に投稿した他の曲の存在も知ったりして、
順位が近かったりするとなんとなく親近感やライバル感を感じて、気になる曲やPさんができたりする。


シュールレアリスムを正し・・・えと、長すぎるので省略して「シュルさん」と呼ぼうかなw、
シュルさんも同じ頃に「あたしのことけなしてよ」というリン曲をうpしていて、
その存在が気になるPさんの一人だった。
「はいてない」って言葉も、この曲で覚えたな、そういえばw

この人の試みはすごく面白い。
普通、私たちが聞いてる曲というのは、ドの音からオクターブ上のドの音までを12段階に分けて、
その音の組合せでメロディーができている。
でも、これはこうしないといけないという決まりがあって作られてるわけではない。
ただ単に、クラシック音楽の昔からこうすることが多かったから、
今の音楽にもこのやり方に沿って作られた音楽が主流を占めているだけのことで、
別に何段階に分けて音階を作ったって構いはしない。

音楽ってある程度聞いていると、新曲を聞いてもだんだんその先の予想がついてくるようになる。
演歌とかブルースとかカントリーとかはその最たるもので、
あの辺の音楽は先の予想がつくからこそ、根強い人気が定着してるジャンルでもある。

今は、街でよく流れているJ-POPも最近はそういうジャンル化していて、
全く聞いた事のない珍しい展開っていうのは、もうなかなか耳にすることがない。

かといって、一般的な予想からは大きく外れる展開をする曲というのは、
聞いてくれる人が限定されてしまって、大きく人気を得ることが難しくなる。
リスナーとは、「何かどっかで聞いたような曲だな」と文句をつける割には、
新しいことを試すと「それは展開的に無理があるだろ」と、今度は真逆の文句をつけてくる、
私も含めて結構わがままなものなのである。


シュルさんがやってるのは、
オクターブ間を12に分けることにこだわらず、7つや14に分けて、
その組み合わせでカッコいい音が作れないかとか、そういうことをしている。

牛丼屋で例えると、新メニュー作りでみんなが新しいトッピング材料はないかと、
いろいろ上に乗せるモノについてアイディアを絞り出してる時に、
「そもそも牛肉じゃなくてもいいんじゃね?」と、目の付けどころを根本的に変えるやり方である。

そんな人もボカロ界にはいるのだ。
全く何という世界に足を踏み込んだんだろうと思うw

シュルさんが作ったCDのクロスフェードがあるので紹介しておく。
初めて聞くときにはちょっと吐き気とめまいがするかもしれないw
頭の中を空っぽにして、音が気持ちいいかそうでないかだけを聞いてみるといい。




私はボカロ界では保守的な音楽を作っている方だと思うけど、
そんな私にも、かねてからひとつ試してみたいことがあった。

調べてみたら本格的にはまだどなたもやってなかったので、
そんなチャンスがないかなーと思っていた頃、
シングリンクにあるメッセージが届いた。
おっ、これはいいチャンスかもしれない!と直感的に思った。

それは、憧れの歌い手さんのねーちんから、
クリスマスに一緒にコラボしませんかというお誘いだった。

私がやってみたかったのは、狭いながらも二つのジャンルの融合だった。
つまり、ボカロと歌い手さんとのコラボ。
歌い手さんがボカロと一緒に歌うことを前提に作るボカロ曲だ。


ね―ちんのオファーは、あるクリスマスソングをアレンジして、
メドレーにしてくれませんかというものだった。
私は既存曲の新しいアレンジはちょっと苦手でもあったので、
兼ねてからこういうことがしたかったのです、一緒にそんな曲しませんかとお誘いし、
まずは聴かせなきゃねと、2日くらいで曲を仕上げてデモを聞いてもらった。

ねーちんに「とろさんすごーい!」と言ってもらって、
どこまでも果てしなく舞い上がる気持ちを抑え、本オケの制作に取り掛かった。

動画もクロに頼んで、3人の文句なしの全員一致で、絵はごち太さんにお願いすることにした。
ね―ちんが歌ってくれていた「バツコン」を一緒に作った、破壊力ハンパねえ絵師さんだ。
どう考えてもこの人以外に考えられなかった。

このコラボはすごく楽しかった。
何だか毎回楽しかったと言ってるけど、本当にこのコラボは楽しかった。
にゃっぽんで非公開のコラボ用コミュを作って話し合っていたのだけど、
みんな仕事は早いし、お互いの提出物に意見や感想がバンバン出てくるし、
すごくほめてくれるし、みんながすごくやる気があって、
どんどんみるみるうちに作品が出来上がって行くのがわかった。

うん、こういうコラボはいいね、すごくいい。
先日もこのコミュのログを久しぶりに読んでたら、
4人しかいないのにすごく活気があって、もう終わったことなのにわくわくしたw


ところで、この曲はタイトルがない。
2番の歌詞をね―ちんが書いてくれて、うpもねーちんがしてくれたので、
その辺の事は全部ねーちんにまかせることにした。

するとねーちんは、動画のタイトルに、
「ミク・リン・レンとねーちん主催☆クリスマスパーティの会場はこちら♪」とつけた。

ああ、なるほどと思った。
ねーちんらしいや。
私は普段、ボカロ作品を作っているので、曲を作ってるような感覚を持っていたけど、
ねーちんはみんなでパーティがしたかったんだと思った。
うん、さすがはあのね―ちんだと思った。

この人の歌ってみたは、単に歌ってみる動画ではない。
歌唱が良い悪いだけじゃなくて、全体にエンターテインメントに徹した作品が多い。
そこには見知らぬ誰か分からない同好の士への心使いや、
作品と言うよりは遊び場を提供するような雰囲気があった。

そう言えば今となっては私が良く口にする、
「何気ないコメントのひとつも、それを書いた生身の誰かが自分と同じようにどこかで生きてる」
ってのも、ねーちんの主コメから教えてもらったものだ。

そういう風にしてできた作品がこれ。



出来た頃には新しい試みがどうのとかは、割ともうどうでもよくなっていたけど、
ボカロ曲でもあり、ニコニコインディーズでもあるというちょっと変わった位置の作品だ。

ちなみにこのボカロと歌い手さんとのデュエット曲と言うのは、実はもう1曲作っている。
まだ公開には至らないうちにクラフトPはこんなことになってしまったが、
いつの日かどこかでお聞かせ出来る日が来たらいいなあと思う。


その曲に限らず、音源をお渡ししているコラボが数曲あるが、
その関係の皆さんには、どうかその音源は自由に使って頂きたい。
続行なさるのも、残念ながらお蔵入りというのも含めて、私の許可は取らなくていいです。


ついでに言うと、
私が今までニコニコにうpした、私が作詞作曲の曲は、
何の許可もなくどんなとこにどう使って頂いても構いません。
ライブで使うも、CDに歌ってみた収録するも自由に使って下さい。

そういった際、ひとつだけお願いしたいのは、
もし、それで金銭的な収益があって、その活動が赤字じゃなかったら、
いくらでもいいのでどこかへの義援金にして下さると嬉しい。
100円だけコンビニ募金しました!でもいいです。
領収書が取れなくてもいい、あなたの気持ちにお任せします。

私は実生活ではそこそこに年を食ってるくせに、何もできないしがない大人です。
音楽で誰かに名を知ってもらうのも、とっくの昔にあきらめていた大人です。

私の作ったものがどんな形でも誰かの役に立ったのなら、
その事実は、ただのおっさんにはできないことができたんだよと、
私に胸を張らせてくれるように思えます。