冴えない彼女の育てかた 5巻
5巻について、ネタバレ含めて構成の考察などしていきます。
まだ本作お読みでない方は、引き返して下さい。
◼︎表紙
5巻の表紙は詩羽先輩。2周目のトップバッターですが、今後の巻き返しに期待です。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20170913/08/cranel-vesta/e2/14/j/o1000141614026237400.jpg?caw=800)
◼︎プロローグ
場所:視聴覚室
登場キャラ:安芸、加藤、英梨々、詩羽、美智留
シナリオが全アップして、詩羽先輩の作業が終了。いつも通り、英梨々と詩羽先輩がテンプレコントを始め、美智留がそれに合流。
蚊帳の外の安芸くんは、加藤さんのポニーテール(髪伸びたそうです)で遊んでいたとろ、急に団結した他の3人から総批判。
加藤さんは英梨々をオチにすることで、何とか火種を回避します(前巻からの英梨々の負け犬感が凄い)。
◼︎第1章 最初からクライマックスって言ってても、大抵後でもっと大変になるよね
場所:池袋
登場キャラ:安芸、加藤、英梨々、詩羽
担当分が終了した詩羽先輩へのお礼として、池袋での買い物に付き合うことになった安芸くん。もちろん(?)英梨々もストーキングを開始。前巻で親友になった加藤さんも呼び出されます。
詩羽先輩は3月で卒業。今後の進路など考える時期にきています。安芸くんは先輩が遠くへ行ってしまうのではないかと、オロオロ。
そんな中、詩羽先輩は安芸くんに『もう一つのトゥルールート』を提示。どちらが良いか、安芸くんに選択するように伝えます。
卒業を前にして、過去の因縁とも決着をつけるべく、過去同様に安芸くんへ選択を迫ります。
◼︎第2章 作者が全然考えていなかった物語の空白について大論争されるとモヤモヤするよね
場所:安芸自宅
登場キャラ:安芸、加藤、英梨々
詩羽先輩からの第2稿を徹夜で読んだ安芸くん。第1稿よりも霞詩子節が強く、何よりメインヒロインが違う話になっていた。
巡璃がメインの第1稿、瑠璃がメインの第2稿、どちらを選ぶか、悩む安芸くん。
そんな中、加藤さんは、『rouge en rouge』の体験版データを安芸くんのPCへダウンロードしてプレイ。出海ちゃんが、原画担当として参加していることに気付く。
◼︎第3章 そのうちこの二人大活躍するからね?本当だからね?
場所:公園
登場キャラ:安芸、加藤、英梨々、出海、伊織
伊織からの宣戦布告と、英梨々と出海ちゃんのライバル的な掛け合いが中心。
伊織は、シナリオでは霞詩子には負ける気がしないと宣言。意図が汲み取れない安芸くんは、困惑してしまう。
◼︎第4章 本物のアンチになれるのは熱狂的な信者だけだから
場所:教室、安芸自宅
登場キャラ:安芸、加藤、美智留、エチカ、トキ、ランコ
伊織の忠告の意味が分からず、シナリオも選べず迷い続ける安芸くん。いつも中盤はヘタレます、加藤さんの提案により、一度ゲームとしてシナリオを組み上げてみることに。通常なら一週間かかる作業を、加藤さんやエチカ、トキ、ランコの協力を経て、2日程度で組み上げるのに成功する。
安芸くんは、組み上がったゲームをプレイするが…。
『なんだよこれ…クソゲーじゃん』
◼︎第5章 そういえば最終章の舞台まだ決めてなかったっけ
場所:教室
登場キャラ:安芸、加藤
月曜日から数日、様々な改善を試みた安芸くんでしたが、結局納得できるものはできず。とうとう詩羽先輩へ結論を伝えることを決意します。
加藤さんが緊張しつつどちらを選ぶのか尋ねると、安芸くんからは、よく分からない答えが。
詩羽先輩:初稿の巡璃(加藤)シナリオか、第2稿の瑠璃(詩羽)シナリオを安芸くんに選択させ、加藤さんか詩羽先輩のどちらを選ぶのかを確かめたかった。
※加藤さんもこの意図に気付き、安芸くんへ質問したと思われる。
安芸くん:どちらのシナリオを選ぶとかではなく、そもそもシナリオがゲームのものになっていない。全ボツして修正しつつ、初稿、第2稿、新たなルートの3本を本筋のルートとして残すことを決意。
※詩羽先輩の意図には気付かず、ディレクターとしては正しいが、斜めの方向にぶっ飛んだ回答となる。
◼︎第6章 破壊と再生の学園祭←
場所:教室、安芸自宅
登場キャラ:
安芸くんは現状のシナリオに以下の問題点を見出します。
①2種類のメインルートを、1つのゲームの中に収められていない。
②派生するIFルートが弱い。
③選択肢とゲーム性の関係の希薄さ。
④ゲームテキストとしてのバランスの悪さ。
詩羽先輩を説得し、何とか修正を開始。安芸くんは、更に追加のメインルートを自分で書き上げることに。
2日間詩羽先輩と徹夜して、シナリオの修正とグランドルートの作成を完成させます。
詩羽先輩の提案で、この作品のライター名は霞詩子でなく、TAKI UTAKOとすることに。
TAKI:安芸くんの運営する霞詩子先生ファンブログでの管理人名。
UTAKO:ペンネームの霞詩子より。
◼︎第5.5章 2周目以降からは、5章と6章の間に読んでください(丸戸)
場所:視聴覚室
登場キャラ:加藤、詩羽
安芸くんが先輩へ回答を言う前の根回しフェーズです。先に安芸くんから回答の内容を聞いた上で、安芸くんの代わりに謝って、拗れないようにフォローする加藤さん。正妻感がハンパないです…。
◼︎エピローグ
登場キャラ:安芸、加藤、英梨々、詩羽
文化祭最後のキャンプファイアー。中庭で詩羽先輩は加藤さんへ結果を報告。
『…霞ヶ丘先輩って、安芸くんに、大事にされ過ぎてるんですよ』
加藤さん、僅かにですが、嫉妬のような感情が芽生えてるのでしょうか。まぁ普段、安芸くんは加藤さんの扱い酷いですし…。
『どれだけ大事にされても、妹だとか、憧れだとか、師匠だとか、いつも特別扱いされて、結局、普通に側にいられない』
詩羽先輩の最大のジレンマ。安芸くんから崇拝される作家であるが故に、ただの女性として側にいられない。
いつも普通に安芸くんの側にいるのは加藤さんで、それに対しての嫉妬。
お互い感情を少しずつ見せつつ、詩羽先輩は加藤さんへ、今日だけは瑠璃を演じるように依頼。加藤さんは瑠璃を演じつつ、安芸くんとフォークダンスを踊ります。
安芸くんと加藤さんのフォークダンスを遠くから見る英梨々。学校では安芸くんを避けているため、見守るしかありません。
◼︎感想とか
今巻は詩羽先輩のエピソード。過去同様にシナリオに自分の気持ちを込めて、安芸くんへ伝えるという作家らしいアプローチでした。
この巻での重要な描写は、以下2点。
①加藤さんのメインヒロインへの執着心
:今巻は作品が始まって以来初めて、メインヒロインのポジションに大きな影響を与える可能性のあるストーリーだったと思います。
※仮に安芸くんが瑠璃のシナリオを選んでいれば、本質的なメインヒロインは詩羽先輩になってしまうので。
まだそこまで強い執着心ではないようですが、『嫌じゃないので、譲りたくない』くらいの拘りは、セリフ等から感じ取れました。
②詩羽先輩のジレンマ
『どれだけ大事にされても、妹だとか、憧れだとか、師匠だとか、いつも特別扱いされて、結局、普通に側にいられない』
このセリフに集約されるように、安芸くんから崇拝されると、女性として以上にクリエイターとしてしか見られなくなり、普通に女性として側に寄り添うことが難しくなるようです。ただ、安芸くんは信者としてとても大切(ある意味メインヒロイン以上)に先輩を扱うため、離れるに離れられないという…。
安芸くんの天然同人ゴロスキル、ハンパないですね。