ある日の午後、
外からご主人様の歌声が聞こえる。
郵便屋さん、郵便屋さん
ハガキが10枚落ちました。
拾ってあげましょ
1枚、2枚、3枚…
縄跳びを飛ぶさいに歌われる
活発で覚えやすい歌である。
飛んでいるお嬢さんは
6歳と4歳のA姉妹だ。
これだけ声高々に歌ったら気分がせいせいして
気持ちよかろうと思うが近所迷惑だ。
しばらくして歌声はやんだ。
次は花に水やりが始まった。
姉がホースで水をまく。
妹は負けずにホースを取りにかかる。
さすがに姉は姉だけに
ダメよ服が濡れる
と引っ張り返す。
妹はそのくらいの事であきらめる訳がない。
遂には小競り合いが始まり
シャワーは容赦なく妹にかかる
足だけでなく膝のあたりがしたたか濡れる。
妹の望み通りになったようだ。
A姉妹は時には仲良く
オレにプレゼントを持って来てくれる。
オレの部屋に乱入する。
オレは尻尾をグルグル振って
タンス裏に逃げる。
クロスケによしよししたい‼️
クロスケどこにいるの❓ここかなあ⁉️
オレは2人を早く帰そうと息をひそめる。
そんな姉妹のお父さんは
志村けんの大ファン。
通勤バックにはバッチが二個ついている。
お父ちゃんは涙を流して変なおじさんを
見ている。かわいそう。
志村けんの死に
小さな姉妹の心も痛めている。
日々美しくなるバラ
