人を使い捨てする会社の行く末 ドラッカーの警鐘?? | 東京リーシングと土地活用戦記

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人を使い捨てする会社の行く末 ドラッカーの警鐘
ドラッカーに学ぶココロの処方箋(5)
2014/4/27 7:00日本経済新聞 電子版


 「過去にメンタルヘルス不調で休職した社員がいる」企業は多い。これを防ぐため、何らかのメンタルヘルス施策を実施する会社が増えている。しかし、休職者が完全復帰した割合は低いとの調査結果がある。メンタル対策は一筋縄ではいかないようだ。この連載では、「組織内のメンタルヘルス(こころの健康)問題への対応」をコンサルティングする臨床心理士の尾崎健一氏が、「経営学の父」ピーター・ドラッカーの名言をキーワードに用いて、望ましい企業内メンタルヘルス・マネジメントについて解説する。5回目は「企業内で行うべきメンタルヘルス対策」について考えてみよう。

 労務行政研究所が行った「企業におけるメンタルヘルスの実態と対策」(2010年)によれば、何らかのメンタルヘルス施策を「実施している」企業は86.5%と、前回2008年調査の79.2%より増加した。


 一方で、「過去にメンタルヘルス不調で休職した社員がいる」企業は全体で92.7%、1000人以上の大企業に至っては100%に上っている。その中で「完全復帰した割合」を尋ねた質問では、「半分程度」と「それ以下」を合わせると50%以上となっている。つまり、メンタルヘルス不調による休職者の半数以上は完全復職できていない。何らかの業務軽減をしているか断続的休職、または退職したことになる。メンタルヘルス対策に取り組む会社は増えているが、効果が十分表れているとは言いがたい。

 ドラッカーは、「あらゆる組織が、『人が宝』と言う。ところが、それを行動で示している組織はほとんどない。本気でそう考えている組織はさらにない。ほとんどの組織が、無意識にではあろうが、19世紀の雇用主と同じように、組織が社員を必要としている以上に社員が組織を必要としていると信じ込んでいる」(『プロフェッショナルの条件』)と述べ、社員をいつでも替えのきく存在と捉えることに警鐘を鳴らしている。

 メンタルヘルス不調が続出することを職場の問題と捉えず、個人の問題として切り捨てることで収束を図ろうとする職場の事例を見てみよう。

■「休職中の社員を辞めさせたい

 A社は、中堅のシステム会社だ。多分に漏れず、昨今の競争激化と産業構造の変化の中、過重労働と業務の複雑化により現場の負担は増加している。

 2000年に入ってからメンタルヘルス不調が目立ち始め、それが原因で休職や退職をする社員が増えてきた。会社も相談窓口を導入したり、産業医を精神科医にしたりと対策を講じている。

 当初はメンタルヘルス不調者に同情を寄せていた同僚も、軽減勤務からなかなか回復しない復職者や休職を繰り返す社員に不満の声を漏らすようになった。「残業できない人はいらないですよ」「いつ来るか分からない人に仕事を任せられるわけがない」。人事部門に対して、「補充の人員が欲しいんだ。休職中の人を辞めさせる方法はないかな」と露骨に言い出す管理職も現れた。


退職勧奨ともいえる会社の対応に、休職期間を満了せず辞めていった社員も多い。それを埋めるために採用活動をするが、個人のスキルとノウハウに依存する部分が多い業務のため、仕事を任せられるようになるのに数カ月はかかる。

 メンバーにうつ病の診断が出ても、現場では「このプロジェクトが終わるまであと2カ月だけ頑張ってもらえないか」と無理を承知でお願いする上司もいる。「迷惑をかけてはいけない」と頑張る人の多くは、結局途中で休職することになってしまう。

 そんな状況の中、周りの社員が「こんな会社ではやっていられない」「会社の業績と人の健康とどちらが大切なんだ」「これでは使い捨てだ」と不信感を強めて会社を退職するケースも増え始めている。

■「人は宝」と言うだけでは済まない時代がやってきた



「プロジェクトの進行が遅れる」といった組織の損得を優先し、メンタルヘルス不調者を見て見ぬふりをしていると、人的資産を損ない、貴重な人材の流出を招きかねない
 「業績の低い社員は切る」という発想は高度経済成長期の日本には見られなかったものだ。皆横並びで昇給していた時代には、業績の高い社員は低い社員のことを「俺が食わせてやっている」くらいに思っていたそうだ。それが今では、「自分より業績の悪い人間が自分と同じ給料をもらっていることが納得できない」という声も聞かれる。

 事業継続があってはじめて社員の生活と社会への貢献が継続できるのだから、経済環境が芳しくないなか、危機回避のためのやむを得ない雇用調整を否定するつもりはない。しかし、メンタルヘルス不調者対応や不況時の退職勧奨のやり方に、「人は宝」だと本気で考えているかどうかが表れる。

 例えば、メンタルヘルス不調の原因が業務であれ、個人の事情であれ、休職するほど悪くなる前に職場で不調に気づいていたらできることがあったはずだ。人員一人欠けたら業務が回らなくなるという理由で、見て見ぬふりをしていたとしたら、既に業務への人員計画とリスクマネジメントに問題があると言わざるを得ない。

 これまでも「人は宝」と言っている会社はたくさんあったが、キャッチフレーズとして言うだけでは済まない時代がやってきた。ドラッカーは「事実上、既に組織は、製品やサービスについてと同じように、組織への勧誘についてのマーケティングを行わなければならなくなっている。組織は、人を惹きつけ、引き止められなければならない。彼らを認め、報い、動機づけられなければならない。彼らに仕え、満足させられなければならない」(『プロフェッショナルの条件』)と述べている。

 転職への心理的な障壁が下がり、グローバルな人材獲得競争に巻き込まれ始めた日本企業では、仕事の成果が高い人ほど流出の可能性が高まっている。採用の時には美辞麗句を並べ、高待遇を保証するものの、いったん不調を来すと厄介者扱いして放り出そうとする。そうした組織を、社員は冷めた目で観察し、捨てられる前に自分が会社を見捨てる準備を進めているかもしれない。

ストレス低減のための職場改善

 社員のメンタルヘルスが向上し、「人を惹きつけ、引き止め」「彼らを認め、報い、動機づけられる」組織にするために、何ができるだろうか? メンタルヘルス対策の観点から5つのポイントを考えてみよう。


【1】正しい理解の促進

 メンタルヘルス不調に対して、「治らない」「根性の問題である」「私たちの頃はなかった」という認識の社員が多い会社がある。まず経営者がメンタルヘルスに関する正しい理解を持ち、会社から社員に対して積極的な教育・啓発活動を行う必要がある。正しい理解が進めば本人が居づらくなる状況も減るし、社員が「働く人のことを考えている会社だ」と思えば会社へのコミットメントは高くなる。

【2】産業保健部門任せにしない

 「メンタルヘルス対応は産業医などの産業保健部門で対応すべきこと」という経営者の姿勢がいまだにあるようだ。これはメンタルヘルス問題を特定個人のみに起きる健康問題と認識している表れだ。ドラッカーは「現実には、人のマネジメントに関する従来のアプローチのほとんどが、人を資源としてではなく、問題、雑事、費用として扱っている」(『マネジメント エッセンシャル版』)ことを懸念している。メンタルヘルス向上は、人という資源を生かすための経営課題として認識すべきだ。

【3】能動的な現状把握

 経営課題とするためには、「会社として」現場で何が起きており、何がストレス要因となっているかを把握しなければならない。経営者が雲の上の人で社員の声が届かないという組織では、メンタルヘルス不調が起きやすい。「タウンミーティング」や「目安箱と意見に対するフィードバック」などの仕組みを改めて見直し、経営と社員の距離を縮める工夫・施策を考えよう。個人的な問題と守秘に配慮したストレス診断で、組織としてのストレス状況を把握することも有効だ。

【4】職場環境の改善

 経営者・社員がメンタルヘルスに対して正しい理解をし、職場のストレス要因がある程度把握できたら、そのストレス要因をいかに低減するかを職場全体で考える。「職場環境改善会議」と称し、職場ストレスを低減する方法論の研究も進められている(『職場環境等の改善等によるメンタルヘルス対策に関する研究』)。

 それは、「生産性の向上」という観点のいわゆるカイゼン活動ではなく、「ストレス低減」という観点から改善活動を行うことだ。物理的な環境や仕事の進め方だけでなく、人間関係や権限委譲、働きやすさなどの目に見えない部分も含まれることが大きな違いだ。

【5】「強み弱み」を知る機会とする

 休職者を「復職可という診断書が出たから」という理由で復職させると、業務起因がある場合には特に再発の危険が高い。復職を期に改めて本人の「強み、弱み」を振り返る機会をつくろう。例えば、本人のやってきた仕事の棚卸しをしたり、強み、弱みを分析してもらうなどで自分を見つめ直したり、上司からフィードバックしたりすることが挙げられる。それを上司、会社と共有し、復職時や今後のキャリアに生かせることが理想だ。ドラッカーは、「強みを生かす」ことを繰り返し述べている。「知識労働の時代においては、強みをもとに人事を行うことは、知識労働者本人、人事を行うもの、組織そのもの、社会にとって欠くべからざることである」(『経営者の条件』)

 以上の5つを読んでどう感じただろうか。経営者から「確かに人を大切にすることが重要であるのは間違いないが、そんなことをしていたら生産性が上がらない」という声も聞く。しかし、実際に「人を宝」とする経営で会社の業績とメンタルヘルスの両方が向上した例がある。

 オリンパスソフトウェアテクノロジーでは、社員個々を把握するための「コミュニケーションシート」やスキルアップのための「スキルシート」と「社員教育」を充実させた。管理職と社員の距離を縮める制度改革やイベントを実施し、メンタルヘルスの専門部隊を社内に設置してメンタルヘルス不調を個人ではなく会社の問題として解決する姿勢を積極的に示し続けた。

 その結果、メンタルヘルス不調による休職者、退職者が減少しただけではなく、自己都合退職率0%、開発生産性32%向上を達成したのである。人を中心に据えた経営が、メンタルヘルスにかかわる問題だけでなく、生産性や離職率にも影響した好例である。

 『明日を支配するもの』でドラッカーは、「資産の保全こそマネジメントの責務である」と述べている。21世紀の今、知識労働者は間違いなく会社の資産となった。流動化する資産の維持が、明日を迎えるために不可欠なのだ。

参考文献:労務行政研究所『企業におけるメンタルヘルスの実態と対策』(2010)、ドラッカー『プロフェッショナルの条件』(2000)、ドラッカー『マネジメント エッセンシャル版』(2001)、労働安全衛生総合研究事業『職場環境等の改善等によるメンタルヘルス対策に関する研究』(2005)、ドラッカー『経営者の条件』(1967)、天野常彦・小杉佳代子『メンタルサポートが会社を変えた!-オリンパスソフトの奇跡』(2011)、ドラッカー『明日を支配するもの』(1999)


尾崎健一(おざき・けんいち)
 ライフワーク・ストレスアカデミー代表取締役、臨床心理士。コンピューターメーカーに勤務後、大学院に進学し、臨床心理士資格を取得。その後、メーカーおよびEAP(従業員支援プログラム)にて人事部、メンタルヘルス問題対応の仕事を担当して独立。現在、企業のメンタルヘルス対応の仕組みづくり、人事労務問題対応のコンサルティングなどを行う。著書に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、『黒い社労士と白い心理士が教える問題社員50の対処術』(共著、小学館集英社プロダクション)など。

[日経情報ストラテジー2013年5月号の記事を基に再構成]


ブラック企業の社長さんが・・

自民党の代議士になる時代・・・

先日、大手の会社で100時間の残業でも・・

付けていない営業社員たちの話を聞いた。

この実体は・・一体何??

メンタルヘルス施策を「実施している」企業は86.5%って・・本当か??

実体を把握もしていない・・人達が・・

かえって・・自体をそののままにし、放置しているんでないかい??