田原総一朗の政財界「ここだけの話」
国民は民主党が理解できなくなっている
2010年3月17日日経 BP NET
民主党が政権を取ってから、3月16日で半年が経った。
今、国民の期待と現実のギャップがどんどん広がっている。
時事通信の世論調査(3月5~8日実施)によれば、鳩山内閣の支持率はついに30.9%まで落ち込んだ。朝日新聞が16日に発表した世論調査(13、14日実施)でも32%。「危険水域」とされる20%台に落ちるのは時間の問題と言えそうだ。
民主党は矛盾に満ちている
内閣支持率が落ちている大きな原因は、やはり鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長の「政治とカネ」問題である。先週このコラム(「民主党は『説教強盗』説に反論できるか」)で取り上げたように、民主党は「説教強盗」のようなイメージを国民が持っているのだろう。
鳩山さんと小沢さんが自分たちのカネの問題にエネルギーと意識を取られているせいか、民主党内には矛盾した意見が多く、国民は民主党を理解できなくなってきている。
岡田克也さんが外務大臣になって日米間の密約問題を徹底的に調査すると約束した。調査の結果、4件の密約があることが判明した。「核搭載艦の一時寄港・領海通過」「朝鮮半島の有事」「沖縄の核再持ち込み」「沖縄の現状回復」に関連してである。
そのうち2件が核兵器にからんでいた。1963年にライシャワー駐日米大使が大平正芳外相との会談で、核を積んだ艦船が事前協議なしに寄港している可能性を示唆した。当時日本はこれを認めなかったが、60年代末には「暗黙の合意」として固まったとされる。また沖縄への核の持ち込みについては、その密約文書が佐藤栄作首相とニクソン米大統領が署名した合意議事録として見つかった。
日本は「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という「非核三原則」を国是としている。にもかかわらず、米国の核持ち込みを認めるという密約を交わしていた。だが、こうしたことはなかば公然の秘密として、国民は知っていた。
今回、岡田外相が、つまり政府が密約の存在を認めたことになる。しかし、その認め方にも問題があった。
たとえば、沖縄への核の再持ち込み。外務省の有識者委員会は、佐藤・ニクソン会談の合意議事録の内容は次の内閣に引き継がれていないため、「密約とは言えず」とした。政府も密約ではないと言っている。私にはこれがよくわからない。
『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』を書いた若泉敬氏の胸の内
佐藤・ニクソン会談の合意が密約であったことを、若泉敬氏が著書『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』(文藝春秋、1994年)の中で書いている。
佐藤首相の密使として若泉さんは渡米し、キッシンジャー米大統領補佐官と交渉を重ね、佐藤・ニクソン会談の合意議事録の草案づくりをした。このことが非常に心の負担となっていた若泉さんは最後は命を絶ってしまう。「沖縄を、国民を、だましてしまった」という心情だったのではないか。
私はこの本を読み、今は亡くなってしまったが、当時佐藤首相の秘書官だった楠田實さんに「なぜ若泉さんの本を認めたんですか」と質問したことがある。なぜなら、本の出版によって、密約があったことが公になるからだ。
楠田さんはこう語った。「若泉さんがこういう本を書きたいと言って訪ねて来たとき、私は当然、とんでもない、と答えました。しかし、命がけで密約に及んだ若泉さんに対して、佐藤首相はあまりにも冷淡だったそうです。彼がこうした本を書きたいと言うのも、わからないわけでもないと思い、認めたんです」
その「密約」は佐藤首相の遺族が保管していたとされる文書で確認された。だから、これは明らかに密約だったのだ。だが、有識者委員会は「密約とは言えず」と判断した。それについて岡田さんに聞いても「わかりません」と首を振る。このように曖昧にしておくことがなぜなのか、私には解せない。
今回の密約問題で、米国は30年経ってから公開している文書があるが、なぜ日本は公開しないのか。しかも冷戦が終わっても、なぜ公開できないのか。
結局のところ、日本が自ら「当時の文書を公開する」と米国に対して言えなかったのだ。これは日本が真に独立していない証拠であり、主体性がないということでもある。この問題は、日本の独立とは何か、主体性とは何か、そうしたことを問われる事件でもあった。
核密約を公にして、民主党は今後どうするつもりなのか
もう一つ重大な問題がある。密約があったことはわかった。では、政府は米国に対して今後、核の持ち込みを一切認めないと言えるのか。
それを岡田外相に聞くと、「90年代初めから米国の方針が変わり、それ以降、米国は日本に核を持ち込んでいない」と答えた。
私はさらに「核を持ち込んでいないということはわかった。それなら、非核三原則の3番目、『持ち込ませない』を米国に今後はっきりと言うのか。もし言ったとして、それを米国が拒否したら、日本はどうするのか」と聞いた。
岡田さんの答えから察するに、どうやら「言わない」ということになるらしい。もし言わなければ、これまでと同じだ。岡田さんは「非核三原則は日本のものであり、米国の問題ではない」と言った。これも私にはさっぱりわからない。
なぜ日本は今、密約があったことを公にしたのか。そして、今後どうするつもりなのか。
岡田さんはこう言う。「日本は米国の核の傘に守られている」
メディアの報道を見ると、密約問題はすべて解決したかのようであるが、実は何一つとして解決していない。解決したようにとらえるのは、大きな誤解だ。民主党は国民に大きな誤解を与えるようなことをしてしまったのではないだろうか。
民主党とは、いったどういう政党なのか。
私は先の衆議院選で民主党に期待を込めて一票を投じた。しかし彼らは、日本に対し、日本国民に対し、何をする党なのかがわかっていないのではないか。特に幹部が、である。
高速道路建設、前原国交相はなぜ「NO」と言えなかったのか
麻生内閣のとき、高速道路の土日割引用の財源として3兆円をプールし、高速道路建設には使わないことを決めた。ところが、なんと、民主党はこの残りの財源2兆5000億円を使って新しい高速道路を建設すると言い出した。これはいったい何なのか。
民主党政権は「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズを掲げ、2010年度予算で公共事業費を18%削減し、子ども手当や高校無償化などに充てることを決めた。18%を金額にすると1兆3000億円だ。それを捻出するのに苦労した、と声を大にして言っているくせに、なぜ2兆5000億円をいとも簡単に公共事業である高速道路建設に使うのか。
言っていることとやっていることがまったく合致しない。
高速道路建設は小沢一郎さんが昨年末に政府に要求したことだが、党の言い分に対して政府はなぜ「NO」と言えないのか。
前原誠司国土交通相は八ツ場ダム問題をはじめ思い切った政策を打ってきた。しかし、なぜ前原さんは、「これは政府の政策と矛盾する」と言えなかったのか。
民主党が何をしたいのか、どんどん見えなくなってきている。
鳩山首相は昨年9月の国連気候変動首脳会議で2020年までに温暖化ガスを1990年比25%削減すると宣言した。麻生首相の2005年比15%削減、オバマ大統領の14%削減を大きく上回る数字だ。
国連では拍手喝采を浴びたが、民主党には25%削減を実現できる根拠があるのか。鳩山さんはいろいろな場所でこの数値について語っても、その根拠は示していない。根拠を示さなければ、ただ口先で言っているだけに過ぎないだろう。
ここで思い出すのが昨年の衆議院選挙だ。民主党は社民党とともに米軍普天間基地の県外・国外移設を唱えた。沖縄県民は大賛成した。
当時、民主党は野党であり、何の責任もなかった。だが政権を握った以上は、県外とはどこなのか示すべきだ。鳩山さんの選挙区がある北海道なのか、小沢さんの選挙区がある岩手県なのか。私は当然、見通しがついているものと思っていたが、実は何もなかった。
消費税を真剣に論議せよ
ずるずると先に延ばし、1月には名護市長選で米軍基地移設の反対派が市長に選ばれたというのに、今になって自民党政権時代にも検討された名護市のキャンプ・シュワブ陸上案が出てきている。民主党はいったい何を言っているのか。この問題によって日米関係が悪化し、鳩山首相は今やオバマ大統領に会えない状態にまでなっているのに。
民主党に言いたい。「早く政権党に慣れよ」。
そして、二つの注文をつけたい。
一つは、自民党政権時代の密室談合政治を変えよ、ということだ。政策の決定プロセスを透明にして、わかりやすくしてほしい。
もう一つは、ひたすら借金ばかりを積み重ねるのでなく、もっと財政のあり方を考えてほしい。そのためには消費税を真剣に議論せよ。
仙谷由人国家戦略相は私の問いに対して、「4月から消費税も含めて税制問題に真剣に取り組む」と答えた。
さあ、民主党は本当にこの問題に取り組むのか。国民は注目している。
田原総一朗(たはら・そういちろう)
1934年滋賀県生まれ。早大文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経て、フリーランスのジャーナリストとして独立。1987年から「朝まで生テレビ!」、1989年からスタートした「サンデープロジェクト」のキャスターを務める。新しいスタイルのテレビ・ジャーナリズムを作りあげたとして、1998年、ギャラクシー35周年記念賞(城戸賞)を受賞。また、オピニオン誌「オフレコ!」を責任編集。2002年4月に母校・早稲田大学で「大隈塾」を開講。塾頭として未来のリーダーを育てるべく、学生たちの指導にあたっている。最新刊に『田原の眼力 嘘ではない真実の取材ノート』(扶桑社新書)、『オフレコ!スペシャル 2020年、10年後の日本』(アスコム)、『田原式 つい本音を言わせてしまう技術』(幻冬舎)がある。
国民は、詐欺だと、思っている。
やりもしない、マニュフェストに期待して・・
信頼して、投票して・・・
完全に、騙されたと思っている・・・・
そして、小沢支配を、とっても、心配している・・
政権発足から、たった半年で、3倍の不支持48.5%!!
そして、とっても、怒っている!!!
【時事世論調査】内閣支持率(2010年3月12日更新)◆内閣支持率(最新) (過去3カ月) ◆政党支持率(最新) (過去3カ月) ◆歴代内閣発足後初の支持率 ◆政治・最新ニュース
◎内閣支持率、続落30.9%=参院選投票先、民・自並ぶ-時事世論調査※記事などの内容は2010年3月12日掲載時のものです
時事通信社が5~8日に実施した3月の世論調査によると、鳩山内閣の支持率は30.9%となり、前月から4.8ポイント下がった。不支持率は同3.8ポイント増の48.5%。参院選比例代表の投票先でも、民主党は2.9ポイント減の21.1%で、自民の20.5%(同2.5ポイント増)との差が一段と縮まった。 内閣支持率が政権運営の「危険水域」とされる20%台目前となったのは、鳩山由紀夫首相と小沢一郎民主党幹事長の「政治とカネ」の問題に続き、小林千代美同党衆院議員をめぐる違法献金事件が表面化し、鳩山政権への批判が高まったことなどが背景にあるとみられる。
調査は、全国の成人男女2000人を対象に個別面接方式で実施。回収率は66.3%だった。
内閣を支持する理由(複数回答)は、「他に適当な人がいない」11.3%が最も多く、「政策が良い」6.9%、「首相を信頼する」6.4%が続いた。不支持の理由は、「リーダーシップがない」26.5%、「期待が持てない」25.9%、「首相を信頼できない」17.2%が上位を占めた。
「支持政党なし」とした無党派層をみると、内閣支持率は21.9%で、前月から6.2ポイントも減少。不支持は4.1ポイント増の50.0%に達した。
参院比例の投票先では、民主と自民の差は前回の6.0ポイントから0.6ポイントに縮小した。公明は5.1%で横ばい。みんなの党は3.2%で、共産2.4%、社民党1.7%を抜いた。
小沢氏の進退については、「幹事長を辞めるべきだ」が48.5%(同48.4%)。「衆院議員も辞めるべきだ」は31.3%(同24.1%)に増え、合わせると8割が幹事長辞任を求めた。

