月刊チャージャー2月号
【対談】森永卓郎VS人気メイド嬢 第8回 日本のリスクはみんなのリスク:オバマ効果
「Change!」「Yes,we can!」そんな頼もしい呼び声が人気を呼び、第44代アメリカ合衆国大統領に就任したバラック・オバマ氏。だが、アメリカは「100年に1度」の金融危機を迎え、多くの大企業や個人が破産寸前の有り様だ。1929年の世界恐慌を立て直したのは、第32代大統領のフランクリン・ルーズベルトだったが、オバマもルーズベルトのように“合衆国再生”ができるのか? また、オバマの大統領就任で、日本経済や日本人に及ぼす影響は? 日本一分かりやすい経済アナリスト森永卓郎氏に、オバマファンだというメイド嬢、みぃちゃんが直撃する。
オバマ大統領就任で
アメリカは本当に「Change」できるんですか?
みぃ いよいよオバマ氏がアメリカ合衆国大統領に就任しました。オバマといえば、米国史上初の黒人系大統領。そして、47歳の若さ。若さとガッツで、不況にあえぐアメリカ、そして世界を恐慌から救ってくれそうな気がしますよね!
森永 うーん。私は、その過剰な期待こそが、危険だと思うんですよ。
みぃ エッ、なんでですか?
森永 先日、アメリカから来た人と話をしていたんですが、今アメリカでは高額所得者から低額所得者まで、みんなで浮かれているらしいの。今はヒドイ目にあっているけれど、オバマがまた豊かなアメリカに変えてくれるって、思い込んでいるらしい。
みぃ 合言葉は「Change!」ですもん。そりゃ、期待しますよ。
森永 確かに、オバマが唱える政策は、まともです。GM・フォード・クライスラーというアメリカ自動車産業ビッグスリーを救済して、「アメリカでまた、ちゃんと車を作ろうよ」と言ってますし。また、彼は今までみたく、金融ビジネスで儲けるんじゃなくて、「ちゃんと働いて稼ごうよ」というまともな暮らしを提言している。「真面目に働いて、中流の暮らしを守るんだ」っていうのが彼の主張ですからね。アメリカ人には“古き良きアメリカ”的な中流の暮らしに対する強烈な憧れがあるから、オバマが期待されるのは当然といえば当然。
みぃ アメリカ人が憧れる「中流の暮らし」って、どんななんですか?
森永 “古き良きアメリカ”の暮らしですよ。郊外に家があって、庭には青い芝生が広がって、お父さんは定時に帰ってきて、お母さんはパイを焼く。そんな、絵に描いたような暮らし。
みぃ ああ、昔のアメリカ映画に出てきそうなイメージですね。
森永 そうそう。そんな豊な中流の暮らしを取り戻すために、オバマは中産階級以下には大規模な減税措置を取ると言っている。でもね、中流の暮らしを取り戻すってそんな簡単なことじゃないのよ。
みぃ テレビで見る限り、どうやら普通の中流層が、住宅ローンを返せずに、住んでいた家を召し上げられちゃったりしているみたいですもんね。
森永 そうそう。その話に代表されるように、アメリカ人は、この四半世紀の金融に浮かれていた時代の間に、自分たちがまともに働いて稼いでいた時代より、約400兆円も余分に使ってしまったの。
みぃ 400兆円も?
森永 そうです。今の典型的なアメリカ人って、何枚もクレジットカードを持っていて、自分の稼ぎ以上にバンバン使う。当然、支払いが落ちないので、今度は別のクレジットカードでキャッシングして、穴を埋めるなんてことをしてた人も少なくなかったんです。
みぃ 「アリとキリギリス」で言うところの、典型的なキリギリスですね。
森永 そうそう。だから、真っ当な“働きアリ”に戻るためには、真面目に働いて借金を返さないといけない。
みぃ 自分たちの生活態度こそ、「Change」しなくちゃいけないんですね。
森永 その通り。ところが、チマチマした暮らしをして、コツコツ借金を返すなんて、アメリカ人にもっとも似合わないライフスタイルなのよ。
みぃ ハハハ、確かに。
森永 たとえばヨーロッパの人に、「この間の週末は何していたんですか?」って聞くと、ほとんどの人が、「お散歩~」とか「ピクニック~」と答える。ところが、アメリカ人は一家総出で、大型車に乗り込んでショッピングモールへ行き、バンバン買い物して、トランクを山積みにして帰ってくる。
みぃ それが、彼らのライフスタイルなんですね。
森永 そう。アメリカ人で週末にお散歩している人なんて、私は1人しか知りませんから(笑)。それを、地味な暮らしに「Change」しようったって、中々できるこっちゃない。
みぃ オバマさんが一生懸命「Change」って言ったって、アメリカ国民が「Change」できないってわけですね。
・・・・うっ、きもちわるい・・・
森永卓郎ちゃんは、メイド好きだけど、オバマさんきらいなんだねー!!
