リージョナル航空機で“空中戦” 双日、丸紅など売り込み攻勢
2008.12.7 産経ニュース
「2008年国際航空宇宙展」で、国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」の実物大の室内模型(モックアップ)を公開した三菱航空機株式会社 =10月1日、横浜市西区みなとみらいのパシフィコ横浜(大山実撮影)
航空不況の逆風の中、大手商社が、旅客数100席前後で小回りが利き、高効率のリージョナルジェット機の売り込み攻勢をかけている。三菱重工業が平成25年の就航を目指す初の国産ジェット旅客機「MRJ」では三菱商事、三井物産、住友商事が連合軍を結成。双日はカナダのボンバルディア、丸紅がブラジルのエンブラエルなど、国内の販売権を持つ海外メーカー機で対抗し、激しい“空中戦”を繰り広げている。
「これで“みそぎ”が済んだかなと思う」。双日の栗林顕(けん)・民間航空事業部長は胸をなで下ろす。同社が販売代理店を務める加ボンバルディアのプロペラ機「Q400」が昨年3月、胴体着陸事故を起こした。これで双日は受注活動自粛を余儀なくされたが、08年に入り全日本空輸系のエアーニッポンからQ400を3機新規受注した。
ボンバルディアは、米ボーイング、欧州エアバスに続く世界3位の航空機メーカーで、国内線や近距離国際線向けのリージョナル機では最大手。最大の武器は「一番安い運航コスト」(栗林氏)だ。
双日は、1978年から日本の総代理店を務める。当初はなかなか実を結ばなかったが、97年の日本初納入を手始めに10年間で一気に受注を拡大し累計受注は61機を数える。国産旅客機「YS-11」の退役に加え、ボーイングの小型機「B737」でも採算が合わない地方路線向けの需要が増えたためだ。
ただ、事故でイメージダウンを招いた双日・ボンバルディア連合に対し、その間隙(かんげき)を狙った動きも激しくなっている。
「航空機販売はロッキード事件以来。(丸紅の)歴史に新たなページを刻むことができた」
10月3日、ブラジル・サンパウロ州のエンブラエル本社での日本航空への「E170」初号機引き渡し式典で、エンブラエルの日本総代理店を務める丸紅の朝田照男社長は、こう意気込んだ。「事件から30年以上が経ち、悲願が達成できた」(遠矢源太郎・民間航空機部長)。
丸紅がエンブラエルの日本総代理店の権利を得たのは2002年。エンブラエルは94年の民営化後、わずか数年でボンバルディアと肩を並べる“小型機世界2強”の座に就く勢いにあった。「航空機販売を手掛けられるチャンス」とみた遠矢氏らはシンガポールで折衝を重ね、住友商事や伊藤忠商事を抑えて販売権を獲得した。
現在は日航から15機(うちオプション5機)、鈴与系のフジドリームエアラインズから5機(同2機)と、20機の受注に成功した。丸紅では、国内路線の搭乗率を調べ上げ、「E170」を導入した際の仮想運航ダイヤを作成して、そのメリットを強調し、営業攻勢をかけた。日航も機体のダウンサイジングを急ぐなか、E170を選んだ。1号機は来年2月、名古屋(小牧)-福岡などの国内路線に就航する予定だ。
丸紅は今後、貨物機としての提案も検討。「山形のサクランボなど高付加価値商品なら空輸需要があるかもしれない」(遠矢氏)と戦略を練る。
「ボンバルディア機と比べ卓越した性能と強度。欧州製ターボプロップ(プロペラ機)では世界のベストセラー」。国内で先行する2強に対し、伊藤忠商事は、仏伊メーカーのATRのターボプロップ機「ATR72」の日本初就航を目指し、関係者を招いた飛行ツアーを展開している。ボンバルディアの更新需要を狙い、今後5~7年間で20機程度の受注を狙う。
もっとも、こうした実績を積み重ねてきた海外メーカー機に対しても、空中戦で最も優位な立場にあるのが、日本政府も開発を後押しする“日の丸ジェット”のMRJだ。
三菱重工が事業化のために設立した「三菱航空機」に三菱商事、三井物産、住友商事の3社が出資し、販売をサポートする。すでに全日空が25機の発注を決め、国も政府専用機として10機程度を購入する方針だ。政府の肝いりだけに、他社には「脅威」(商社幹部)との声があがる。
100席前後のリージョナルジェットの世界需要は、「今後20年間で4500~6000機」という急成長が予想されている。
世界の航空会社は、燃料費高騰で収益が悪化。足元では沈静化しているが、今度は世界同時不況で旅客数が急減している。国内でも地方路線の廃止に歯止めがかからない。採算性の高い小型機へのダウンサイジングは急務だ。
廃止が相次ぐ国内の地方路線でも、150人乗り前後の「B737」では採算が合わなくても、リージョナルジェットなら採算がとれるだけでなく、便数を増やし利便性を高め、旅客数を増やすことも可能だ。
2010年後半には羽田空港の拡張で羽田発の地方路線の増便も見込まれており、商社による売り込み合戦は一段とヒートアップしそうだ。
景気対策には、新しい需要を喚起、拡大させることになるとおもいますね・・


