茶道のお稽古をしたいけど、左利きでも大丈夫だろうか?
左利き点前ってあるのかな?と、
なかなかお稽古を始められないでいる方が多くいらっしゃるのではないかと思います。
もしかしたら、左利き専用のお稽古ができる流派があるかもしれない。
とインターネットなどで探した方もおられると思います。
現在の茶道では、残念ながら左利きのお点前は存在しないようです。
よって左利きの方は、右利きの方と同様のお点前を行っているのが現状です。
ただ、ハードルが右利きと比べ少し高い左利きですが、
左利きでも茶道の稽古に参加している方は増えてきているようです。
私は左利きですが、やはりお稽古では苦労が多いです。
左で点てたお茶と右で点てたお茶では泡の立ち方が全く違い、
なにかと不便なので左手に持ち替えてしまいたいと思ったことも何度もあります。
そんな中でも、身近に左利き仲間がいると苦労やノウハウを共有できて心強いです。
では、左利きのみなさんは、お稽古の時にどこの部分で苦労なさっているのでしょうか。
まず1番最初に苦労されるのは、“茶筅を振ること”ですね。
茶筅は上下に振るという比較的単純な作業ですので、
お稽古を通して段々と形になっていくのではないかと思います。
次に苦労するのが、“炭手前”の部分のようです。
(私はまだここまで進んでいませんので、周りの方の内容です。)
右手で火箸を使って炭を持つのは、
左利きにとっては一苦労だと思います。
炭手は大きいですし硬い、
そして火箸は普段のお箸と比べて長いのでなかなか難しいようです。
お稽古以外でも、菜箸などを右手で持つなどして練習している方もいらっしゃるようです。
少し話しは変わりますが、
左利き点前の話になるとよく出てくるのは、
千利休の孫の“千宗旦”のお話です。
ご存知の方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
千宗旦は、左側に帛紗をつけていたことから、
左利きであったのではないかと言われています。
現在良く知られている流派である、
裏千家、表千家、武者小路などは、
宗旦の子供が創り上げたものになります。
この3つの流派は、宗旦の影響を受けて左側に帛紗をつけていると言われています。
またその他に、千利休の時、彼に影響を受けながらも武士茶道というものが産まれ、
武士に適した作法を編み出していった流派があります。武士茶道の流派は、
左側に刀をつけていたことから、右側に帛紗をつけると言われています。
このように、左利きであった宗旦が今でも残っていることは、
左利きである人にとっても元気のでるお話なのではないかと思いますし、
文化が受け継がれてきていることを感じます。
最後に、左利きのお点前や作法は実際に存在しませんでしたが、
左利きでお茶道のお稽古をすることで得られる効果はいくつかあると私は思います。
一番の効果は、左脳の活性化につながるということです。
普段では左手を中心に使っている方が
お稽古という非現実の世界で右を使うようになれば、左脳が活性化します。
左脳は記憶や言語認識をつかさどる「論理脳」であるので、
茶道の歴史や、お道具の種類や
原産地などを覚えたりするのにも役立つかと思います。
お茶道は、やきもの(茶器、茶碗、香合)、
お花、お庭、建物、掛け軸、茶筅や茶杓などのお道具、
着物と、様々な芸術的な作品と関係があります。
そういったものを一つ一つお茶会などで覚えていったりすることもお稽古の1つになります。
右利きの点前も、お茶道に関する様々な知識を
より吸収しやすくするおまじないをしているのだと思えば、
決して無駄なことにはならないと思います。