休日に行きたくなる茶道具の美術館といえばココ! | WABI×SABI〜日本のレキシが選んだ美のカタチ〜

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現在に伝わる日本の歴史・美を伝えていきたいと考えています。

特に茶道を通じて、日本独自の精神や美について記事を書いています。


茶道具の美術館といえば、
都心の表参道にある「根津美術館」がおススメです。
大切な休日なので、興味があってもやりたいことが
沢山あってつい後回しになってしまうことや、

事前知識などの下準備なしで行っても満足できなかったらどうしよう?
など、最初の一歩がでませんでした。



根津美術館は、
表参道駅から少し歩いたところにあることもあってアクセスもいいですし、
そして庭園やカフェもあるようなので足を運んでみました。

鑑賞したのは、

*重要文化財 「鼠志野茶碗 銘 山の端」
(ねずみしのちゃわん めい やまのは)



*「千利休茶杓遠州筒 銘 松本」
(せんのりきゅうちゃしゃくえんしゅうづつ めい まつもと)


【鼠志野茶碗 銘 山の端】

鼠志野は、絵柄も大きく力強くなんともいえない派手さがあって魅力的でした。
鼠志野は、美濃焼の1つであり、安土・桃山時代の陶器です。

安土桃山時代は、唐物から和物へと改革された時であり、
茶人好みの数々の名陶が創り出される時代だったようです。

日本独特の茶陶というやきものの世界が創り出された時であり、
美の追求が伺えるような作品だと感じました。

「鼠志野茶碗 銘 山の端」の鑑賞文を見てみると、
”腰が高く張った茶碗で、
胴には箍(たが)をかけたような浮き筋がめぐって胴締めのように見える。

鬼板は内側で厚く施されているため見込では大小の葉文が鮮やかで、
外側には亀甲文と檜垣(ひがき)文が淡く表れている。
高台内には、井桁(いげた)状の窯印が刻されている。

と書いてありました。



鑑賞文に使われている茶碗を鑑賞する際の用語を調べてみました。
「腰」(こし):胴の下部から高台辺りの張り出し部のことを指します。

ここは、器の持ちやすさ、手にしっくりと馴染むかどうかに影響するようです。

「胴」(どう): 器の側面のことを指します。
「高台」(こうだい):器の底にある、器全体を支える部分のことを指します。
「高台内」(こうだいうち):高台の内側を指します。

鑑賞文には、正面と茶碗の内側のことについて書かれていましたが、
実際に茶会で鑑賞する場合はそれに加えて、茶碗の裏も鑑賞します。

茶碗の鑑賞のポイントが解ると、
美術館に行って発見することも増えより楽しみが増えると感じました。


【千利休茶杓遠州筒 銘 松本】



茶杓は千利休が作成し、茶杓を入れる筒は小堀遠州が作成したものです。
茶杓は、抹茶をすくう道具です。昔は、このように茶杓を入れる筒は存在せず、
茶事のたびに茶杓を自分で創っていたようです。

櫂先と腰の直線、節下のくぼみなど、遠州作の茶杓の特徴と共通する部分が多く、
遠州はこの茶杓にならうところがあったのではないかと思われる。

鑑賞文を読むと、千利休、そして織部に続く遠州というように茶道具を見るだけで、
受け継がれてきたということが感じられました。

「茶杓は贈るものであり、贈られるものである。」といわれるそうです。
まさにそれを訴えかけてくれるような作品だと思いました。

桃山時代・天正後期では、竹の茶杓を茶人が自ら削るようになっていたようです。
これをリードしたのが利休であり、
茶杓に筒を作り、宛名を入れ、花押を施して贈るようになったようです。
このことを「贈筒」と言い、そういった文化が産まれました。

このように、師匠を尊敬する姿が“茶杓”を鑑賞することで想像できるということは大発見でした。


展示を見た後は、庭園を眺めながらNEZU Cafeでお抹茶と和菓子を頂きました。
東京では、なかなかお抹茶を飲む機会がないので満喫しました。
庭園を眺めながらのお茶は本当に贅沢ですね。



最後に庭園をゆっくり歩いて、ミュージアムショップで絵葉書などを購入して帰りました。
ミュージアムショップには、茶道具や、茶道関係の本、小物など様々なものが売っていて、
見ているだけでも楽しかったです。

もちろん、美術館に寄った帰りには表参道でショッピングや、ディナーをして帰りました。
休日のほんのひと時の時間を美術館で過ごすのもいいですね。