後継者不足の憂鬱 | 会社を辞めてXXを season 2

会社を辞めてXXを season 2

自分の原点に戻るべく57歳にして東京の商社を辞めて農業分野への転職を決意。年齢フィルターに苦戦しながらも農園への転職に成功するも1年でリストラに。再び彷徨いはじめた自分探しの備忘録。

 

 

 



 

みなさん、こんにちは。
今年最初の投稿である。年明けから大地震、大事故が相次ぎこんな騒がしい年明けになるとは思ってもみなかった。お亡くなりになられた方々に冥福をお祈り申し上げます。

さて、なぜ日本には定年制度があって60歳で退職なのか。日本では9割以上の企業が定年退職制度を採用している。うち8割が定年年齢を60歳に設定してどんなヒトでも一律に60歳で退職させている。一部65歳定年の動きがあるがまだ少数派だ。

ニッポンの有能な政治家のおかげで年金支給が満額受け取れるのが65歳になったから、企業は仕方なく5年間の継続雇用で残りたい社員を雇わざるを得なくなった。その代わり年間契約の薄給でだ。今まで何の疑いもなく私もそれを選択するのだろうと漠然と思ってきた。転職を決意するまでは。

これまで仕事の中でイヤというほど理不尽な目に遭ってきたが、60歳という年齢でバッサリ会社を追いやられるのはヒドく理不尽な制度だ。しかし年功序列でメンバーシップ型の日本型会社は晩年になってやっと高い給料が得られる制度だ。60歳以降も高い給料のまま居座られていては会社にとっても負担が大きい。

おまけにいざ転職しようにも50歳代後半ではもう時すでに遅しだ。賞味期限間近で給料が高い上に融通が効かないガンコモノ(と思われるのも癪だが)をわざわざ採用する会社がないのも当たり前か。この年功序列の賃金体系と年金制度が生み出した歪みが60歳から65歳のシニアに冷たい現実を突きつけるのだ。

私は50歳代、60歳代がまったく仕事のできない無能な世代だとは思わない。むしろ百戦錬磨を生き抜き、軟弱な若者よりあらゆる困難に立ち向かえる知恵やインテリジェンスの宝庫になっている可能性の方が高い。ITにはちょっとニガテなところもあるが、そんな人材が溢れるほどいる世代だと思うのだ。

職業に貴賤はないが、60歳を超えると選べる職業の選択肢がどうしても限られる。どうしてそんな世代が現場作業とか清掃員とか警備員、ドライバーくらいしか選択肢が残されていないのか。起業ができる才能があれば事業を自分でつくるのだろうが多くの定年サラリーマンはアントレプレナーとしての能力を持ち合わせていない。メンバーシップ型の会社の中でひとり立ちできるスキルが身につかないからだ。ひとり立ちするのはブルってしまって敷居が高いのだ。

一方で、中小企業庁などによると60代社長の約半数に後継者がいないという。そして、企業の休廃業や解散は経営者の高齢化と後継者不足もあって、毎年4万件台に達しているそうだ。しかもこれらの企業の6割は直近の業績が黒字だったという。実にもったいないハナシなのだ。

創業者の子供たちが親の苦労をみて引き継ぎたくないとか、経営の才能がないなどの理由で継承しないケースが多いようだ。私の知っている会社でも娘の婿さんを後継者にしたり、養子にしたりする会社がある。しかし本業とは無縁の世界から飛び込んでくるムコドノには役不足の一面もあるようだ。

実は転職活動中にこういった後継者不在の会社と社長候補人材をマッチングさせるサイトがあってエントリーを検討したことがあった。だが問題は譲渡方法だ。これまで苦労して育ててきた会社、やっと利益がでてきた会社を「はいよ」とタダで渡せるワケがない。発行株式額や時価総額、あるいは建設費、希望額などで買い取る形式がほとんどだった。そしてこのヒトなら、と双方が合意するとサイト運営会社にマージンを払うのだ。これはこれで敷居が高い。おまけに私が取り組みたい農業法人の後継者を探しているサイトはなかった。

日本の宝ともいえる優秀な中小企業が失われていく現状を防ぐ手立ては何かないものか。60歳を超えた素晴らしい経歴をもつ諸兄のようなシニア層が経営者となり、会社を盛り立てていけるカンタンな仕組み、プラットフォームができれば日本の経済、ひいては雇用の維持にもつながると思うのだが。最後まで読んでいただきありがとうございます。

Live long and Prosper. ||//_