加速する時間 | 会社を辞めてXXを season 2

会社を辞めてXXを season 2

自分の原点に戻るべく57歳にして東京の商社を辞めて農業分野への転職を決意。年齢フィルターに苦戦しながらも農園への転職に成功するも1年でリストラに。再び彷徨いはじめた自分探しの備忘録。

 

 

 


みなさん、こんにちは。

年の瀬、大晦日である。4月に農業の道を歩み始めてもう9か月、早いものだ。あっという間の一年だった。諸兄も一年の短さを痛感するのではないか。

思えばちょうど8年前(もう8年か!?)の2015年3月、当時の専務から出向中の会社への転籍を言い渡されたとき、実は自分でも笑えるほどヒドく落ち込んだ。あらゆることが無関心になりボーっとして何も考えることができなくなった。クルマにガソリンを給油してもキャップを締め忘れたり、道を歩いていてもどこを歩いているかわからなくなったり自分でも呆れるほどだった。

カミさんもよほど見かねたのだろう。気分転換に「コストコに行ってみない?」と誘ってくれた。普段あまりどこかへ行こうと誘わないのだが気の毒に思ってくれたようだった。会員の申し込みを済ませ店内に入るとアメリカ西海岸での長期出張で通ったコストコを思い出し本当にいい気分転換になった。おかげでショックから立ち直り、冷静に自分を見返せるようになった。カミさんには感謝しかない。

私はこれまでの励んできた前の会社での仕事がすべて否定されたような気がしていた。自分でいうのも恥ずかしいが少なくとも営業の「エース」くらいの自負はあった。会社の部署をタライ回しにされ、不振な事業を立て直し、新規事業を軌道に乗せてきた。それがまったく評価されず、外来役員の専務は「(私)さんの居場所はこの会社にない」と言い切ったのだ。

当時の専務は兄弟グループの上場会社からきた外来役員だった。もう引退したが辞めた時ごっそりと退職慰労金をかっさらっていった。都内に戸建てが買えるくらいだ。その専務が「まぁ、ウチの会社も(儲かっている)某部がダメになったらもうオシマイなんだけどね、ハハっ」と続けた。このときは転籍というコトバのショックで聞き流したが変なこというなぁと思ったのだ。

そして私はある日、はっと気がついた。専務をはじめとする外来役員たちはもうこの会社が、そして社員らが、新しい事業に取り組めるような実力やスキル、バイタリティがないことに気付いていたのではないのか。

上場会社にいた彼らがそこで働いていたバリバリの社員の実力と前の会社の社員の実力を比べたらいかに非力で無能かが歴然とするハズだ。確信犯だった。吸えるだけ甘い汁を吸ってやる。彼らが来てこの前の会社を見てそう思ったにちがいない。

映画マトリックスでモーフィアスがネオに薬を渡して現実世界に目覚めたように私は会社の現実に目覚めた。今までは内部にいて見えなかったが本当の会社の姿が見えた瞬間だった。私は転籍先を強靭な会社にしたいと思った。世界に、そしてどんな会社に行っても通用するスキルを持つ社員に育てよう、そう考えた。

ISO9001を隠れミノに社員教育を充実させた。顧客満足度を上げるためと称してエクセルやパワーポイントのMOS(Microsoft Office Specialist)を経費で受けさせた。他にも必要な資格は経費で取らせた。周りの社員からは嫉妬されたが構わず推し進めた。Office 365でクラウドを導入させ、TeamsやSkypeを使ってコミュニケーションの強化を図った。

これはコロナ禍で一般的になったが2016年には採用していた。アジア支店のスタッフも顧客を広げるためにどんどん海外への営業に行かせた。新しい技術や商品を知るようになり顧客への提案ができるようになった。本社がダメになっても価値のある子会社なら存続できるかもしれない。最悪解散しても社員は個人のスキルで生き残ってくれる。

だが、もうすでに諸兄はご存知の通り、私が奮闘できたのは3年間だった。2018年末、この転籍先の事業は別の国で行うため停止させられアジア支店はツブされた。私は前の会社に失望というより絶望を感じた。そして私は翌2019年3月、本社の籍に戻され子会社へ出向となった。以前の記事「転職の理由」で感じていた、おかしなことになっていると感じた違和感はこれだった。

 

 


時が流れるのは早いものだ。50歳を過ぎるとどんどん早く感じる。これは「ジャネーの法則」というそうだ。19世紀のフランス人哲学者ポールジャネーが発案した。ネットで検索すると「人生のある時期に感じる時間の長さは年齢の逆数に比例する」というものだ。

例えば50歳のヒトにとって1年の長さは人生の50分の1であるが、5歳の子供にとっては5分の1に相当するので50歳より10倍1年が長く感じる。逆に5歳の子供にとっての1年間は50歳の人間にとっての10年間に当たることになる。小学校の夏休みは長く感じたワケだ。

これから益々時間が早く感じるようになると人生アッという間だったなーと思いながらアッチへ旅立つのだろうか。もうすでにアッチへ逝った両親に「まだ来るんジャネー!」っていわれたりして。

ブログを始めて1年がたった。ここまで続くとは思わなかった。これも付き合ってくださる諸兄のおかげです。来年もいい年でありますように。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

Live long and Prosper. ||//_