就農への高いハードル | 会社を辞めてXXを season 2

会社を辞めてXXを season 2

自分の原点に戻るべく57歳にして東京の商社を辞めて農業分野への転職を決意。年齢フィルターに苦戦しながらも農園への転職に成功するも1年でリストラに。再び彷徨いはじめた自分探しの備忘録。

 

 

 

 

 


みなさん、こんにちは。

今年の春から57歳の新人として新しい会社でのスタートが始まった。勤務先は地方の農園であり、日々農業に携わる毎日だ。仕事はほぼ肉体労働が中心であるが作業が変わるたびに普段使わない筋肉を酷使することになる。だが3か月も過ぎると体の方も筋肉がついてきて単調な作業にもメゲない体力が気付かぬうちについてきた。

さて、諸兄はよくご存じの通り転職には情報が重要だ。メジャーな転職サイトは情報量も多いし求人案件も多い。以前、取り上げたように得手不得手がそれぞれある。そしてこれらのメジャーサイトとはべつに、いくつかの小さな転職サイトがある。これらは小粒だがなかなか有用なものもある。

私がメジャー転職サイトとは別に利用していた転職サイトをご紹介しよう。知名度があまりなくCMもないのでヘタに書くとわからなくなるので実名でお知らせする。シニア向け、農業特化型求人サイトだ。

① マイスター60
② ヘイゼムキャリアラボ
③ シニア求人ナビ
④ CR40(Career Release 40)
⑤ From40
⑥ ロンザン
⑦ 八十二スタッフサービス
⑦ JA長野県 長野県の農業のお仕事
⑧ 長野県農業担い手育成基金
⑨ 農家のお仕事ナビ
⑩ 農家・農業求人サイト あぐりナビ
⑪ マイナビ農業就農
⑫ カモメ中国転職

マイスター60は「年齢は背番号 人生に定年なし」を謳い幅広い案件を提供している。職業訓練や高齢者向けセミナーもやっていてしっかりしている。求人案件も多く全国規模で探せる。ヘイゼムはコンサル、ITチーフエンジニアが中心のようだ。シニア求人ナビはマンション管理人、土木作業、交通整理、警備などが豊富だ。CR40は募集案件が少ない。From40はスカウトが来てもタクシー乗務員くらいだ。しかもスカウトからフザけた文章で失礼な案内しかこない。

ロンザンは登録するとすぐにWEB面談があって希望の分野を聞いてくれるがVIP案件中心のようで私は縁がなかった。八十二は長野の地銀系だが年齢フィルターだと思うが一度も紹介はなかった。あとは大手のサブサイトだ。最後のカモメは勢いのある中国企業で働けるウデがある方にはおもしろいサイトだ。

長野県のサイトがあるのは私が想定していた移住、就農先が長野県だったからだ。私の故郷には山がいつも見えていて南アルプスや北アルプス、八ヶ岳など山が見える風景は心落ち着く。小さい頃さんざん雪かきを手伝ったので雪深い北信地域ではなく南信の伊那、駒ヶ根を想定していた。首都圏からは車で約3時間と遠いが、名古屋圏も視野に入ってくるのと将来のリニア駅が飯田あたりにできると品川から46分で着ける。そして何よりもヨソ者に対して抵抗が少ないのはメリットだと思った。

ヨソ者に対する抵抗は未だ根強く残る地域がある。こういうところに移住して人間関係がコジれたりイジメを受けたりすると最悪だ。「人生の楽〇」のような成功例ばかりではない。伊那、駒ヶ根地区は実際に私も農業研修で何度か訪問した。大きな工場やJICAの研修所もあるせいかヒトの出入りが多くかつ伝統に固執する人が少ないように感じた。長野、山梨には伝統を重んじ、ヨソ者を嫌う地域がいくつもある。

これは「新・農業人フェア」などの就農を促す催しに先ずは行ってみることをオススメする。いろんな地域の農業法人や会社、あるいは自治体のブースがあって対応の仕方でなんとなく雰囲気がわかる。長野の東信エリアは軽井沢というブランド立地のおかげで多くの移住者がいる。南信エリアも名古屋圏が近く移住者が増えている。自治体の取り組みも積極的なのだ。

農業に携わるには地域によって大きく環境が異なる。ハードルが高いのだ。一般の企業のような転職が難しい。ヒトの流動性に共通のプラットフォームがないのだ。たとえば都道府県の援助も大きな差がある。同じ県内でも市や町でさらに差があるのだ。このあたりが農業への参入障壁だ。若いヒトが集まらないワケだ。そして農地に対する国や行政の規制が厳しい。農地はなかなか手に入らないのだ。だから新規参入するヒトは大抵、休耕地や耕作放棄地を借りて農業を始めている。

今の日本の農業は危機的な状況だ。地方は高齢化が顕著で若い担い手がいない。研修生で連れてこられる外国人もやがて確保するのが難しくなるだろう。低賃金で長時間労働だ。特に東南アジアは経済成長著しく自国で職に就ける可能性が高くなってきている。農業をやりたいという若いヒトはいるのにハードルが高い。テレビ番組で農業を取り上げるコトも増え、興味をもつ若者が増えている。先の新・農業人フェアも若いカップルがめだつのだ。

メジャー転職サイトで農業主体の職種、求人は多くはない。あってもITやEコマースなどのエンジニア案件だ。どうか転職サイトには農業に着目していただき、若者が、その家族が農業に携われる環境を構築してもらいたいものだ。

一度会社の、社会保障的に守られている感覚を身に着けると外の環境がまるで過酷に思えてくる。温室で守られている感覚だ。これを脱ぎ捨てて過酷な環境で生きてやろうと思う勇気を持つことは並大抵ではない。20歳代なら未だ選べる道は多々あるが、40~50代はもう恐怖でしかない。だから会社にシガミつくことも選択肢であるわけだ。

今や国際的にも認められた日本食だ。日本の食を支える農業。どうか安心して就農できる環境を転職サイトに限らず作り上げてもらいたいと切に願う。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

Live long and Prosper. ||//_