日本には「憲法第9条のもとで許容される自衛の措置としての「武力の行使」の新三要件」があり、それは次の三つです。
1.わが国に対する武力攻撃が発生したこと、またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
2.これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
3.必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
台湾有事の際に中国から直接日本が攻撃を受けた場合は当然個別的自衛権があり、日本の武力行使は可能です。
先島諸島への中国地上軍の上陸・侵攻、日本の艦船などへの攻撃、沖縄米軍基地への空爆・ミサイル攻撃などがそれに当たります。
しかし日本が直接中国から武力行使を受けていない場合はどうでしょう。「武力の行使」の新三要件の「1.わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」がそれにあたり、「密接な関係にある他国」に対する武力攻撃が有った場合は中国に対し武力行使ができるとあります。いわゆる集団的自衛権ですね。
「密接な関係にある他国」とは米国を想定している訳ですが、果たして台湾はそれにあたるのか?その辺はいまでも曖昧のままになっています。では台湾有事の際、米軍の軍事介入無しに日本は中国に対して軍事行動が出来るのか?
これに関してAIに聞いてみると次のような答えが返って来ました。
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結論から申し上げますと、アメリカが軍事介入しない場合、日本が中国に対して武力行使(軍事行動)を行うことは、法的に極めて困難であり、現実的にも可能性はほぼゼロに近いと考えられます。その理由は、日本の安全保障法制(平和安全法制)の仕組みと、自衛隊の能力・運用実態の両面にあります。
1. 法的なハードル:なぜ「単独介入」はできないのか自衛隊が武力を行使できるのは、以下の**「武力行使の三要件」**(新三要件)をすべて満たす場合に限られます。日本の存立が脅かされる明白な危険があること(存立危機事態など)他に適当な手段がないこと必要最小限度の実力行使にとどまることアメリカが介入しない場合、この要件をクリアするのが非常に難しくなります。
① 「密接な関係にある他国」の壁 「存立危機事態」(集団的自衛権の行使)は、**「我が国と密接な関係にある他国」**に対する武力攻撃が発生し、それにより日本の存立が脅かされることが条件です。通常想定: この「他国」は主にアメリカを指します。米軍が攻撃され、日本の存立が危うくなる場合に、自衛隊が米軍を守るために戦うシナリオです。米軍不在の場合: アメリカが参戦しない場合、日本は**「台湾」を「密接な関係にある他国」と認定しなければなりません。しかし、日本は台湾と正式な国交がなく、中国の一部とみなす立場(日中共同声明)との整合性が問われるため、台湾への攻撃のみ**をもって集団的自衛権を発動するのは法解釈上、極めてハードルが高いとされています。
② 「日本の存立危機」の認定 仮に台湾を対象国としたとしても、**「アメリカが介入しない(=アメリカにとって死活的利益ではない)戦争」において、日本が「台湾の防衛失敗=日本の国家存亡の危機」**であると認定し、単独で中国と戦端を開くことは、国際政治的にも説明がつかない可能性が高いです。
2. 現実的なハードル:自衛隊の能力 法的な問題を抜きにしても、軍事的な現実として日本単独での介入は不可能です。打撃力の欠如: 自衛隊は「専守防衛」の下で整備されており、敵基地を大規模に叩く攻撃的兵器(爆撃機、長距離巡航ミサイルなど)の保有は限定的またはこれからの整備段階です。米軍の「矛(攻撃)」なしに、自衛隊の「盾(防御)」だけで中国軍と全面衝突することは軍事合理性を欠きます。情報・兵站の依存: 現代戦において不可欠な衛星情報やターゲティング情報は米軍に大きく依存しています。
3. 日本が武力行使を行う「唯一の例外」アメリカが介入しない状況で、日本が中国に対して軍事行動を行う唯一のケースは、**日本自体が攻撃された場合(個別的自衛権)**です。
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11月7日の衆院予算委員会で、「安全保障関連法の下でどういう場合に「存立危機事態」になり得るのか」という岡田克也氏の質問に対し、高市首相は、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると考える」、さらに「実際に発生した事態の個別具体的な状況に応じて、政府が全ての情報を総合して判断する」「実に武力攻撃が発生したら、これは存立危機事態に当たる可能性が高い」と答えました。
しかしその前にこうも言っています。
「いかなる事態が存立危機事態に該当するかっていうのは、実際に発生した事態の、個別具体的な状況に即して、全ての情報を総合して判断しなければならないと考えております。」
原則は無いのですね。その当時の政府及び官僚組織が考え判断して決めるというものです。政府・官僚組織の責任は重大になります。こんな重責に耐えられる人材が日本の政界・官僚にいるのでしょうか。
日本の支配層にある最も大きな問題は、そんな決断ができる器量の人材が政界・官界にいないのにも関わらず、原則を作らず、その時期の支配層の人間に判断を委ねるという国民的体質です。
高市答弁は、米軍の軍事介入無くとも、日本が独自に中国に対して軍事行動を取る場合があると中国に解釈される恐れが大いにあるでしょう。
しかしAIの答えにあるように、台湾が 「密接な関係にある他国」であるとの整合性(日本は台湾と正式な国交がなく、台湾を中国の一部とみなす立場)や自衛隊の能力から、アメリカの介入なしに日本単独での中国への武力行使は考えられないのではないでしょうか。日本の国益を考えれば相当な無理があり、高市首相はこれを行えば日本を破滅に導いてしまします。どう考えてもアメリカの軍事介入がなければ、日本単独の軍事行動などできる訳がありません。
しかし「自衛隊の能力」に関しては、自衛隊に打撃力が無くとも、ロシアのウクライナ侵攻で証明されたように、防御戦力だけでなんとか凌げる場合もあるので何とも言えません。
ではなぜこのような答弁をしたのでしょうか。その理由は二つ考えられます。
一つは、台湾への武力侵攻に対する中国への牽制です。中国は台湾問題に対して外国の関与を最も恐れます。最も恐れている外国はアメリカですが、次いで日本、フィリピン、韓国、オーストラリアでしょう。台湾への武力侵攻について大きな利害関係を有しています。日本が台湾有事に関して単独で関与する姿勢を見せたことで、日本がアメリカのしっぽについて行くだけではなく、独自の行動を取る可能性が出てきて危機感を持ったのです。トランプ大統領が習近平に言った「台湾に武力侵攻したら北京にミサイルをぶち込む」発言と似たようなものです。
もう一つは日本の国内向けのポーズです。日本国内の高市支持者向けのリップサービスでしょう。こんなメッセージで喜ぶ国民が居ること自体非常に不思議なのですが。
中国が台湾を併合するには、武力行使が最も割の悪いやり方で、軍事的・経済的・人的損失が大きく、またロシアのように世界から孤立する恐れがあります。それは最終的な手段であり、その前に取るべき手段はいくつかあります。
最も好ましい方法は香港方式でしょう。
簡単に言うと、台湾の国民党に人材と金を送り込み、総統選で勝利するとともに、議会を握り、民進党が選挙に出られないような法案を可決させ、台湾の政権を握り自由に操れば併合はできます。
次いでシリア方式で、台湾国内に内乱を起こさせ、その平定を理由にし、軍事侵攻する方法です。内乱平定が理由ですから周りから非難される危険性は低くなります。ロシアはアラブの春の一環にあるシリア内戦に乗じ、反政府軍に対して空爆、軍事指導を行い、地中海に空海の拠点を作りました。
この二つの方法で何とかなるのです。
それでもダメな場合はアメリカ・日本に対しては一切軍事行動をせず、ひたすら台湾に対してだけ軍事行動を行うというやり方です。沖縄の米軍、グアムの米軍、日本の先島諸島には手を出さず、台湾に対してだけ軍事行動を行うのです。台湾のウクライナ版です。地上軍を海上から台湾に輸送しなければなりません。制海権と制空権が必須になります。台湾もかなりの軍事力を持っていますから、抵抗し、ウクライナのように長期戦になる可能性が大いにあります。アメリカ・日本は経済・軍事支援と世界的な広報作戦を行うでしょう。経済制裁は相手が中国ですからなかなか難しいかもしれません。
アメリカ・日本を敵に回した台湾軍事侵攻は、中国からしてみればほとんどあり得ない最後の手段と言う事になります。
なので高市答弁は実際にはあり得ないケースについての、自身が対中国強硬派であることの国内外への広報の意味しかないものです。この辺に高市総理の考え方の薄っぺらさが見えてきます。


