Monday, 02.27.2012 / 7:02 PM / 2012 Trade Deadline

月曜日(27日)の午後3時(東部標準時)までに何が起こるか、誰が動くだろうかについての会話が何週間も交わされた。実際にそれが判るまでには少し長く待たなくてはならなかった。

そのトレードについて両チームがNHLの承認を得る必要があったため、2012年のNHLトレード・デッドラインの日の最大の興奮は厳密なデッドラインを過ぎた後に起こった。バンクーバー・カナックスとバッファロー・セイバーズの間の衝撃的で超大型爆弾を含む突然のトレードは3時を過ぎて明るみに出、NHLのデッドラインにしては比較的静かに見えていた1日を突然面白みの1日へ変えた。

「デッドラインの1時間半前までは何もなかったんです。」とセイバーズのGM、Darcy Regierが語った。「事態が急に動き始めたのはその後です。」

ブルー・ジャケッツのGM、Scott Howson によれば、Rick Nashが自分のトレードを要求したとのことだが、実際にはコロンバスから出なかった。レンジャーズもメープル・リーフスも、プレーオフで自分達を勢いづけるためのこれといった手は打たなかった。また、同様に、ゴールテンダーは誰も動かなかった。活発に動くだろうと噂されたいくつかのチームは静かなままだった。

しかし、月曜日になされた16のトレードの中にはNHLに漣を起こしたいくつかの取引があった。

最も顕著なものは、Calderトロフィー候補、Cody Hodgsonをバッファローへ移し、頑丈な21歳のライト・ウィングで同じく第1ラウンド指名のZack Kassianを西のバンクーバーへ送ったセイバーズとカナックスの間のトレードだった。さらにカナックスはディフェンスマン、Mark-Andre Gragnaniと交換に、経験豊富なディフェンスマンのAlexander Sulzerをバッファローへ出した。

HodgsonもKassianも自分がトレードされるとは思わなかった、とTSNに語った。Hodgsonは元チームメイトのChristopher Tanevに見出され、今シーズン63試合で33ポイントを挙げている。しかし、バッファローでは今より良いチャンスを得ることができるに違いない。何故なら、もうHenrik SedinやRyan Keslerの後ろでプレーする必要がなくなるからだ。

「NHLではセンターがゴールテンディングに次いで難しいポジションだと考えています。ほとんどのチームはトップ・センター、つまり、第1、第2ラインのセンター、を欲しがっています。」とRegierは言う。「Hodgsonは正に攻守に渡る堅実なプレーをし、攻撃に寄与します。今現在、あの若さで、バンクーバーで33ポイントを挙げており、(Tyler) Ennisと(Tyler) Myersとうまくやって行けるでしょう。良い前兆だと思います。今だけでなく、将来に渡っても。」

Kassianはアナハイムへ向かうチームに合流するために空港へ向かっていた時に、Regierからの電話を受けたと言う。

「カップを狙えるチームに行くのでとても興奮しています」とKassianがTSNに語った。

また、セイバーズとカナックスは他のトレードでも、別の意味で、目立っていた。

バンクーバーは、2012年の二つの第4ラウンド指名権と交換にコロンバスのベテランでチェックの強いセンター、Samuel Pahlssonを獲得した。バッファローは、保留制限付きフリー・エージェントのPaul Gaustadと2013年の第4ラウンド指名権と交換に、ナッシュビルから今年のドラフト第1ラウンド指名権を得た。

PahlssonはSedin兄弟と仲が良く、カナックスがバッファローへHodgsonをトレードしたために必要となったセンターの深さをチームに加えるだろう。さらに、チームの要としてHenrik Sedin、Ryan Kesler、Manny Malhotraに加わり、チームにより多くの経験を与えることができる。

Pahlssonはアナハイムで2007年にスタンレー・カップを勝ち取り、2006年のチーム・スウェーデンではオリンピックの金メダルを獲得した。

伝えられるところによれば、セイバーズはGaustadと交換に第1ラウンド指名権を一日中求めたという。そして、結局プレデターズが屈服した形になった。Gaustadがこの日の最初のトレードで獲得したAndrei Kostitsynと組んでプレデターズに攻撃力を加えてスタンレー・カップを争い、また、スター・ディフェンスのRyan SuterとShea Weberに長期契約を結んでプレデターズに留まったことが良かったことを立証できることを望むばかりだ。

ナッシュビルはGaustadを獲得するために第1ラウンド指名権を、そして、Kostitsynを得るために2013年の第2ラウンド指名権を手放さなくてはならなかった。しかし、GMのDavid Poileは、それは今勝つための代償であると語った。

「このトレードがこのチームに今年、大物選手とプレーするチャンスを与えたことは確かです。」とPoileが言った。「明らかに、今日の動きでRyanと全ての選手に、オーナーが本気であることを示す結果となれば良いと思います。」

カナックス、セイバーズ、プレデターズのこれらのトレードがあったにも関わらず、Nashのニュース(或いは、何もなかったこと)が、東部標準時午後3時以降もその日の最大のトピックだった。

「Rick Nashが自分をトレードして欲しいと言ってきました。」とHowsonがネイションワイド・アリーナから言った。

その声明では、この夏にNashの獲得競争を再び受け入れる可能性があり、またそうなるだろうと言った。しかし、Howsonは月曜日を通じてNash獲得のために受けた申し出のどれも気に入らなかったとも語った。

具体的なチーム名には言及しなかったが、多くのチームがNashについて問い合わせて来、申し出があったという。Nashは780万ドル(約6.3億円)のキャップ上限で2018年までの契約がある。

「Nashを手放す代償金は高いです。それについては謝りません。」とHowsonが言った。「高くて当たり前なのです。」

この日の中でもっと軽視された選手対選手のトレードのうちの一つは、ノースウェスト・ディビジョンのライバル、エドモントンとミネソタの間で行われたものだ。オイラーズは故郷ミネソタのワイルドでプレーさせるために攻撃的なディフェンス、Tom Gilbertを放出し、交換にワイルドの出場試合記録743を持っている典型的な守りのディフェンス、Nick Shultzを得た。

GilbertとSchultzは二人とも29歳でこれまで1チームでしかプレーしたことがない。それぞれ契約を2年残しており、Gilbertのシーズン当たりの報酬は400万ドル(約3.2億円)、Schultzは350万ドル(約2.6億円)だ。

ワイルドはこの日遅くなってからもブルーラインのオーバーホールを続けた。ボストンからSteven Kampferを得、交換にシュート・ブロックの専門家Greg Zanon(今シーズン39試合で104のブロック)をボストンに出した。Kampferは若くてパックを回すことのできるディフェンスだが、ブルーインズのトップ6に入ることができないでいた。またワイルドは金曜日にニュージャージーへMarek Zidlickyをトレードした。

「このチームで改善が必要なのはディフェンス・ゾーンからオフェンス・ゾーンへパックを運ぶ力です。」とワイルドのGM、Chuck Fletcherが言った。「今日でそれが良くなると思います。」

ボストンが、シーズン後に無制限のフリー・エージェントになるZanonを獲得したのはJohnny Boychukが土曜の対オタワ戦で受けた負傷への対処のようだ。BoychukはChris Neilに強く当たられ、脳震盪症候群で月曜日の練習に加わらなかった。彼は日々観察が必要だ。

ブルーインズは、さらにアイランダースの1組のマイナー・リーグ選手、Brian RolstonとMike Mottauを獲得した。Rolstonは2000年から2004年までのボストンで4シーズン余をプレーした。また、Mottauはマサチューセッツ州Quincey生まれ、ボストン・カレッジでHobey Baker賞(* NCAAの最優秀選手賞)を受賞したことがある。二人はそれぞれの契約の最終年にある。

ボストン・グローブ紙によれば「Zanonは猛烈なシュート・ブロッカーです」とブルーインズのGM、Peter Chiarelliが語った。「本当に勇気ある選手で、戦士のようなディフェンスマンです。」

ディフェンスマンについて言えば、ブラックホークスはウイニペグからチームに相応しいJohnny Oduyaを獲得した。ジェッツがコロンバスの放棄者リストからGrant Clitsomeを拾い上げた結果、Oduyaが入手可能になったのだった。Clistomeと共にジェッツはシカゴの2013年の第2と第3ラウンド指名権を得た。

契約の最終年にあるOduyaは今シーズン2ゴール13アシストを挙げている。ホークスは、特に負傷者リストにSteve Montadorがいるため、ブルーラインの経験者が不足していた。ホークスはOduyaに場所を空けるためにレンジャーズへJohn Scottをトレードした。

「彼のプレー・スタイルは、スケーティング力の点で、このチームがやろうとしていることに合います。」とブラックホークスのGM、Stan Bowmanがシカゴでリポーターに伝えた。

シャークスのGM、Doug Wilsonは、Jamie McGinnと二人の有望選手と交換にコロラドからTJ GaliardiとDaniel Winnikを得、28位にランクされているペナルティー・キリングを補強する措置をとった。GaliardiとWinnikは合わせて今シーズン13ゴール32ポイントを挙げている。(McGinnが12と24)。しかし、より重要なことは、彼等二人は16位にランクされるAvsのペナルティー・キリングでの主要な要素だったことだ。

伝えられるところによれば、デッドラインの日に、レンジャーズ、メープル・リーフス、フライヤーズ、キャピタルズ、も何か動きがありそうだったが、結局ほとんど何にせずに終わった。

トロントはタンパ・ベイからCarter Ashton、アナハイムからMark Fraser を獲得しただけで、James ReimerとJonas Gustavssonがイースタン・カンファレンス10位で苦しんでいるチームのゴールテンディング・ペアとして残ることになった。レンジャーズは最後までNashの獲得に動いていたが、結局Scottに打ち負かされたと伝えられている。

ワシントンとフィラデルフィアは一日中トレードをしなかった11のチームの一つだった。

「誰もが戦力を追加したいと思っていたはずです。しかし、それに相応しいものを売っているチームがなかった。」とキャピタルズのGM、George McPheeはアーリントン(バージニア州)でリポーターに語った。「私にはこのチームをより良くするものは全く見当たりませんでした。」

- end -
Ken Campbell
2012-02-24 00:15:00

これ以上取引することができないほど長期で大金が絡んだ意味のない契約はもうたくさんだ。というのも、Jeff Carterの契約はこの8ヶ月間で2回もトレードされたのだ。それは、よっぽどおめでたいのでなければ、GMたちがやけっぱちになっているとしか思えない。

誰もが知っていること。それは、コロンバス・ブルー・ジャケッツでの短い滞在期間中にCarterは不満ばかり言っているという悪い評判を拭い去ることを何もしなかったということだ。フィラデルフィア・フライヤーズのメンバーが嘗てCarterのことを、それまでに会った中で「最も苦々しい百万長者」と言い、Carterはオハイオへトレードされたことへの失望感を隠そうとはしなかった。そして、その不満を氷の上で示したのだった。

また、私たちはこんなことも知っている。もし、Carterが望む通りに優れた選手に囲まれたポジションを与えられるのであれば、今シーズンの前までと同じく時計のように刻々と30~40ゴールを挙げる選手に戻ることができるだろう。もし、ロサンゼルス・キングズでそのような環境に置かれなければ、恐らく彼の将来はないだろう。

Jack Johnsonとドラフト第1巡指名権との交換でCarterをキングスへ送った条件付きのトレードは双方にとって有益なものに違いない。しかし、恐らくブルー・ジャケッツの方が得をしただろう。そして、来シーズンはどこにいるか分らないが、GMのScott Howsonができた最低限のことは、仮にCarterがロサンジェルスの攻撃面で活躍することになったとしても、Carterをトレードしたことだ。ブルー・ジャケッツではそのようなことは起こらなかった。そのことを認識し、率先してこの取引を行ったのは良かったことだ。

過去の過ちを償うために、Howsonはこの2、3日でいくつかの良いことをした。その第一は、昨シーズン前にAntoine Vermetteと 5年で1,875万ドル(約15億円)の契約を結んだが、今後4シーズンの間、毎年375万ドル(約3億円)のキャップ上限を払わなくてはならないこの契約を何とかフェニックス・コヨーテズに移すことができたことだ。コヨーテズがNHLによって運営されていて、年間4,000万ドル(約32億円)のもの損失を生んでいるのは周知の事実だ。そして、Carterの契約を引き受けた後、それをどうにか手放して、ブルーラインからの攻撃の要となる可能性がある選手とドラフトの第1ラウンド指名権を得たのだ。

また、Rick Nashが月曜日(27日)までにトレードされるか、或いは、それがシーズン・オフになるにしても、Nashのオハイオ中部での日々が終わることはかなりはっきりしている。ブルー・ジャケッツがNashをトレード市場に出した時点で、矢は放たれたのだ。もう後戻りはできない。しかし、ブルー・ジャケッツにとって、失うものはあるだろうか。彼等が考えていることは、Nash、CarterそしてVermetteに合わせて約1,500万ドル(約12億円)もの報酬を払わずに済み、NHLで30位に終わることができるということだろう。

そうだ、丸裸になるのなら、とことんやった方がいい。コロンバスに「再建」と言う言葉が当てはまるかどうかは分からない。何故なら、1シーズンを例外として、彼等にエキサイティングなことが起こったことがないからだ。しかし、もしNashが彼のロッカーを片付ければ、過去を清算することができるだろう。思うに、Nail Yakupov(今年のドラフト第1ラウンドでこのロシア人を指名できる運がブルー・ジャケッツに巡ってくるかどうかは解らないが)と、強力なディフェンス陣になりそうな選手を中心に再建を始めることができそうだ。Johnson、James Wisniewski、Fedor Tyutin、Marc Methotのトップ四人が嘗てのSavard、Robinson、LapointおよびBouchardに匹敵するとは言わない。しかし、かなりいいスタートになるはずだ。
(*Savard...:モントリオールが1970年代後半に4連覇を成し遂げた時のディフェンス陣)

それでも、JohnsonはChris Cheliosの簡易版と言うことはできよう。彼はパックに触れる度に点を取りにゆこうとするタイプの選手だ。それは時として災難を招き兼ねない特質ではある。しかし、彼はまだ25歳だ。成熟するに連れて、自分の位置を確立してゆくだろう。

キングスに関しては、再融合するCarterとMike Richardsのコンビが短期的にはキングスの得点の落ち込みを回復させ、長期的にはキングスが優勝を狙えるチームになる助けになることが望めるだろう。しかしTerry MurrayからDarryl Sutterにコーチが代わったばかりの状況で、現在のチームに彼等をいつ、どう組み入れるかが問題だろう。端的に言って、もし、彼等が強力なオフェンスだった頃のスタイルでプレーさせないのであれば、Carterのトレードはキングスにとって良かったとは言えないだろう。

また、ハイ・リスクで高い報酬のJohnsonを失ったことはこのチームにとって大きな損害ではないだろう。キングスは既にDrew Doughtyという攻撃力を持っている。また、キングスが層の厚さを持っているのはディフェンスである。いずれSlava VoynovかAlec Martinezのうちのどちらかがレギュラーになるだろう。キングスがブルーラインの強みを失うことはないだろう。

興味深いことは、どうやらキングスはまだトレードを終えていないということだ。彼等は別のフォワードを獲得するためにバックアップ・ゴーリーのJonathan Bernierの放出をちらつかせているという噂がある。そして、もし、新たなフォワードの獲得がキングスの給与体系を崩すドミノの駒となるのなら、Dustin Brownの果たす役割が大きくなりそうだ。

興味が沸かないだろうか。攻撃力こそ小さいが、前向きな指導力を持っており、チェックの数では一貫してリーグのトップ3にいる勇気のあるセンターを利用しない手はないだろう。もしトレード要員になれば、Brownはトレード・デッドラインの宝石のうちの一人にならないだろうか。このような素質と今後2シーズンの間、317万5,000ドル(約2.6億円)のキャップ上限のBrownがそうなることに賭けよう。

そうなると、トロント・メープル・リーフスのGM、Brian Burkeが早々に、且つ、頻繁に電話をかけることが期待される。他にも多くのGMがこの獲得競争に名乗りをあげるだろう。

- end -
Ken Campbell
2012-02-17 16:00:00

さて、今起こっていることを整理してみよう。NHLは赤字を垂れ流し、新しいオーナーを見つけることができずにいるチームを所有し、運営している。全米プロ・バスケットボール協会もまた赤字を垂れ流し、新しいオーナーを見つけることができないチームを所有し、運営している。NHLのコミッショナー、Gary BettmanとNBAの独裁者、David Sternは仲の良い友達だ。

その時、空からChris Hansenが飛んできた。Hansenはヘッジファンドを運用する44歳の途方もない大金持ちで、シアトルに2億9,000万ドル(約200億円)をかけて新しいアリーナを建設し、その建物をプロのバスケットボールとホッケー・チームに使わせることを約束した。それに加えて、シアトル市は2億ドル(約160億円)を提供することに合意しており、しかも、都合の良いことに、この資金は全て新アリーナが生み出す税金で賄われるため、納税者に負担を強いることはないと言う。これは「自己積立」と言うものだ。

また、新アリーナはNHLとNBAの両チームがなければ存続の見込みがないことは明らかだ。HansenはNHLのフランチャイズのオーナーになるつもりはない。しかし、アメリカン・リーグのシカゴ・ウルヴズを所有するDon LevinがシアトルでのNHLチームの所有権に興味を持っていると噂されている。Levinはアリーナの建設や運営には興味がなさそうなので、全てがうまくいくはずだ。一方でLevinは最近、THN.comにこう語った。「私は建物には投資をするでしょうが、フランチャイズを買ったり、建物を建てたりすることはとてもできません。そんな資金はありませんから。」

さて、これで障害は取り除かれたように見える。NHLがフェニックス・コヨーテズの先行きを憂え、NBAも同様にニュー・オーリンズ・ホーネッツという悩みを抱えている中で、この案は二つのプロ・リーグにとって好都合の組み合わせであり、大きな頭痛の種が解消されそうだ。発言力の強いサン・ノゼ・シャークスのオーナー、Kevin Comptonが、コヨーテズが一年の大半を過ごす場所としてシアトルを強く推しているという事実もあり、誰もが準備は完全に整ったと思うことだろう。

確かに、自分を迎え入れる新しい建物ができる可能性にLevinが興味をそそられても不思議はない。

「もし、自分が関わることになるとしても、少なくとも建物ができることが確実になるまでは、厚かましくNHLのオフィスへ入って行って、誰かと話そうとは思いません。」とLevinは言う。「そうでなければ、『もし私の兄弟が女だったとしても、彼女とデートしていただけますか。』と言っているようなものです。何か確実なものがなければ話はできません。」

それならどうってことはない。都市部の人口330万のシアトルはアメリカで15番目の大都市だ。そして、13番目に大きなラジオとテレビ市場を抱えている。従って、引越しのトラックが(*コヨーテズのホーム・リンクの)Jobing.comアリーナに列を作り、カー・ナビゲーション・システムを1,500マイル北西へセットするのは時間の問題ではないだろうか。これで事実関係が整理されただろう。

しかし、事はそれほど早くは進まない。NHLのほとんど全てのフランチャイズの状況と同じように、この件も具体的になるに連れて、複雑になり混乱を招いているのだ。第一に、もし、NHLがシアトルにコヨーテズを移転させるなら、新しいアリーナが建設されている間、シアトル・コヨーテズがプレーする場所を捜してやらなくてはならない。今現在、唯一の候補はキー・アリーナだけだ。そこはホッケー・リンクを作ると約11,000席しかない。フェニックスだったら、ホッケーの競技場としては理想的か、少し大きめの規模と言えるだろう。しかし、健全なビジネス・モデルを後押しするサイズでは決してない。つまり最初の数年間は誰かが赤インクの中で泳がなくてはならないことを意味している。

また、今現在、NHLでうまくいっていない他のフランチャイズに比べて、シアトルの方がホッケー市場としていくらかでもより良いと言えるのだろうか。実際のところ、それは分らない。そして、異なる人々が所有する二つの異なるスポーツ・チームが、同じファン層と企業からの支援を求めて、同時に一つの都市に入ってくるという事実は決して無視できることではない。

一方で、この計画に明らかに水を差す事態が約1か月前に静かに起こっていた。グレンデール市議会が翌期の予算を審議していた時、市長のElaine Scruggsは目玉となるテナントなしでアリーナを運営するのにいくらかかるかという質問をした。返ってきた数字は2,500万ドル(約20億円)だった。すると、彼女はその金額を予算に折り込むべきだと応えた。想像してみて欲しい。グレンデール市がコヨーテズを維持するために過去2シーズンにどれだけ費やしたかを。

11億ドル(約880億円)の負債を抱える都市がJobing.comアリーナに明かりを灯し続けるだけのために2,500万ドルを費やす必要があると言う。本気だろうか。もし、そうであれば、コヨーテズの運営費用としてNHL、或いは喜んでフランチャイズを買いたいと言う誰かに年間2,500万ドルを無条件に与えたらどうだろうか。いずれにしても2,500万ドルを費やさなくてはならないのなら、その建物の中にNHLチームを持っている方が何もないよりマシではないだろうか。そして、もし、いくらかかってでもそうしたいのであれば、何故、納税者の金をホッケー・チームの運営に使うことに誰もが憤慨していた2年前に、市は前面に出てきてそのことを言わなかったのだろうか。

グレンデール市議会が長期間コヨーテズに資金提供するという展望を持ってその善良な市民をピリピリさせようとしているとしたら、恐ろしく酷いことだ。市はゴールドウォーター研究所を納得させる革新的な対処法を見つけたのだろうか。同研究所は、原則として民間企業を維持するために公的資金を投入すべきではないとの見解を示している。ただ小切手を切るだけのグレンデール市にそんなことができるはずがない。

このところのコヨーテズが1シーズンに約4,000万ドル(約32億円)の赤字であるにも関わらず、NHLはそのうちの1,500万ドル(約12億円)を気前よく負ってくれる誰かが見つかることをまだ望んでいる。そして、もしグレンデール市が何とかしてコヨーテズを留めようとするならば、新しいオーナーを見つけるのにあとどのくらいかかるか見当がつかない。

従って、ケベック・シティやカンザスシティー、そしてトロントと同じように、シアトルも暫く待たなくてはならないだろう。何故なら、信じられないかもしれないが、NHLは四角い杭を無理矢理丸い穴にねじ込もうとしているのだから。

- end -