ロサンゼルス・キングスのジャスティン・ウィリアムズ (Justin Williams) の話を聞けば聞くほど、彼の言うことが好きになる。インタビューに対する選手の答えは往々にしてそっけなくて決まり文句がやたらと多いものだが、ウィリアムズの率直さは清々しく感じられる。概して言えば、キングスには、見識があって、痛快な率直さを持った選手の居場所がある。ウィリアムズはその中でも際立った存在である。
顕著な例は、ここまでのスタンレー・カップ決勝シリーズで運が如何に勝敗を左右してきたかということについてのコメントだ。「パックの運のせいにするのは言い訳です」。ウィリアムズは彼のチームが2対1で第4戦に負けた翌日に言った。

いつも言い訳をしようとしている人々にとって、運は絶好の口実だ。しかし、NHLの選手たちはこの瞬間のために生涯ずっとトレーニングを続けている。彼らは世界最高水準の運動選手に属する。運と結果とはほとんど関係がない。第4戦の前にはレインジャースの所謂「ひどい不運」について多くのことが語られていた。しかし、第1ラウンドで、今年のプレーオフで恐らく最悪のチームである、フィラデルフィア・フライヤーズと当ったのは不運だったのだろうか。第2ラウンドで、ピッツバーグ・ペンギンズが力尽きてしまったのは運に見放されていると言えるだろうか。キャリー・プライス (Carey Price) がイースタン・カンファレンス決勝の第1戦で負傷したのはレインジャースが不運の犠牲者だったからだろうか。

信じたいのなら運を信じればいい。しかし、ジャスティン・ウィリアムズは信じていないし、信じるべきではない。だからこそ、キングスはここまでのプレーオフの展開について少しも心配する必要はないのである。彼らは何一つ変える必要はない。そして、レインジャースがプレーの質を高めることができない限り、また、ヘンリク・ルンドクィスト (Henrik Lundqvist) が今後の試合でも第4戦で見せたのと全く同じようにプレーしない限り、キングスがある時点で「それ」を獲得するであろう。

スタンレー・カップの決勝シリーズは運がその勝敗を決めているのではない。どちらのチームがより優れているかによって決まるものだ。そして、このシリーズが始まってから、キングスとレインジャースの隔たりが大きくなってきている。キングスは運が良かったから第1戦と第2戦を勝った訳ではない。一旦、苦境に立つと、無理矢理ゲームを自分たちのペースに持って行き、完全にコントロールできたから勝ったのだ。レインジャースはラッキーだったから第4戦を勝った訳ではない。彼らのゴーリーが世界最高水準のパフォーマンスを見せたから勝つことができたのだ。

第4戦を落としたとはいえ、キングスはこのシリーズで迎えたいくつかのチャンスについてかなり良い感触を持っているはずだ。彼らはフェイスオフ・サークル、シュートの間合い、そして、ゲームの流れを支配した。もしかしたら、もう少し体を使いたかったかもしれないが、それは「言うは易し」というものだ。信じられないかもしれないが、実際のところ、このシリーズでのヒット数ではレインジャースが141対140とキングスを上回っている。しかし、常にスティックの先にパックがあればボディー・チェックを仕掛けるのが難しいことをキングスは知っている。大半のフェイスオフを取り、途方もなく長い時間パックをコントロールしていれば、何故相手をヒットする必要があるだろう。

キングスが実際にしなければならないことは、ネットの前でもう少ししつこくなることである。第2戦でのドワイト・キング (Dwight King) の得点はゴーリーに対するインターフェアランスでノー・ゴールのはずだという論争がある。そのゴールを入れられたときにレインジャースとルンドクィストが動揺したのは当然のことだ。キングスが攻撃ゾーンでもう少し突破力を持っていたら、恐らくゴールライン上に止まった二つのパックのうちの一つはゴールに押し込まれて、キングスはあの試合を延長戦に持ち込むことができていただろう。

「前へ進みます。今日はもう大丈夫です。」と、キングスのコーチ、ダリル・サタ― (Darryl Sutter) は木曜日に報道陣に語った。「明日に備えます。」
単純に聞こえるかもしれないが、的を射ている。キングスが第3戦、4戦と同じように第5戦への準備ができているなら、あとは時間の問題だろう。

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ブラッド・リチャーズ (Brad Richards) は2013年にニューヨークを去ると思われた。それは、当時のレインジャースのコーチ、ジョン・トルトレラ (John Tortorella) がこのベテランのセンターを第4ラインに下げただけでなく、プレーオフ(の2試合)に出さなかったからだ。
その1年後、コーチのアラン・ヴィニョー (Alain Vigneault) も同じ道を進んだ。スタンレー・カップ決勝の第4試合でこの34歳のレフト・ウィングをレインジャースの第4ラインに据えたのだった。この試合でリチャーズは、敵味方同じ人数の時に僅か9分22秒、パワープレーを含めても13分20秒しかプレーしなかった。

ヴィニョーはリチャーズ、ブライアン・ボイル (Brian Boyle) 、デレク・ドーセット (Derek Dorsett) のラインを含む、それぞれのラインと個別に面談をした。何故そのようなセットを組んだのか自分の考えを説明したいと考えたのだ。
「ブラッドのラインにも説明しました。自分の考えをブラッドに話しました。」ヴィニョーは、レインジャースが水曜日に2対1で勝ち、敗退を逃れた後にそう語った。「1年のこの時期に考えなくてはならないことはただ一つ:それはチームのことです。今年のリチャーズがどうだったかを皆さんは知っているでしょう。峠を越えたプロ選手です。私のすることに文句はないはずです。」
リチャーズの契約はあと6年と2,700万ドルが残っているが、プレーオフ終了後にチームがそれを買い上げて、リチャーズがフリー・エージェントになる可能性が高い。リチャーズは決勝シリーズでは1ポイントも取っていないし、手ごわかったフィラデルフィア・フライヤーズとの第1ラウンド以降、23試合でわずか4ゴール4アシストしか挙げていない。

ヴィニョーは、セットの変更はドミニク・ムーア (Dominic Moore) にもっと大きな役割を与えようとしたものだと言う。そして、リチャーズをチェック専門で目立たない第4ラインに回した。
リチャーズは13シフトしかプレーしなかった。この34歳はパワープレーで何度か絶好の得点チャンスを作り出し、また、激しく競り合って最終的にキングスにペナルティを取らせた5人対5人のシフトの時にもリンクにいた。

長年の友人マーティン・サン・リュイ (Martin St. Louis) は降格されることがスター選手の自尊心にどのような意味を持つかを解っている。リチャーズは、かつてカナダのオリンピック代表選手であり、NHLで90ポイントを挙げたこともある。
「リッチーはプロであり、素晴らしいリーダーです。」とサン・リュイは言う。「彼には辛いことだと思います。彼はプロフェッショナルで偉大なチームメイトです。」

リチャーズはもはやサン・リュイのチームメイトではなくなるだろう。レインジャースは契約の買い上げ制度を利用してリチャーズとの契約を打ち切ることができる。このプレーオフはリチャーズが来シーズンどこか他のチームでプレーするだろうという憶測を打ち消すことにはならなかった。

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ニューヨーク、NY:スタンレー・カップ決勝の第4戦が始まる前にマディソン・スクエア・ガーデンのビデオ・スクリーンにマーク•メシエ (Mark Messier) の名場面が映し出された。そして、ニューヨーク・レインジャースに必要な4連勝を表す4本の指を掲げているメシエを映し出した。
続いて、有名人のマイケル・J・フォックスやジョン・マッケンローがスクリーンに映し出された。そして、水曜の終りには、この数字は3になっていた。ヘンリク・ルンドクィスト (Henrik Lundqvist) は4連敗を食い止めるために自らの力でレインジャースに2対1の勝利をもたらし、シリーズを第5戦が行われるロサンゼルスに戻した。

ルンドクィストは合計40本のシュートを防いだ。レインジャースは試合の半分以上で1点差にしがみついていたが、第3ピリオドにはたったの1本しかシュートを打てなかった。それでも、ルンドクィストは相手のシュートを一本一本防いでいった。負ければ敗退が決まるホーム・ゲームで、最初から最後までこの 「キング」 は見事で華々しいプレーをし続けた。
この第4戦まで、敗退に直面した試合でのルンドクィストは平均失点0.98と0.967のセーブ率で7連勝を続けていた。今晩、41本のシュートのうち40本を止めたことでこの連勝記録が続くことになった。
ブノワ・プリオット (Benoit Pouliot) とマーティン・サン・リュイ (Martin St Louis) がレインジャースの得点を挙げ、キャプテンのダスティン・ブラウン (Dustin Brown) がルンドクィストを破ることができた唯一のキングスの選手だった。

もう一方の端にはロサンゼルスがこのシリーズで3勝0敗とリードできた最大の貢献者であるジョナサン・クイック (Jonathan Quick) がいた。クイックにとってのMSGでのNHL第2試合目は17セーブで終わった。

気乗りのしない様子でタオルを振っていた観客だが、パックが落とされる瞬間が近付くに連れてガーデンの中はエネルギーに満たされていった。第3戦でレインジャースが3対0で負けて、転売市場でのチケットの価格は急落していたので、この日はピリピリした雰囲気があった。
もし、リック•ナッシュ (Rick Nash) がキングスのドリュー・ダウティ (Drew Doughty) にパックを奪われ、その5秒後にパックを奪い返してカール・ハゲリン (Carl Hagelin) にパスをつないでいなかったら、ファンはそれほど早くスタジアムに足を運ばなかっただろう。しかし、シリーズの最初の3試合でレインジャースが多くのチャンスを逃したように、そのシュートもわずか数インチ、ゴールを外していた。
キングスのベテラン・ディフェンス、ウィリー•ミッチェル (Willie Mitchell) がハイ・スティックのペナルティを取られ、そのパワープレー中にレインジャースには絶好のチャンスが何度かあった。しかし、そこにはクイックが立ちはだかり、一本はブロッカーで、そして、ブラッド・リチャーズ (Brad Richards) とサン・リュイのシュートは右パッドで防いだ。
ペナルティが解けてミッチェルがペナルティ・ボックスから出てきたその瞬間、レインジャースは、欲しくてしようがなかった幸運のバウンドを得た。ブルーラインからのジョン・ムーア (John Moore) のシュートはLAのディフェンス、ジェイク・ムザン (Jake Muzzin) に当って角度が変わり、さらに、プリオットが上げていたスティックに当り、7分25秒にチップ・インした。
このプリオットのプレーオフ5点目は、スティックがクロスバーより上に上がっていたかどうかの確認がなされたが適正なゴールとされた。シリーズがニューヨークに移ってから最初のレインジャースのゴールである。

いくつかのヒップ・チェックが観客を沸かせた。先ず、アントン・ストラーマン (Anton Stralman) がダウティに、そして、ジャスティン・•ウィリアムズ (Justin Williams) にライアン・マクドノー (Ryan McDonagh) が。しかし、最も記憶に残ったのはストラーマンが11分50秒にスティックを使って行ったチェックだった。

キングスのベンチが総立ちになり、ディフェンスのアレック・マルティネス (Alec Martinez) はルンドクィストに対して2点目を取ったと思って両手を挙げた。しかし、パックはゴールライン上にあり、キングスのジェフ・カーター (Jeff Carter) の内側に入り込んだストラーマンがパックをなんとかはき出した。
マルティネスのこのゴールは、ビデオ・レビューが必要なほどきわどく、リプレイがビデオ・スクリーンに表示されたときにはため息が漏れた。スローモーションで見ても判定が正しかったことが確認され、ノー・ゴールとなった。

第2ピリオドが始まって1分も経たないうちに、ルンドクィストは、2人対1人のラッシュからのマリアン・ガボリク (Marian Gaborik) のシュートを防ぎ、1対0のリードを保つという任務を果たした。
6分27秒にはサン・リュイがレインジャースのリードを広げた。クリス・クレイダー (Chris Kreider) がゴール前に突っ込んでクイックの態勢を崩し、同じようにゴール前に突き進んだサン・リュイは混乱の中からルーズ・パックを放り込んで2対0とした。
これでニューヨークの2点リードはこの決勝シリーズで5回目だ。しかし、それは2分19秒しか続かなかった。
レインジャースのディフェンス、ダン・ジラルディ (Dan Girardi) は攻撃ゾーンで空振りをしてパックを逃してしまい、ノブが折れたと思ってスティックを捨てた。ブラウンがブレイク・アウェイとなり、ルンドクィストにフェイントをかけ8分46秒に右ポストの内側にシュートを決めた。
第2ピリオドの残りの時間はキングスが押していた。18分45秒にはカーターがこの日2番目に絶好のチャンスを得たが、ルンドクィストの左パッドでそれを押さえられてしまった。

ルンドクィストは最高の状態だった。レインジャースは第3ピリオドの12分40秒まで一本もシュートを打てなかったが、キングスは砲撃を繰り返した。
信じられないことだが、キングスは残り試合時間1分11秒にあと数センチでスコアをタイに持ち込むことができたのだった。パックがルンドクィストの後ろに転がり、ちょうどゴールラインの前にできていた雪の中でピタリと止まったのだ。
レフェリーのウェス・マッコーリー (Wes McCauley) はネットの後ろからパックの動きを完全に見ており、ニューヨークのセンター、デレク・ステパン (Derek Stepan) がルンドクィストの下になってパックをグラブで抑えるまでプレーを止めなかった。

リック・ナッシュ (Rick Nash) はゴーリーのいないゴールへのシュートを外し、アイシングと半狂乱の試合終了を迎えた。

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