モントリオール・カナディアンズ、Guy Lafleurを讃える。試合前の大歓声と賛辞。

 

日曜日(4月24日)の対ボストン・ブルーインズ戦、選手がリンクに登場する前から、場内は故Guy Lafleurの名を呼ぶファンの歓声に包まれた。

 

カナディアンズは追悼式をおこない、金曜日(22日)に70歳で逝去した、殿堂入りしているLafleurの功績を讃えた。

 

Lafleurの得点シーンとスタンレー・カップを掲げている映像がベル・センターに流され、10分以上に渡って観客総立ちでの拍手喝采が続いた。

 

Lafleurに敬意を表して、すべての広告が取り払われ、代わりにLafleurの名前、背番号、サイン、そして、生年と没年だけが表示された。

 

「Guyへの敬意に満ちた感動的な夜でした。第3ピリオドにはGuyが私たちと一緒にいるような感じでした。」5対3で負けた試合の後にカナディアンズの暫定コーチ、Martin St.Louisが言った。「選手たちに言いました、数多くの公式戦を戦っている中で、記憶に残る試合がいくつかあるかもしれないが、この試合を忘れることはないでしょう。」

 

「このような経験をして、カナディアンズがケベック州にとってどんな存在かを知らなかった選手も今晩それが分かったと思います。」

 

試合終了のブザーが鳴った後、Brendan Gallagherがチームメイトをうながして、リンクに戻り、永久欠番であるLafleurの10番を称えた。

 

「敬意あふれるショーでした。(Gallagherが)あのようにしたことを嬉しく思っています。Guyはそれほどの選手なのです。」とSt.Louis。「これを次世代の選手に伝えなくてはなりません。受け継いだものを大切にしなくてはなりません。」

 

(出典: Apr 25, 2022 ESPN News Services)

 

1978年3月。

 

大学3年生の春休み。

忘れられない思い出。

 

当時、私はアイスホッケーが大好きでした。

(今も好きですが)

それも北米でおこなわれているNHL(National Hockey League)というプロホッケーの熱烈なファンでした。

 

1972年にホッケーに興味を持って以来、いつかこのNHLの試合を生で観ることを夢見ていました。

今でもそうですが、当時はさらにホッケーに関する情報が少なく、洋書店を歩き回ってはホッケー関係の本や雑誌を探したり、在日米軍向けのラジオ放送(FEN)を聴いたりするしか情報はありませんでした。

 

そして、その夢を叶えたのが1978年3月でした。

ホッケーの試合を観るためにカナダへ旅行に行くことにしました。

「せっかく行くなら一番強いチームを」と、迷うことなく行き先はモントリオールに決めました。

当時、モントリオールを本拠とするMontreal Canadiensは単独チームとしては世界一強いチームでした。

そのころオリンピックや世界選手権で常に優勝していたソ連のナショナルチームと互角に戦えるほどのチームでした。

そのチームの試合を観たい。

しかし、ホッケーを国技とするカナダ。

NHLの試合の切符を手にすることは地元の人でも難しいのです。

カナダ大使館にも相談に行きましたが、やはり「NHL、特にモントリオールの試合の切符を手に入れることは不可能」と言われました。

 

それでも「テレビで観られるだけでもいい」という思いで、旅立ったのでした。

なにしろ日本ではその動く姿を見る機会は皆無だったのですから。

 

しかし、モントリオールでは思わぬことが私を待っていました。

あるきっかけで、私がはるばる日本からCanadiensを見に来ていることを知ったこのチームの広報部長、クロード・ムートン(Claude MOUTON)さんが私を歓待してくれたのです。

本拠地のMontreal Forumでの試合観戦はもちろん、練習にも呼んでくれ、ロッカーに案内されて選手一人一人を紹介してくれました。

ユニフォームをくれたり、届いたばかりのスケート靴をくれた選手もいます。

そして、そのユニフォームを着、スケート靴を履いて、リンクへ!

パスをしてくれる選手、「もっと腰を落として」とアドバイスしてくれる選手。

さらには、当時世界一の名ゴールキーパーに向かってシュート!

なんとゴールしました。

もちろん、わざと入れてくれたんですけどね。

 

ひとしきり夢のような体験をしてから、ムートンさんの送りで空港まで行き、モントリオールを後にしました。

 

夢はこれだけでは終わりませんでした。

「またおいで」の言葉に甘えて、その後もモントリオールを訪れたこと4回。

その度に歓待してくれたムートンさん。

電話をしてもなかなか繋がらないほど忙しい人なのに、私が行くときは必ず空港まで迎えに来てくれました。

チームの忘年会に連れて行ってくれたこともあります。

 

最後にムートンさんと会ったのは1982年。

それが永遠の別れになってしまいました。

 

癌を患ったムートンさん。

1993年に帰らぬ人となりました。

その年、癌を患っていることを知り、お見舞いに行くことにしていました。

しかし、私が行く10日前に亡くなってしまいました。

11年ぶりの再会まであと10日。

何故、待っていてくれなかったのでしょう。

 

それでも、モントリオールに行きました。

奥様に連れて行ってもらったお墓の前で泣き崩れました。

声をあげて泣きました。

後にも先にもあんなに泣いたことはありません。

 

何故、ただの一ホッケーファンである私にあれだけのことをしてくれたのかは分かりません。

 

ホッケーファンにとって夢のような経験をさせてくれたムートンさん。

それだけでなく、何をするにも自信を持てなかった私を変えてくれたムートンさん。

 

私の人生で一番の恩人です。

アリゾナ・コヨーテズのJohn Scottは現時点(12月18日)でオールスターゲームのファン投票で図らずも首位に立ってはいるが、実のところ常に自由契約扱いになっている選手なのだ。つまり、ScottはNHLの人気選手が勢揃いする試合はおろか、そもそもNHLでプレーするほどの選手ではないということだ。

さらに言えば、John Scottはアメリカン・リーグのオールスターゲームでプレーするのさえはばかれる選手なのだ。例えどこかのチームと契約ができたとしても、それでも絶えずトレードの対象となることだろう。もしナッシュビルで行われる今年のオールスターゲームのためにコヨーテズがScottを1軍に上げたとしたら、NHLは大恥をかくことになる。3人対3人によるトーナメント方式で行われる今回のオールスターゲームで、最高レベルの選手たちにScottが何とか追いつこうとしている場面を想像してみるといい。

今回のことはNHLにとって完全な失敗ではあるが、一概にNHLの責任とばかりは言えない。北米の主要なスポーツリーグは全てオールスターゲームでの先発出場選手をファン投票で決めている。もしこの投票が正常に行われれば、ファンを惹きつけ、このショーに参加している気持ちにさせることが出来る楽しいものになるはずだ。そして、ほとんどの場合はそれがうまく機能している。野球を除けば、オールスターゲームはその後に続くシーズンのことを考えると怪我が心配になるイベントではあるが、実際のところ後半のリーグ戦に与える影響は何もない。オールスターゲームは基本的にスポンサーの広告の場であり、且つささやかな楽しみと共にシーズンを一旦休む機会でしかないのだ。誰も怪我をせず、反則もない。

しかし、今回Scottを獲得票数でトップにしてしまうように、ファンがこの投票を乱用するとしたら話は別だ。過去にZemgus GirgensonsやRory Fitzpatrickに対して行ったのと同じことがまた起こっているのだ。これを正すのは至って簡単なことだ。ファンからこの特典を取り上げてしまえば良い。

私が知る限りでは、今回のオールスターゲームのタイトルスポンサーはホンダだが、投票にはスポンサーが付いていないようだ。従って、もしNHLがファン投票を無効にしたとしても、どこかのスポンサーとの関係に悪影響を与えることはない。せっかくのファン投票ではあるが、このようなファンの振舞いを考えれば誰も文句は言えない決断だ。

オールスターゲームへの出場選手としてファンの人気があるか否かに関わらず、特定の選手への投票を積み増しすることも一つの方法だ。それは他のスポーツでは常になされていることだ。ファンは自分が好きな選手に投票し、その選手の所属チームもその選手に投票することでファン投票の後押しをする方式だ。但し、多くの場合、その選手を出場させることが何らかのビジネスにつながらなければチームはそのようなことはしない。リーグの立場としても当然のことだ。

リーグとして看過できないのは、一部のファンがこの制度を馬鹿にし、投票全体を本来の趣旨から外してしまうことだ。彼らがNHL、John Scott、或いは自分たち自身の誰をからかっているのかはどうでもいい。オールスターゲームのファン投票は権利ではなく、特典なのである。社会での選挙権とは違う。NHLの全選手のうち283人がそれぞれ今シーズンに挙げているよりも生涯ポイントの方が少ない選手に票を投じるという乱用がなされるのであれば、その特典が廃止されても仕方がない。

NBAでは、ファンがTwitter、FacebookやInstagramだけでなく、ウェブサイトやアプリを通じて確実に1日に一人の選手にしか投票できないようにするために様々な取り組みをおこなってきているようだ。ファンがこれを悪用する方法はないのだろうか。恐らくあるだろう。しかし、少なくともそれに対する試みはなされているはずだ。NHLはそれを見習うべきかもしれない。或いは、更に良い方法として、どの選手にでも投票できる方式ではなく、NHLが予め決めたリストの中から選手を選んで投票するという方法もある。それでもファンにはオールスターゲームへの出場選手についての発言権を与えていることになる。こうすれば、世界中の「John Scott」はオールスターゲームでプレーすることができなくなる。

或いは、NHLはファンに対してこう言うだけでも良いだろう。「この通り、皆さんはこのファン投票を否定するようなことを何度もしてきました。従って、十分に検討した結果、NHLはファン投票をやめることにしました。」と。もしNHLがこの選択をしたとしても、誰もそれを責めることはできない。

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