今年の夏の甲子園も面白い試合がたくさんありましたが、
やはりいつも思うのは「9回にもつれる試合がたくさんあって面白い」
ということです。
自分も今年は甲子園をOBとして観戦する立場ですが、
やはり周りでもそういう会話はよく出てきます。
よく野球を見ている人はその試合が最後にもつれるか
どうかというのもある程度予想できますから、「この試合は
“甲子園の魔物”が出るな」なんて予想もします。
極端なことを言うと、「高校野球は9回だけ見てればいいんだ」
なんてことを言う人もいるくらいですよね。
どうして高校野球ではそういう風に9回含めて終盤でもつれたり、
一打同点・逆転という場面が出てくることが多いのでしょうか?
実際はそういう場面がイメージとして強く残っているという面もあって、
点差のついたまま最後もしっかり抑えられてしまう試合も多いわけですが、
それでもプロ野球と比べれば終盤が白熱するのは確かです。
これはまず、高校野球ではストッパーの役割を持つ投手を
用意できないという面があります。
プロ野球なら『抑えの守護神』という役割の投手がいて、
1イニングであれば高確率で抑えられるという計算が立ちます。
そのほかにもセットアッパーといわれる投手もいて、
中盤までのリードをしっかりと守る体制が出来ているのです。
しかし高校野球ではベンチ入りの人数制限もあって終盤に
投手をつぎ込むのはなかなか出来ることではありません。
しかも高校野球はトーナメント方式の公式戦が多いので、
良い投手を終盤まで温存しておくという作戦もとりにくいでしょう。
中盤までに大きくリードされてしまったら抑えのエースが
いてもあまり意味が無いですからね。
それにトーナメント方式というのは精神的も影響がありそうです。
ワンチャンスで追いつける点差であれば、追いかけるチームは
必死になりますし、リードしているチームには逆に
「せっかく勝っているのに負けたくない」というプレッシャーがかかります。
こうした精神面の違いが、高校野球の終盤にドラマが
生まれやすい理由になっているんじゃないでしょうか?