コーチの名和です。
冬まっただ中で、少年野球はこの寒さの中でも容赦なく大会が
進められているようです。
バッティングコースの小学生選手の数人が肩を壊し、
医者から1ヶ月は投球とバッティングを禁止されたから
練習を休みたいと電話がありました。
この寒さの中でボールを投げるには、充分にアップをして
身体を温めてからボールを投げないとケガの元になります。
また、ウォーミングアップだけでなく、肘、肩に負担をかけない
スローイングをしなければ、当然故障します。
総合コースの選手は毎回キャッチボール練習をしているので、
その時に正しいスローイングを指導しているので、故障者は
ゼロではありませんが、ほとんどいない状態です。
バッティングコースの選手はスローイングまでは見ないので、
故障者が大変多く、どのような投げ方をしているか、
こちらも確認する方法がないので、すごく気になっているところです。
先日は総合コース担当の道治コーチが急用で練習を休み、
私が急遽、総合コースにコーチに行きました。
スローイングを修正する場合は、周りがどれだけ選手に指摘しても
選手自身がどのようなスローイングをしているかまったく認識がないので、
本人と指摘をする人とでは、かなりのギャップが生まれ、修正が上手く
いかなくて、上手く投げられないのが続いたり、
最悪の場合は故障をしてしまうというケースが多いです。
総合コースのキャッチボール練習の時も投げ方が悪い選手にはその都度
指摘をしていますが、すぐに元に戻ってしまう選手もいます。
このようなことから、先日は総合コースにフォーム分析システムを持ち込み、
全員のスローイングをビデオで撮影し、フォーム分析システムの
モニターでそれぞれのスローイングフォームを見せて、選手自身が
どのようなスローイングフォームなのかを自覚させました。
また、その投げ方がなぜいけないか、その投げ方を続けていると
どのようなことが起こるかなども説明しました。
肘が下がっている選手、腕の振りが横からになっている選手、
腕のしなりが全くなく、力ずくで投げている選手など、
様々な問題の選手がいました。
スローイングの時に
「横から投げているから、肘を肩より上げて手首を上から振りなさい!」
と、1回の練習で30回ほど注意される選手もいます。
私も含めてですが、口頭で注意されて修正できるのだったら、
ほとんどの人がプロ野球選手になれると私は思います。
この日は、それぞれのスローイングフォームを見せて、問題点を
指摘しました。
その後に、「指摘されたことを気を付けて、気持ち悪いほど
大げさに修正してみろ」と指示しました。
腕を横から振っている選手は極端に上から、
肘が下がっている選手は、背伸びをするほど極端に肘を上げるなど、
意識して非現実的なくらい極端にということです。
その動きを再度ビデオで撮影した後、みんなに聞きました。
「横から腕を振っていた選手で、今回は上から投げていると自身がある者?」
と聞いたら、全員が上から投げていることに自信があると手を上げました。
肘が下がっている選手にも同じことを聞いたら、今回は肘を上げて
投げていると自信があると全員が答えました。
ここでフォーム分析の出番です。
フォーム分析のモニターで「意識して極端に修正したフォーム」を全員に見せました。
どのような結果になったと思いますか?
結果は、大半の選手がまったく変わらずです。
これはどのようなことかと言いますと、
腕を横から振る選手は極端に上から振り下ろせと指示したら、
本人はそのつもりでやっていても、現実はできていない、
簡単なことで、「口答で指示してもできない」ということです。
では、どうしたらよいかと言いますと、
スクールでは100均で買ってきた、掃除に使う「はたき」を使って
肘の使い方、腕の振り方を教え、物理的に修正できる方法を
指導し、練習させます。
そうすると、一時的にはよくなりますが、しっかり身に付けるには
日々の繰り返しの練習が必要になります。
これはバッティングにもいえることで、
身体が前に突っ込む、
下半身を使っていない、
肩が下がる、
ドアースイングになっている
など、修正しなければいけない点があるとします。
それを本人の自覚無しに口頭で何度指摘しても修正できるはずは
ありません。
ましてや、試合中の打席に入っている選手に対して、
前に突っ込むな!
下半身をもっと使え!、
上からたたけ!
などフォームに関することを、いくら口頭で指示してもできるはずがありません。
当スクールでは、大きな修正が必要な選手には、現状のフォームを
フォーム分析システムを使って自身のフォームを見せ、
自分がどのようなフォームになっているか自覚をさせます。
そして、口頭だけの指導でなく、道具などを使って物理的に修正できる
練習方法を与え、それをスクールだけでなく自宅でも繰り返し
練習するように指導します。
この流れで指導すると、バッティングフォームはもちろんですが、
ピッチングフォームや走り方まで短期間で修正することが
可能となります。
少年野球に限りませんが、中学、高校野球でも打席に入っている選手や
マウンドに上がっている選手、守備についている選手にあれこれアドバイスを
することがあります。
そのアドバイスで修正できればよいのですが、なかなかできるものではありません。
できなければ怒り出す指導者も多々いますが、それでは選手たちが
かわいそうだと思います。
選手として経験があれば、口頭で注意されたくらいでクセなどは
簡単に直らないということがよくわかるはずです。
選手たちはやっていないのではないことを、指導者は理解が必要です。
指示されたようにやっているのだが、できていないだけなのです。
私も選手時代は何度も同じことを言われては、どうしたらそれが直るか
試行錯誤しながら明けても暮れても繰り返し繰り返し
何かに取り憑かれたように練習して直した記憶があります。
最近は科学的なトレーニングなど開発されていて、練習しやすい環境と、
治療の理解と環境も整ってきました。
しかし、スローイングを修正するための練習をするのは選手自身です。
選手は修正が必要なのかどうか、故障した選手は必要性を感じるはず
ですが、そうでなければ修正のためのつまらない反復練習を
続けるのは苦痛なだけだと思います。
遠くに投げられない、思ったところに投げられないという悩みを
持っていても、それは周りの選手も同じだから、深刻に考え
ないのかもしれません。
しかし、故障してからは遅いです。
肩や肘の故障でボールが投げられなくなり、野球を断念した選手を
たくさん知っています。
誰かに聞いたことがある他人事というレベルにとどめることなく、
長く野球を続けたい、続けようと思うなら、投げ方だけは選手生命に
関わることなので、小学生のうちにしっかり身に付けることが
必要です。
野球総合コースではこのような思いと、口頭でのアドバイスは最小にし、
科学的な分析システムと物理的、合理的な練習方法で指導しており、
子供たちが元気で楽しく野球をやり、将来の夢を実現できる
お手伝いをしています。
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