相変わらず就職活動で忙しく、ESを書いたり、面接で首都圏に行ったりしていてブログを更新している時間がなかなかとれません。

そこで、帰国後に留学に関する報告書を書いたのでそれを掲載したいと思います。

留学で何を学び何を得て、それをどう生かすかを無駄なく簡潔にまとめると以下のようになると思います。
帰国してある程度時間がたち、さらに客観的に留学をとらえられているとは思います。
どのくらい伝わるかは分かりませんが、留学は容易ではないので、厳しい環境で成果を出したという経験ができる場に身を置けたことが本当によかったと強く感じるようになっています。
本当に留学はよかったです。

 私は2012年9月から2013年6月にかけてアメリカ合衆国にあるカリフォルニア大学デービス校に交換留学をし、2013年3月から6月にはカリフォルニア大学デービス校のワシントン・プログラムを利用して首都ワシントン・DCにあるカリフォルニア大学ワシントン・センターに派遣され、講義とゼミの受講をしながらインターンシップを行った。

<Davisでの学び>
 カリフォルニア大学デービス校では政治学・国際政治学を中心に講義を履修し、将来国際協力に携わる上で必要な基礎的な知識を習得したほか、リーディングの課題やレポート課題を通じて、大量の英文を読んだ上でそれを分析し、自己の論理を英文で展開し文章をまとめる能力を身につけた。具体的な学習内容としては、International RelationsとTheories in International Politicsの講義でリアリズムやリベラリズムといった国際政治に関する基本的な理論、紛争原因論、正戦論等を学んだほか、世界的な経済格差の原因としての従属理論やテロリズム、環境問題等についても学んだ。関連科目としては、Introduction to Comparative Politicsの講義で選挙制度、政党、内閣の3つの点から安定する政治体制について学び、さらに、ルワンダにおけるジェノサイドの原因や、内戦原因論について学んだ。また、Principles in Microeconomicsの講義ではミクロ経済学の基礎理論や比較生産費説について学んだが、国際政治経済分野の学習を進める上で有益なものだった。国際政治学とは直接関係はないものの、American National Governmentの講義は政治過程論全般の考察をする上で、Technology in U.S. Cultureの講義は地球温暖化問題を考える上で役立つものだったし、ESLの授業は英語の能力を向上させる上で役に立った。

<DCでの学び・インターン・経験>
 カリフォルニア大学ワシントン・センターではこれらをふまえた上で、General Research Seminarを履修し、Democratic Peace: Does Democracy Promotion Bring Peace?というテーマで途上国における民主主義の促進の短期的な危険性についての調査を行い、国際紛争、国内紛争、政治的暴力の3つの点に焦点を絞り15枚のリサーチペーパーにまとめた。Sociology of Crime and Punishmentの講義はアメリカにおいて黒人の若者のよる犯罪率が多いという傾向とその原因が分かり、アメリカ社会において人種間の差が今なお存在することについて考えさせられた。インターンシップは、International Law Instituteという途上国の社会人向けにガバナンスや法律の起草等に関する教育を行う非営利組織で行い、北米、南米、アジア、ヨーロッパ、中東、アフリカといった様々な国出身の従業員やインターン生とともに、セミナーの準備やセミナー参加者の募集のためのマーケティングに携わった。具体的な仕事内容としては、セミナーで使う資料を印刷しバインダーに閉じる作業や、セミナー受講生の受け入れ通知書の作成、セミナー修了書の作成、インターネットを用いてセミナーと関連のある途上国の省庁や企業を探し、その電子メールアドレスをエクセルの一覧表にし、セミナーの情報が記載されたメールを送信するといったもので、事務的なものが多かった。しかし、様々な国籍の人が集まる環境で働けた経験は大変貴重なものだったし、インターン先で開かれているセミナーを聴講することを通じてガバナンスに関する実践的な知識を深めることができた点は有益であった。さらに、ワシントン・プログラムを通じてCVの書き方等を含むアメリカ合衆国の企業における採用選考で求められることを知ることができたほか、国際的なキャリアを形成することについてのイメージが具体化され、そのことに対する障壁が低くなり、進路選択の幅を広げることができた。
 
 また、ワシントン・DCでは、アメリカン大学の座論という日本人学生向けのキャリア構築サークルに所属したり、カリフォルニア大学ワシントン・センター主催のMonday Night Forumというある分野で有名な方を招いて講演を行う講演会に参加したりしていたため、日本から来ている社会人やアメリカの社会人の話を伺う機会も多かった。特に、アメリカでの弁護士資格を持つ弁護士や世界銀行に勤める方、在米日本大使館に勤める方等のお話を伺うことができたことは、将来のキャリアを考える上で有益であった。

<留学経験を将来にどう生かすか>
 私は、将来は法律の専門家としてグローバルに活躍することを希望しており、ひいては国際協力に携わることを考えている。したがって、留学中の勉学を通じて得た国際政治学に関する知識は、将来学生あるいは実務家として法律学と政治学が交錯する場面における問題に直面した際に、それを考察する基本的視点として利用することができるだろう。さらに、勉学を通じて向上させた英語力、すなわち、英語の文献を読み分析する力、分析したものを英語でまとめる力、国籍の異なる人が集まる中で英語を用いて議論をし、意見を言う力、自分の意見や案をプレゼンテーションする力は、例えば国際弁護士として海外案件に携わる上で生かすことができると考えている。他方で、ビジネスの場面で問題なく英語で交渉できるほどに語学力を向上させられたかといえば必ずしもそうではないし、アメリカ人とグループを組んでプロジェクトに取り組む上ではより積極的な自己主張が必要とされるという課題も明らかになった。このような課題は、今後アメリカの弁護士資格を取るために留学をする際、あるいは英語を用いて仕事をする際に意識的に解決を目指すことができるので、将来に生かすことができることの一つであると考えている。

 また、一定期間海外という全く環境の異なる場所で生活をし、異なる言語で課題や職務をこなし友人を作ったという留学経験それ自体は、今後海外で生活をしなければならない局面を迎えた際に有益なだけではなく、今後困難な局面を迎えた際の自信につながるはずであり、このような意味で留学経験を今後の生活に生かすことができよう。さらに、留学先では常に自分の意見を持ちそれを言語化することが多く求められたため、現在では留学以前より自分が持つ抽象的なイメージを、言語を通じて具体化して発信することが得意になったし、様々なバックグラウンドを持つ学生とともに同じ屋根の下で寮生活をし、食事を共にし、明け方まで語り合った経験は、自分中心に生きがちだった私に変化をもたらし、より友人を大切に生きようと考えるに至った。これらの変化は些細なものかもしれないが、今回の留学で得られた成果であることには変わりはなく、今後社会人として成功する上で、あるいは一人の人間としてより豊かな生活を送る上で生かすことができると考えている。