オーストラリアの才女、Judy Baileyを聴こう。 | 続・公爵備忘録

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ジャズ・オリジナル盤の音質追及とエリントンの研究。

Judy Baileyは、米国や欧州から遠く離れたオーストラリアで、1960年代から活躍している。1990年代の欧州ジャズ・ブームの頃に、コレクターが探し回るようになって、一躍有名になった。


彼女はどうやってジャズピアノの腕を磨いたのだろう?

本場アメリカのジャズメンたちは、欧州ツアーをすることはあっても、遠く離れたオーストラリアまで演奏旅行することはめったにない。優れたジャズメンの演奏を聴くことは出来なかったはず。もともとオーストラリアにジャズはなかったのだから、レコードを聴いて勉強するしかなかったはず。日本の環境と同じだね。

そんな環境だから、並外れて優れた才能を持っている人しか一流になれないのは仕方ないと思う。オーストラリアでモダンジャズなら、Judy BaileyとMike Nock、トラッドならGraeme Bellくらいしか思い浮かばない。



彼女の初リーダー盤。筆者が欧州盤を集めだした2000年前後にはすでにコレクターズ・アイテムだった。

オリジナルは豪CBSで、所有盤は再発の豪Harmony盤。再カッティングされた盤なので、オリジナルと同じ音ではないと思うけど、当時オリジナルを見つけるのは困難で、あっても5万以上だったので手が届かなかった。

内容はピアノトリオで、彼女のピアノはいかにも女流ピアニストらしい大胆な表現と、繊細なタッチが魅力だと思う。編曲も新鮮な感じで、アレンジャーとしても有能だっただろうなと思わせる。

ただ残念なことに、ベースが弓弾きでギコギコやってしまう。それがなければ傑作だったのに、と言いたい。




2枚目のリーダー盤。トリオとクインテットの演奏。筆者はこのレコードが一番好きです。


 

クインテットの演奏でアレンジャーとしての才能を感じる。

 

 

ピアノトリオの演奏。Judy Baileyをエバンス派なんて論評するのが見当違いなのがわかる。

 

 

3枚目のリーダー盤。カルテット演奏。

 

 

プレイヤーとしては引退していたのだが、70年代になって現役復帰して吹き込んだレコードで、ベースはエレキになり、Judy Baileyはエレピも弾いているし、ややフュージョンっぽい演奏。

 

60年代の英気を知る人には肩すかしのような感じ。YouTube動画は見つからないけど、50~60年代のジャズを志向している人には向いていないと思うので、聴かなくても問題ないでしょう。