新宿ジャズ館でElla Fitzgerald Sings Gershwin Song Book Vol.2のステレオ盤を見つけて、つい買ってしまった。
左が今回買ったステレオ、4,650円。右は以前から持っているモノラル。両方ともオリジナル盤。
Gershwin Song Bookはジャケットの絵を仏の画家・Bernard Buffetが描いている。Vol.1からVol.5まで5枚あって、それぞれ別の絵が採用されていて、どれも魅力的なジャケットになっている。
Bernard Buffetの絵はどれも寂寥感が漂っていて、レコードを聴きながらジャケをじっくり眺めて鑑賞する。中でも筆者はこのVol.2の絵が好きだ。ド迫力の目つきなのに、とても醒めている。これをCDの小っちゃなパッケージに収めたら台無しだ。
ボーカル盤はモノラルがいい、というのが持論で、できるだけモノラルで揃えているけど、大好きなVol.2のステレオを見つけてしまって、欲しいという衝動を抑えられなかった。
1950年代末から60年代初頭までの初期ステレオ盤は、良いものと良くないものの差が大きい。音質的に非常に素晴らしい作品がある一方で、ボーカルよりもバックバンドの方が目立つ盤も多くある。
筆者としては『ボーカル盤は、ボーカルが主役』と考えているので、基本的にモノラルを選択する。
ただ、それは1950年代末から60年代前半のレコードだけ。1970年代にはモノラルは作られなくなって、すべてステレオになっていくのは、技術的にステレオの方が優れているからであって、筆者にはモノラル信仰はない。音質的に優れたものを選ぶだけ。
このYouTube動画はステレオで、LPで聴く質感に近い。非常に良くデジタル化されている。
LPのモノラルとステレオを聴き較べてみると、やっぱりモノラルの方がはっきりボーカル主役になっていて、筆者の価値観に合っている。一方ステレオはボーカルの主役度が下がるものの、音は華やかになっているし、エラの息遣いもよく伝わってくる。
先入観なしで聴いたら、ステレオの方が良いと感じるかもしれない。どっちが良いとは言えないと思った。リスナーの好み次第でしょうね。
今後本盤以外の4枚のステレオ盤を揃えるのか?と訊かれたら、『安くてキレイな盤なら買う』と返事する。言い換えれば、優先度は高くないけど、買い揃える価値はありそう。
Gershwin Songbookは5枚組ボックスがあって、これが単なるセット品ではなく素晴しい箱物なので、もし可能ならステレオもボックスセットを買いたい。
モノラルは持っていて、所有しているボーカル盤の中では一番の宝物。
5枚の絵の中からVol.2の絵が選ばれている。ノーマン・グランツもこの絵が好きだったのかな。
5枚の絵はスリーブに入れられてボックスに入っている。
ボーナス・トラックとしてEPと、A4サイズより少し大きいハードカバーの本も付属している。サービス精神が満点ですね。
たぶんステレオのボックスも同じ内容だと思うけど、こんな素晴らしいセットなら2つあってもいい。
余談ですけど、Ella Sings Gershwinというのは他にもあって、VerveとDeccaにある。エラが歌うガーシュウィンが内容的に素晴らしく、よく売れたことを物語っていると思う。
Ella FitzgeraldのSongbookシリーズは以前に取り上げたことがあるので、ご興味があればご覧になってください。