お気に入りのミュージシャン、いますよね?
その人のレコードなら、どんなレコードでもすべて持っていたいと思う。身がすくむような高額盤でも、なんとかして買いたい。
苦労して入手したレコードが、たとえ内容的にイマイチであっても処分なんかしない。理屈じゃなく、誰が何と言おうと、好きなものは好き。
そんなミュージシャンがいればいるほど、レコードライフは豊かになっていくと思います。
先日Jazz Tokyoで、Pee Wee Erwinが入ったレコードを見つけて小躍りした。ワタクシ・Cotton Clubはこの人が大好きで、DUさんに行くときは必ず物色している。
ディキシーランド・ジャズのトランペットでは、サッチモとかビッグス・バイダーベックも好きだけど、Pee Wee Erwinは特別な存在。
このレコードのA面にPee Wee Erwinが入っている。B面にはRex Stewartが入っていて、筆者には2度美味しいレコード。
額縁の中に絵を描いているのはDavid Stone Martin。この人は人や物の本質を見抜いて、簡潔な線で描くので人気があり、レコードのジャケットにピッタリだと思います。
ただ、Grand Awardには同じようなデザインのレコードが数十枚あるから、非常に紛らわしく、集めるのに難儀する。しかもポップスとかイージーリスニングもあるから、ジャケ買いするわけにはいかない。DUさんの店舗で試聴しながら、買うかどうか判断するのが一番いいでしょう。
DUさんの場合、トラッドジャズはオリジナルだろうが再発だろうが、だいたい千円未満で、多くは500円前後。品揃えが良くて、試聴も出来る。地方在住の方には気の毒ですが、トラッドジャズを集めるには東京近郊に住むしかないと思います。
Pee Wee Erwinは1930年代から40年代にかけて、ビッグバンドに在籍してスイングジャズを演奏したあと、1950年代から小編成のバンドを組み、ディキシーランド・スタイルの演奏をずっと続けた。
艶やかな音色、軽快なフィンガリング、突き抜けていくような伸びやかさ。一聴すればすぐに分かる唯一無二の個性は、若いころから晩年までずっと変わらない。
本盤は1955年頃の録音で、一番脂がのっていた時期だと思います。
入手したリーダー盤で、一番の出来だと思っているのはURANIA盤。
URANIAはセカンド(渦巻のヤツ)になると、ジャケットがショボすぎるので、コレクターならオリジナル一択。オリジナルは黄色ラベルだけど、深溝の幅ちがいが3種類ある。
極太ミゾと、中くらいのミゾと、普通の幅の細ミゾ。
コレクター時代は極太ミゾが完オリだと信じて、少しでもミゾが太い盤に買い替えた。でもコレクターとしての嗅覚が“極太=オリジナル”と感じさせただけで、はっきりした根拠はない。
筆者が集めた範囲で分かっていることは、
1.極太ミゾがある盤はフラットディスク。
2.中ミゾと細ミゾの盤にはグルーブガードがある。
3.1210番以降は全部細ミゾ。
4.赤ビニール盤がある(フラットディスク、極太ミゾ)。
ここから推理すると、URANIAのミゾは 極太 → 中 → 細 と変遷したのでは?
とすると、完オリは極太ミゾ・フラットディスクになるけど、赤盤は?
URANIAレーベルはクラシックが断然有名で、フルトベングラー盤なんかコレクターズ・アイテム。ジャズは20枚もなく、完璧に集められると思った。そして全部揃えた。でも完オリがわからない。ご存じの方がいらっしゃたら、教えて頂けると嬉しいです。
余談ですが、Pee Wee Erwinの本名はGeorge Erwin。"Pee Wee"は愛称で、オシッコの意味。Pee Wee Erwinと呼ぶと、『小便たれのアーウィン』ということで、たぶん子供の頃のあだ名でしょう。
そのあだ名を大人になっても使うのは、不思議な感じがします。他にもPee Wee RussellとかPee Wee Huntとか、有名なジャズマンも使っていて、日本人的な感覚ではなんとも理解しにくい。
本題に戻って、Pee Wee Erwinのレコード。
本盤は1959年の作品で、DUさんの店舗ではよく見かけるので、中古は豊富にあると思います。
内容的には、やや大人しめのディキシーランド・ジャズ。Pee Wee Erwinの艶やかなトランペットは相変わらずですが、YouTubeの音源が見つかりませんでした。
これは1980年の作品。お亡くなりになる1年前の演奏で、最晩年まで衰え知らず。
Pee Wee Erwinのレコードは他にもあって、ebayで探せば容易に見つかりますが、送料込み5000円~8000円。DUさんで見つけることができれは数百円。DUさんで探すに限ります。