すでに持っているレコードであっても、同じレコードをさらに買い揃えるのは楽しい。 | 続・公爵備忘録

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ジャズ・オリジナル盤の音質追及とエリントンの研究。

たとえオリジナル盤を持っていたとしても、後年の再発盤とか編集盤には、今まで知り得なかった新しい情報が入っていたりする。

 

いろいろ買い揃えているうちに、オリジナルだと思っていた盤が実は再発だった、なんてことが分かったりする。同じレコードだから、というだけで無視するのはもったいない。

 

 

 

先日はJazz Tokyoで、Bunk JohnsonのPurist音源をまとめた編集盤を買った。

 

 

Puristはオリジナル10インチLPを持っているので、オリジナル至上主義なら気にもしないだろうけど、持っていない音源が入っているかもしれないし、新しい情報が入っているかもしれない。

 

筆者の基本方針は、こういうのは買う。もし得るものがなかったら売り払えばいい。差額は勉強代と思えば決してムダではないと思っている。

 

オリジナル10インチ盤。

 

家に帰って、編集盤のジャケット裏面の英文解説を読んでシビれた。モダンジャズ中心のご来訪者様には恐縮ですが、解説文を紹介させてください。

 

拙訳です。(原文は英語)

 

Purist Recordsは1954年から1963年の間に、Bunk Johnson Appreciation Societyによって作られ、会員のみに提供されました。そのオリジナル盤は今日では極めてレアです。
 

ニューオーリンズ・ジャズだけを取り上げた、我が国で最初のレーベルです。そのカタログは5枚のSP盤と2枚の10吋LPで、非常に貴重な再発と、以前には発売されなかった音源です。

Purist Recordsの最初のレコードは、10吋SPの1001番で、Spicy AdviseとArkansas Bluesの2曲が収められていました。Bunk and His Stompersの演奏です。彼らは時にはV-Disc Veteransとも名乗りました。

音源となったのはWorld Transcriptionで、この2曲に加えて同じ音源から6曲を加えた、10吋LPのLPP101番に収録されていて、この編集盤にも収録されています。

I Can't Escape From YouとSnag ItはV-Discの音源です。Puristはこの素晴らしい2曲を12吋SPに収め、1002番として再発しました。

本盤の1面に収められている残りの4曲は、2枚の10吋SP盤からです。Big Chief Battle AxeとFranklin Street Bluesは、Jazz Informationレーベルの未発売テイクです。この2曲はPuristの1004番として世に出ました。LP化されたのは今回が初めてです。

Sheik Of ArabyとLady Be GoodはAmerican Musicレーベルの未発表音源です。PuristではPU7とPU8とだけ記された無地ラベルで発表されましたが、実際はカタログ番号があって1003番です。Lady Be Goodはここで初LP化です。

以上がこのNolaレーベル盤で収録された曲ですが、完全蒐集するには10吋SPの1005番が残っています。Oscar Papa Celestin And His Tuxedo Jazz Bandの演奏で、無地ラベルにPU5/PU6と記された盤です。

それから10吋LPで、無地ラベルにLP203/204と記され、Bunk Johnson, Don Ewell, Doc Evans Bandの演奏が収録された盤も残っています。

この編集盤の歴史的な重要性は、強調され過ぎることはありません。いくつかの曲はここ数年で、他レーベルでも発売されていますが、本盤ほどコンプリートに近くはありません。

Puristレーベルが活動停止して10年が過ぎ、その後多くのニューオーリンズ・ジャズのレコードが作られてきました。しかし、Puristが我が国の、レコードで聴くジャズ音楽を作り出すことに貢献したこと、そして彼らの努力は忘れられていないことを、この編集盤は示しています。



正直言って、知らなかったことだらけ。Puristは会員だけに頒布されたレコードだったのね。しかもBunk Johnson Appreciation Society(バンク・ジョンソン鑑賞会)なんて、会員数の少なさは推して知るべし。Puristレーベルのレア度が高い理由がわかった。

 

 

YouTubeの音質は非常にプアですけど、他に音源が見つかりませんでした。LPの音質はここまで悪くはありません。

 

 

Raymond BurkeのGHBレーベル盤とSouthlandレーベル盤。

 

 

もともと持っていたのは左のGHB盤。ジャケットのイラストがGHBらしくないので、他レーベルから買い取った盤ではないか?と思っていた。

 

Jazz TokyoでSouthland盤を見つけて、こっちがオリジナルだと直感した。GHB/Jazzologyには自前の録音もあるけど、他レーベルから買い取った音源(つまり再発)が極めて多いので。

 

今日まで生き残っているトラッドジャズのレーベルは、GHB/JazzologyとContemporary傘下のGood Time Jazzくらいしかない。トラッドのレーベルは軒並み消滅してしまった。

 

GHB/Jazzologyはそれらを買い取って継続販売したから、今日でもトラッドジャズ聴くことが出来る。それはリスナーにとって、この上なくありがたいことに違いない。

 

当時を知るコレクター(そんな人はもう生きていないと思うけど)なら、どれがオリジナルなのか分かっていたはず。でも今日のコレクターにとっては、何がオリジナルなのか分からなくなっている。これがモダンジャズなら、オリジナル情報はふんだんにあるから困らない。でもトラッドはほとんどないから、自前で集めて調べて、情報を集めるしかない。

 

ebayなら日本では見たこともないような、レアなトラッドのレコードが5ドル前後で山ほど出品されているのは知っている。でも今はebayの送料がバカ高くて、送料込みだと40ドル(今の相場で6千円)を払うのはあまりにバカバカしくて、ポチる気になれない。

 

 

YouTubeの画像をみると、本当のオリジナルはSPみたい。でもSPを蒐集しない筆者としては、LPで充分に満足。ただ白ラベル(Southlandの若い番号は白ラベルがオリジナル)のLPがあるかもしれないので、今回入手した盤が本当のオリジナルかどうか、自信はまったくない。

 

Southlandレーベルはニューオーリンズ在住のトラッドジャズ・ミュージシャンに焦点を当てたレーベルで、全体の7割くらい蒐集できている。できれば全部揃えたいと思っていて、未入手の盤(見たことないので、さっぱりわからない)に思いを馳せているところ。

 

ひょっとしたら所有しているGHBの中に、Southlandがオリジナルの盤があるのでは?という疑問が頭から離れない。

 

 

 

この2枚なんか、ジャケットの雰囲気がいかにもSouthlandレーベルという感じ。もうモダンジャズのオリジナル盤を買うことはないけど、なんとかJazz Tokyoや新宿店に行く機会を増やして、トラッドやスイングのレコード漁りをしたいです。

 

 

EPもたまに買ってます。

 

 

ブルーノートの仏プレス盤。ジャケットにシビれて買いました。モンクらしいギョロ目がいい。仏盤はジャケットが魅力です。音質的には、これがブルーノート?といった感じの情けない音ですけど、ジャケがいいから許せます。

 

 

Good Time Jazzのオリジナル12吋は持ってますけど、別デザインのEPなので買いました。ジャケが変わると、演奏の印象まで変わってくる。

 

レコード探求は死ぬまで止められません。